ヨドバシカメラ・ガンバレ

時代錯誤の大店舗法


ヨドバシカメラが通産省から、きついお叱りを受けている。

聞くところによれば、事の起こりは、98年11月の相模原市内への出店に際してのことのようだ。ヨドバシ側がこの店の出店に際し、通産省に届けた営業内容に「年中無休」と記入した。これがいけなかった。大店舗法に定める「年20日以上の休みをとる」ことに違反していたのである。通産省側は、お役所だから、当然改善勧告を出した。ところがヨドバシ側はこれに従わなかったようだ。その結果、通産省はヨドバシカメラを、刑事告訴に踏み切ったのである。但しこれはあくまで、訴えた側の通産省の論理だから、事件の内容は、裁判の過程でより鮮明になるはずだ。

現在の所、法的に云えば、ヨドバシカメラ側の非は明らかで、裁判にヨドバシ側の勝ち目はないように見える。ただ消費者の一人として、忌憚なく意見を云わせて貰えば、

「おいおいそんなにヨドバシが悪いとは思えないぞ。通産省よ」と、云いたい気分がする。

大体ヨドバシ内で休みの関係で労使紛争がある訳ではなし、また地元の商店街がヨドバシの営業によって、多大な被害を受けて困っているという話も聞かない。むしろ多くの消費者が、ヨドバシカメラに足を運ぶようになって、商店街に活気がでているようにさえ思う。

だから今回の事件は、通産省側の自分達の意にそぐわない業者に対するお上の意地と見せしめ(スケープゴート)的な刑事告訴に思えてならない。そもそも通産省は、通商産業省が正式名称であり、その組織の目指すところは、日本における産業界の発展に寄与することを目的としていたはずだ。

さて問題の大店舗法であるが、この法律の成り立ちは、数十年前に起こったスーパー業界の全国展開に対し、小売店の利益を保護する目的で策定された法律である。しかし今や立場が逆転した感じがする。つまり出店規制を受けたスーパー業界に、淘汰の時代がやってきて、反面守られていたはずの小売店は、セブンイレブンやローソンなどのようなコンビニエンスストアに変身を遂げることによって、見事大店舗に負けない収益性を確保するに至っている。全国の小売店は、コンビニ化によりそのノウハウを取り入れ、狭いスペースながら、的確な売れ筋情報の把握によって、デッドストックを排除した。そのことによって、只大きいだけのスーパー業界に負けないだけの体力を作ったのである。

その結果、コンビニ業界は、我が世の春を謳歌しているのである。一方スーパー業界は、存続すら危ぶまれる未曾有の経営危機の中にある。したがって今や大店舗法という法律は、時代錯誤の法律となって意味をなさなくなっているのは誰の目にも明らかだ。その意味を失った法律を、改正や廃止の提案ならともかく、それを盾にして、日本の産業界を引っ張るはずの通産省が、ヨドバシカメラを、懲罰的な形で、刑事告訴というのはいががなものであろう。

結論から云えば、ヨドバシカメラの大店舗法違反の疑いは、残念ながら非常に濃いと言わざるを得ない。但し法律がすべてではあるまい。大店舗法自身が見直されなければいけない状況になる。時代は明らかにヨドバシカメラの営業方針を後押ししている。消費者のニースをうまく営業に生かしているヨドバシカメラの成功は、消費者のニーズをうまく営業化した結果である。

個人的にいっても、いついかなる時でも、ヨドバシカメラという信頼のおけるお店が、そこにあるのは大変有難いことだ。だから私は、どんなことがあっても、ヨドバシガンバレと、声援を送り続けたい気持ちで一杯である。佐藤
 


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2000.5.24