言葉を豊かにするということ

−類語辞典が面白い−


 
今、類語辞典が面白い。最近講談社から「類語大辞典」(柴田武 山田進編 2002年11月19日発売)類語辞典とは、同じ意味の言葉を別の言い回しで言い換える時に使用する辞書である。これを読んでいると、しみじみと、自分の語彙の知らなさを思い知らされる。そしていかに我々が日常生活においては、ある意味ワンパターンでしか会話していないかが分かるというものだ。

例えば「ぶっきら棒」という言葉を引いてみる。すると二つの箇所に「ぶっきら棒」が載っている。まずはじめに、「話し方に愛想や飾り気がない様子」「あいつの話し方は、相変わらず?だ」「?な受け答え」と説明されている。そしてこの説明の周囲には、「寡言」(かげん:より固い言い方)や「手短な」などの言葉が並ぶ。要するに、口数が少なく愛想がない言葉を使うと「ぶっきら棒」とレッテルを貼られてしまいそうである。

もう一方のページを開くと、今度は、「けんもほろろ」(人の頼み事などには取り合わずこれをはねつける様子)や「素っ気ない」、「つっけんどん」「つんけんとする」、「無愛想」などの言葉が、びっしりと並ぶ。言われてみれば、なるほどな、とは思うが、実に日本語は多彩で奥行きの深い言語だ。ほとんど聞いたことのある言葉であるが、いざ使おうと思うとなかなか思い浮かばないものだ。

様々な表現が出来たらいいな、とは思うが、別に只生きていく為には、何の苦にもならない。だから結局、自分から語彙など覚えずに、ありきたりの使い古された言葉で満足してしまっているのが現状だ。日本人たるもの、もう少し様々な表現を使うことをもっと意識してやってみることが大事ではないだろうか。そうすれば、もっと潤いのある豊かな言語生活が送れるに違いない。気の利いた求愛の言葉も言えないようでは、恋をすることすらおぼつかないというものだ。

佐藤
 

 


2003.2.2
 

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