とてもうれしい情報を得た。長野でアファンの森財団を設立し、放置林の再生に取り組んでいるC・W・ニコルさんが、英国のエリザベス女王より名誉大英勲章
第
五位を授かったとのことだ。人のことだが、飛び上がりたいほどうれしかった。今年の初め、都内の寿司屋さんで、ニコルさんから、京大の教授になられる話は
伺った。その後、こんな名誉が舞い込んだことは、まったく知らなかった。
詳しい叙勲理由は聞かなかったが、おそらくは長年日本と英国の架け橋となって努力された姿に対しての評価であろう。何でも、もしニコルさんが英国籍を維持
していたら、サーの称号も授かったであろうとのことだ。もちろん本人は、このような勲章をもらうために努力していたわけではなかろう。しかし彼の地道な努
力を見ていた誰かが、「彼に名誉という最高のご褒美を差し上げたい」と思ったのが、最高の形で実を結んだのだろう。
人間というものにとって、お金という経済的なものも当然ながら必要なものだが、それ以上に名誉というものは、何ものにも代え難い宝物である。時に人は、名
誉を穢されたことのために、命を投げ出す人さえある。
さて不思議なのは、CW・ニコルさんが、エリザベス女王陛下から、素晴らしい勲章を授与したことが、ニュースになって伝わらないことだ。日本のマスコミ各
社は、このニュースが取るに足りないものと評価してのことだろうか。それとも、洪水のように流される耳を疑い目を覆いたくなくなるような事件事故の報道の
方が視聴率を稼げると判断しているのであろうか。
考えてみれば、自らをケルトの末裔と自称するウエールズ出身の英国人CW・ニコルさんが、極東の島国日本の伝統文化に興味を持って来日し、独学で日本語を
学び、滅び行く日本の自然を慈しみ愛し、放置された森を再生するために、作家活動などで得た全財産をなげうち、自分は日本の土になりたいとの覚悟をもっ
て、日本国籍まで取得し、ついにはアファンの森財団という組織まで設立したのである。
美しい話ではないか。尊い神のような人物を得た日本という国の国民のひとりとして、このニコルさんの勲章授与を共に祝いたい気持になっているのは私だけで
はないだろう。このニュースを報道しない日本のマスコミの感性を私は大いに疑うものである。
塵
のごと美談うち捨て愚かなる咄(はなし)ばかりの日本を憂ふ
さりとても大英勲章目出
度ぞニコル翁(おき
な)は日本の誇り