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あなたは「ミノタウルス」を知っているか?
そのことに驚いた父ミノスは、乱暴者のミノタウルスを、巨大な迷宮ラビュリントスに閉じこめてしまう。最後には、ミノス王も殺され、ミノタウルスは、テセウスという英雄によって退治されてしまう。これはミノス一族に降ってわいた悲劇である。 ここでよく考えてみよう。するとこのような悲劇は、我々のまわりでよく起こっていることではないか…。つまりミノスやミノタウルスのような運命を背負った人間は、世の中には大勢いるということだ。誰だって何かしら宿命のような欠陥を持って存在している。もちろんそれを他人が知るか知らないかは別である。ただミノタウルスは、牛の容ぼうをしているので、その欠陥を隠しようがないだけなのだ。要するに我々人間は、みなミノスやミノタウルスのような存在なのかもしれない。 誰も完璧な人間はいない。人間は、人それぞれに、何かしらの深い悲しみを抱えながら、それでもその悲しみや絶望を、希望に見立てて…あるいはそれを何かで必死で隠しながら、生きている怪物なのだ。しかもミノタウルス同様、仕舞いには、死というどうしても避けられない宿命まで背負わされている。 我々人間は、みなミノタウルスだ。佐藤
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1999.5.20