「目が曇る」という事


「目が曇る」、という表現がある。もちろん目に雲が出る訳ではない。正しく物が見えなくなることを言うのである。何故目が曇るのか、その原因は様々あるとは思うが、やはり固定観念というものが出来上がってしまって、それ以外の情報を受け入れなくなってしまうのが、一番大きいのではないかと思う。人も世の中もあらゆる物は変化している。その変化を見ずに、以前の姿で物事を判断してしまう時に取り返しのつかない問題が起こることがある。

では曇らぬ目を持つ為にはどうしたらよいのか、それにはやはりあらゆる万物は常に生成変化しているのだということを意識することではあるまいか。生成変化とは、ひとつの流れであり、物事を点で捉えるのではなく、線であるいは面で多面でさらに三次元(立体)を越えて四次元(時空)で捉える位の自由な発想が必要ではないかと思うのである。

かといって、自分が一生曇らぬ目を持ち得るかと言えば、これも難しい。誰しも老いというものがあり、脳そのものが衰えてしまうことある。「願わくば・・・」の西行法師のように漂泊に己の脳髄を刺激し続け、あるいは「つれづれなるままに」と兼好法師のようにあらゆることに興味を持ち考え続けることで、かろうじて曇らぬ目を持つ可能性が出てくるかもしれない。佐藤

 


2002.9.20
2002.11.27
 

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