巨人松井のケガと日本球界

−選手を大切にしない経営−


日本のプロ野球のせこさはなんだ。特に球場の狭さと設備の悪さは最悪だ。先日巨人の松井選手が広島球場で、打者のフライを真後ろに追っていってフェンスに激突し足を痛めた。

昔から日本の外野のフェンスは固くて多くの選手がそこに激突してケガをしている。阪神のある選手などは、頭部から激突して、頭蓋骨を骨折したこともある。大リーグの球場を見ると、外野フェンスに柔らかいラバーを貼ったり、可動式になったりしている。それもこれも選手の体を気遣ってのことだ。日本のように固いままのフェンスでは、ちょっとした事故で選手寿命を縮めてしまうことだってある。こうなると選手は自分の体を気遣って力一杯のプレーを避けてしまうかもしれない。

巨人の高橋外野手が、2年前にフェンスに激突し、肩(胸?)の骨を折って、シーズンの終盤戦を棒に振ったことは記憶に新しい。現在の日本プロ野球の至宝ともいえる松井や高橋のようなスター選手をいとも簡単故障に追い込むような球場では、松井や高橋だって大リーグにいつ逃げていくとも限らない。 

それにしても日本の球団の姿勢は、選手を大切にしていない。日本のプロ野球選手に足の故障が多いのは、球場に張られた人工芝という説もある。大リーグの球場を見れば一目瞭然なように、今やそのほとんどが天然芝である。

天然芝と人工芝は、その上でプレーする選手にとっては、天国と地獄ほどの違いがある。たとえばダイビングをして、ボールを取ろうとすると、人工芝の場合は、こすれてやけどを負ってしまうこともある。しかも滑りが天然芝に比べてスムーズではないので、足に引っかかると捻挫をしてしまう可能性も指摘されている。人工芝の利点はといえば、後楽園のように、野球が無いときには、その人工芝を引っぱがして、コンサートやイベントに使用するための経済効果しかない。こんなことでいいのだろうか。 

選手会の力が、大リーグに比べて、弱いのも一因かも知れないが、このような選手無視の球団経営が、今後もまかり通る限り、日本プロ野球は好むと好まざるとに拘わらず、大リーグに呑み込まれていくことになる可能性は大きいと私は見る。何も呑み込まれるといっても、吸収されると云う意味ではない。それは選手を無視した球団経営を続けるのであれば、有望選手は、より条件の良い、新天地を求めて行く、というのは自然の成り行きだ、と云いたいのである。日本プロ野球危うし。


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2001.4.10