クジラより人間が問題!!


国際捕鯨委員会が、この5月20日から、日本で開催されている。

私自身、もうすっかりクジラの肉の味など忘れてしまっている。味は、マルハのクジラの缶詰の味で覚えている程度だ。さほど旨いものではないが、ないと思えば食べたくなるのが人情というものだ。

今捕鯨をめぐって、世界各国の政治的思惑が揺れている。
捕鯨反対派は、クジラは高等な知能を持った哺乳動物で、残酷だ。と云い、推進は、クジラを食することは文化である、と主張し合う。考えてみれば、どっちも自分たちに都合の良いことを述べ合っているに過ぎないが、知能の豊かなクジラから言わせれば、迷惑な話だ。

捕鯨反対の急先鋒はアメリカだ。彼らはクジラの脂を取るために、それこそ江戸時代の太平洋を荒らし回った連中だ。それが今になって、捕鯨反対とはいったいどうしたことだ。肉食の国アメリカが、クジラの肉よりも油を取るために殺していた事実は消えない。その罪滅ぼしでもあるまいに、クジラの頭数を気にし出すとはおかしな話だ。旅行鳩の絶滅という話がある。かつて北アメリカに棲んでいた渡り鳥で、渡りの季節になると空を覆い尽くすほどの群れが、数日間切れ目なく飛んでいたといわれる。体長40センチもあり、大変美味だったこともあり、不幸にも1914年アメリカの人間に食べ尽くされて絶滅してしまったのである。別にアメリカ人に限ったことではないが、増えすぎているのは人間の方だ。クジラではない。

捕鯨賛成の急先鋒は、云うまでもなく我が日本だ。最近日本を始めとする捕鯨推進国からは、クジラが増えていて、他の魚が捕れなくなっている。だからクジラはもっと捕ってしかるべきだ、というような主張がなされている。しかし捕鯨をやっていなかった時代から海の生態系は、別に狂っていなかったはずだ。クジラがあたかも生態系を崩しているように主張しているが、厳密に言えば説得力という点では乏しい。問題は、魚を食べる人間の数が増えて、地球全体の生態系に無理があるのである。要するに食糧問題だ。

でも怖い話だが、空から超高等生物の宇宙人でも飛来して、地球環境が、住みやすいと感じてしまったらどうだろう。身長が5m。100mの跳躍力を持ち、しかも知能はスーパーコンピューター並。好物は、人の唐揚げ、何てなったら、それこそ人間は旅行鳩の如く、絶滅の危機に遭う。クジラ問題の本質は、世界の生態系の問題に行き着く。要するにクジラが少ない多いではなく、地球環境にとって、大きな弊害は人間の人口の激増にこそある。佐藤

 


2002.5.21
 

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