久々に痛快なニュースを聞く感じがした。
20歳の天才スイマー「北島康介」の200m平泳ぎでの快挙だ。7月24日に行われた第10回水泳世界選手権大会、同種目決勝において、100m平の世界
新での金メダルに続いて、又しても世界新で、同種目を制したのである。
この200mでは、自己の持つ世界記録を一ヶ月前に、隣で泳いだロシアの選手に更新されていて、世界記録の奪回をかけた勝負でもあった。すでに一ヶ月前、
「記録は破られたけれども、抜き返す自信はあるし、それだけのトレーニングを続けている」と語っていた。そして世界選手権の前には、はっきりと「ふたつの
世界新とふたつの金メダルを狙う」と明言していたのだ。まさに有言実行したわけだが、この快挙の裏で、ひとつ驚いたことがある。
それが200mを全力で、泳ぎ切っているのに、この青年は、口で呼吸をしていないということだ。まったくインタビューの時でも、呼吸が乱れていない。この
ことは、今や大リーグのスーパースターにおさまったイチローにも共通する所だ。三塁打を打って、全力でサードベースまで、駆け抜けても、イチローは、口を
開けてハアハアというような姿はない。何もなかったように鼻で息を吸って、すっと立つ。それがイチローだ。彼らの心臓は、全力運動をしても、余裕を持って
働いているのであろう。
スポーツマンに限らず、呼吸ということは実に大事だ。禅の修行で、座った時、自分の呼吸を整えるように息を吐き、そして新鮮な空気を吸う。むしろ禅では、
吸うことよりも、吐くということが大事であるとされる。吐くという行為が完璧になされていれば、吸うという行為も完璧になされる。体の中の古い空気をすべ
て吐き捨てて、新しい気を全身で受ける。
吐くという行為は、死に似ている。完璧に死ぬことで、完璧な来世が来る。もちろん呼吸においての来世とは、新しい空気を吸うことである。人間は、空気をな
くしては、生きられない。空気を取り入れることによって、新しいエネルギーが体中に充満し、様々な行為を息を切らすことなく成し遂げることができるのであ
る。
今回の天才スイマー北島康介の快挙に触れ、改めて人間にとっての呼吸というものの大切さを学んだ次第である。佐藤
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