人の出会いというもの

菅原さんから聞いた不思議な話



世の中には不思議なこともあるものである。

昨日、私は、菅原次男さんの所に、深野稔生氏という人物の書いた「宮城 山遊び山語り」(栗駒・船形編 無明舎刊1999年1800円)という本を送った。たまたまその本が、くりこま荘に着いたその日(3月25日?)に、偶然にもその著者の深野氏が、くりこま荘に泊まられたそうである。

深野氏は、仙台在住の登山家であるが、栗駒山の歴史や民俗にも興味を持っておられて、栗駒山関係の本を何冊か出版されておられる。私は菅原さんの考え方と共通することがあると思って、何気なくこの著作を送ってみたのである。

今回の深野氏のくりこま荘の停泊は、本当に偶然のことであった。氏は、その日、山の仲間と、栗駒山で冬山訓練か何かをされていて、天候の急変により、外でのキャンプ設営を取りやめ、くりこま荘にやってきたらしい。そこで自分の新刊と出会ったのだから本人は、それこそ驚いたに違いない。

「これはどちらから?」と深野氏が自分の著作に指を指す。

すると菅原さんの奥さんが、
「これは今日東京から送って貰って着いたばかりの本です」

「そうですか。実はそれ私が書いたものです」と、いうことになったのであろうか?
深野氏も感激に感激したらしく、その本にすぐにサインをくださったそうだ。

たまたま菅原さんも忙しくて、その夜は、二人の対面はなかったようであるが、次の日には連絡をとって、くりこま荘にその本を20冊ばかり、置いて販売することにしたそうである。別に多くの話を交わすまでもなく、菅原さんと深野氏は、何十年来の友達のように一瞬で分かり合えたに違いない。

世の中には、ずっと一緒に暮らしていても、分かり合えない者がいると思えば、山というものを介して、無言で分かり合える人たちもいるのである。

菅原さんが、あの人なつっこい笑みをたたえながら、私に言った。
いや、佐藤さん、偶然とは面白いね。偶然とは言えない偶然。こう言うのを共時性(シンクロニシティ)というのかね?人生はこれだから楽しいね」佐藤
 


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2000.3.29