ー柳の御所の変貌と御所桜ー
平泉御所桜
(2003.4.26/佐藤撮影)
2003年4月の段階では、目の前に北上川が見える。しかし11月に行った時にはこの前に巨大な盛り土がなされ、更に景観は変貌してしまった。
平泉御所桜
(2001.4.28/佐藤撮影)
二年前の4月には、旧高館橋があって、このような景色が拡がっていた。
高舘懐古
前後の戎衣一に治まり 平泉の盛んなるを見るに 大路に車の行あり帰あり 左右の家々は軒睦び 柱契りて いとめでたし 蟻の如くに集まれる人も 顔新しう過がてに 何方行らんもしらず 猛き武士は金鞍に跨り 嫋やかなる女房は銀簪を挿頭す 糸による柳の御所は翠に 琴の音を絶やさず 風かほる伽羅の御所には 袖を翻し裳を掲ぐ 猶四方の風色をいわば 衣の関は もろともにたたましものをと いづみ式部が離情をつくし 衣川は たもとまでこそ波はたちけれと 源重之が涙をそそぐ 衣が滝ころものさとの月の山は ながれに湧き 白山には雪の曙を思ふ 国見山 室根山 束稲山は 花雲に聳え 稲瀬の辺りは 時鳥のいなせ鳴くなり 磐井の里は木立しぐらみ 金鶏山は暁を報じて 時守が鼓を和するに似たり はた毛越寺堂塔の四十余 禅房五百余宇 中尊寺金色堂 経堂 吉祥堂 荒ぶる神社仏閣 山々日に映じ月に輝く 就中 琵琶の柵は義士和泉三郎の砦にして 碧流岸を打ち北上川に落て 高舘に沿うたり 源延尉に傳きたる屋敷は 衆星の北辰を回るが如く ここに立ちかしこに分かつ まいて秀衡一門の栄耀さらにいうべくもあらず 口を甘んずるには鳳を裂き 燐を放る目を喜ばしむるには炎天の梅花玄冬の桜も 凡てこの時に遅れじと装う 鶴は九皐の巷に千秋を諷 亀は十符の浦に万代を寿しも たゞ今ただ 山そびえ川ながれたり秋の風 大島蓼太 「蓼本句集 明和六年秋の部」 |