義経伝説ホームへ

義経エッセイINDEXへ

「ガチンコ」の大ウソ(?)を見抜く

−視聴率がすべて?−


TOKIOが出ているガチンコとかいう番組がある。TBSの火曜九時のやつだ。この中で、最近元世界チャンピオンの竹原慎二がコーチとして、不良を集めて、プロのボクサーを目指すコーナーがある。初め、見たときには、随分面白いと思った。何しろどうしようない手が付けられない連中を、竹原が体を張って、鍛えるというのに惹かれた。ボクサーになって一攫千金を目指す、連中を一人一人竹原が相手をして、みんなノシてしまった。実に痛快だ。こんな先生が、日本中にいれば、日本から不甲斐ない若者は居なくなるのでは、と本気で思った。

今週は特に興味を持って見た。それは最近に世界チャンピオンから陥落したばかりの畑山隆則が出て、本気で怒って切れそうになる予告篇を流していたからだ。果たして怒った畑山は、生意気な不良を本当にぶちのめすか、と期待したからだ。ところが、寸前で、止めてしまった。まあ、カメラが回っているから止めたのか、と思ったが、どうも変な気がした・・・。

このガチンコでは、同時並行的に、ラーメン修行のコーナー。鈴鹿八耐に出るためにレーサー修行のコーナー。「大検」受験のコーナーも進んでいる。各コーナーとも、必ずキーマンになるどうしようもない不良が登場する。こいつは、根性がひねくれ、ねじ曲がっていて、必ず騒動を起こす、ストーリーが展開する時には、必ずそのキーマンが口火を切る。(おそらくキーマンだけがタレントで、それ以外の人間は、素人だろう。)

このパターンに気づいた時、私の気持ちは一瞬に白けた。これはガチンコではなく、限りなくヤラセの番組に近いと思ったからだ。私は常に本気でこう思っている。「根っからの不良という人間はいない。何かのきっかけでそうなっているに過ぎない。彼らの中には、純な気持ちを持っている人間も多く、自分の才能に気づいた時には、大物になる人間も出る。」と。その中のヒーローが拳だけで世界チャンピオンになった竹原であり畑山である。そのヒーローにため口を聞くはずもなければ、目線を合わせられるはずはないというのが、私の考えだ。だからこの番組に出るキーマンとなっている人間は、明らかに私の不良のイメージからは異質だ。しかもラーメンにしても、大検にしても、どのコーナーも同じようなパターンがあることに気づいた。

そこで、とある人物に聞いた。
「あれはヤラセですかね」
「ああその通りさ、ある程度のストーリーが決まっていて、やばくなるとスタッフが入ってくるだろう。あの時は、誰かが本気になった時さ。」と答えた。この人物は著名な空手道場の大幹部で、実際自分もそのような番組に参加したことがある人だから間違いないだろう。

そうしてこの前の台本を私が復元すれば、こんなことになるだろう。

1、畑山登場。
  竹原に挨拶し、前の塾生に指導をする畑山。
2、新しい塾生達は、その様子をじっと見ている。
3、畑山、指導を終わり、出ていこうとする。
  新しい塾生の方は一切振り向かず、出ていこうとする。
4、キーマン、畑山に向かって、暴言を吐く。
  「俺たちにも教えてくださいよ。畑山さん。もう世界チャンピオンじゃないんだから、気取らなくていいじゃないですか」

この世界チャンピオンじゃないんだから、というフレーズは畑山には知らされていない。おそらく呼び止めて何かいうんで、反応してください。とスタッフが、畑山に口で言っていたはずだ。知っているのは、キーマンのタレントだけだ。きっとキーマンのタレントはびくびくしながら、このセリフを言ったに違いない。「何かあったら、俺たちが止めるから大丈夫さ」と言われて居たはずだ。

こうしてあの時の、畑山が迫真の怒りのシーンが撮影されたのだ。本気で畑山は、怒った。もしカメラが回っていなかったら、こてんぱんにあのキーマンをノシていたに違いない。まあ、その前に、どっきりカメラの如く、「すみませんこれにはシナリオが有りまして」とスタッフが入って来たと思うが・・・。

残念だが、敬意を表すべき世界チャンピオンをB級タレントの如く使ってこのような番組を作る番組の制作者の感性に腹が立った。視聴率が上がれば、なんでも許されるのか?テレビ界では視聴率が王様のようだ。
佐藤
 

 


2001.8.31

義経伝説ホームへ

義経エッセイINDEXへ