ディズニー成功の秘密

 

朝日新聞が、ここ最近「新世紀を語る」というインタビューを掲載していておもしろい。四月二十七日は、次のようなインタビューが載っていた。

我々は、ディズニーは、アメリカ文化を輸出しているわけではありません。我々はディズニーを輸出しているのです。ディズニーの秘密なんて別に複雑なものではありません。ゴミが落ちていたら拾って清潔にし、トイレは並ばないですむほど十分に用意し、人々には優しく魅力的な笑顔で接する。ただそれだけのことなんです

その内容からも分かるように、言葉を発したのは、マイケル・マイズナー(ディズニー社最高経営責任者)という一人の経営者だった。

実に含蓄のある言葉ではないか。確かに世界中の多くの人々が、ディズニーの映画を愛し、そのキャラクターを持ち、ディズニーランドに足を運ぶのは、それがアメリカ文化だからではない。最大の理由は、ディズニーという一企業が、創り出すキャラクターやストーリー、テーマパークなどが、気ぜわしく生きることを強いる現実社会を忘れさせて、夢のある世界に誘ってくれることにあるのである。

かつて中国から日本に留学していた作家魯迅も、ディズニーのアニメ映画が大好きだったという話を聞いたことがある。ディズニーがこれほど世界的な人気を博し、世界に冠たるディズニーワールドを構築できたのは、創始者ウオルト・ディズニー(1901〜1966)の基本のコンセプトが、広く世界中の人々に支持された結果である。

創業者ウォルト・ディズニーは、北欧やドイツなどの童話をベースとしながら、アニメーション(動画)という新しい技術をいち早く取り入れることによって、異なる文化の中で育った人々も受け入れられる世界共通語としてのディズニーアニメを創作し、世界中に輸出した。当然のことながら、ウォルトは、後継者のアイズナー同様、何もアメリカ文化を輸出しようとしたのではない。やはり自分の大好きな夢を世界中の人に見せたかっただけだったのである。

現ディズニー会長のアイズナー氏は、1942年ニューヨーク州に生まれた。今年で58才。大学では、英文学を専攻し、大学では「金融の知識より人間について多く学んだ」と語っている温厚な人物だ。しかし経営者としては、85年映画会社パラマウント社社長を経て、ディズニー社の会長に就任すると、「アラジン」や「ライオンキング」などのヒット作を連発し、テレビ会社「ABC」の買収や斬新な企業改革を矢継ぎ早に発表し、「ハリウッドで最もどん欲な野心家の一人」(ニューヨーク・タイムズ紙)と評されているほどの異能の経営者である。そんな彼は、自分の存在については至って謙虚にこのように語っている。
私は創業者のウォルト・ディズニーが画いた夢の、一時的なマネージャーに過ぎない

大事な事は、ディズニーの創業者、ウォルト・ディズニーの描いた夢そのものが、時代や国家のような枠を越える素晴らしい発想だったことによるのである。シンプルに夢を追い続けることは本当にたいせつだ。佐藤
 


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2000.4.27