(1997.11.18 16:46 共同通信ニュース速報)

長崎水族館の閉館を承認 経営会社が臨時株主総会

 日本最多の七種類のペンギンなどを飼育する長崎水族館(長崎市)の経営主体、長崎観光開発(高比良耕治社長)は十八日、同市内で臨時株主総会を開き、来年三月末の会社解散と水族館閉館を承認した。
 水族館については、市が設けた懇話会が「教育的見地から新しい水族館が必要」との結論を出したが、伊藤一長市長は「県と協議を進めるが(新水族館のオープンは)閉館後すぐには難しい」としており、場所などもまだ決まっていない。ペンギンやラッコなどは当分の間、清算会社が飼育する。会見した高比良社長は「経営に行き詰まり仕方なかった。貴重な生物の飼育ノウハウはぜひ残してほしい」と話し、市が新水族館を建てる場合はペンギンなどを無償譲渡したいとの考えを示した。
 また長崎市を一望する観光地、稲佐山の同社のロープウエーは、無償譲渡される市が営業を引き継ぐ。




(1997.10.31 長崎放送NBC報道センター

長崎水族館 新設を答申

 運営会社が解散するのに伴い存続が危ぶまれていた長崎水族館について、学識経験者などからなる水族館事業検討懇話会は31日長崎市に対して水族館を新設するよう答申しました。提言では「水族館は教育的な面から必要」、とした上で「生き物に触れ、環境を学ぶ施設として新しい水族館を建設すべき」としています。また水族館事業は全国的にきびしい運営状況にあることから新設にあたっては過剰投資をせず、他の施設と複合することも検討するよう求めています。答申に対して、長崎市の伊藤市長は、移転先の公有地については今後県などと協議して決めていくことになるが、水族館が閉館する来年3月から1年以内に新しい水族館を開館するのは難しいとの考えを示しました。


同じ情報がここにもあります。

毎日新聞ニュース速報 1997.11.14?)

ペンギンパレード最後のシーズン

<雑記帳>ペンギンの屋外散歩始まる−−長崎水族館
◇経営難のため来年3月に閉館する長崎市の長崎水族館で14日、ペンギンの屋外散歩が始まり、地元の幼稚園児がペンギンと一緒に“最後”の園内散策を楽しんだ。
◇1959年に開館し、オウサマペンギンの日本最長飼育記録(35年半)を更新中。現在7種116羽のペンギンを飼っているが、閉館後の落ち着き先はまだ決まっていない。
◇散歩は寒い時期の恒例行事。赤い蝶(ちょう)ネクタイを付けて坂道をヨチヨチ越えるペンギンに園児は「がんばれー」の大歓声。でも、ペンギンの丸い背中は何となく寂しそう。 【中尾 祐児】





(1997.8.24日本経済新聞)
“ペンギン王国”来年3月閉鎖へ 
 国内で最多の7種類のペンギンを飼育している長崎水族館(長崎市宿町)が、入場者の減少で来年三月で閉鎖されることが確実となった。同水族館は計150羽の多くが群れをつくって暮らし、6種類の繁殖に成功した「ペンギン王国」だが、閉鎖後のペンギンたちの行く先は決まっておらず、飼育関係者は心配そうな表情を見せている。
 長崎水族館は、1959年開館。親会社が南極海で捕鯨をしていた水産会社で、同じ年にペンギンを寄贈され飼育を始めた。野生のペンギンの寿命は約15年とされるが、同館は、南極条約でいまは国内にいないもっとも大型のコウテイペンギンの「フジ」を28年5ヶ月飼育し、オウサマペンギンの「ぎん吉」は、35年を超えて今も健在だ。
 施設の老朽化や交通の便の悪さに加え、近年相次いで開館した大型水族館に客が流れ、入場者数は最盛期だった67年度の41万人が96年度は12万人に落ち込んだ。
 同館によると、フンボルト、ケープペンギンはワシントン条約で、他のペンギンも生息する地域の政府の許可がないと取り引きできないため新たな入手は難しいという。
 同館の楠田幸雄飼育課長は「新しい場所に移り、環境に慣れ繁殖するまでに3年はかかると思う。できればこのまま飼育を続けたいのですが...」と残念そうだ。




(1997-07-01 西日本新聞)
稲佐山ロープウェイなどの存続を県市に要望
 長崎水族館、稲佐山ロープウェイを経営する長崎観光開発(高比良耕治社長)は三十日の取締役会で、経営状態の悪化を理由に来年三月末で両施設を閉鎖すると発表、同日施設の運営・存続を県、長崎市に要望した。
 長崎水族館は一九五九(昭和三十四)年、長崎国際文化都市建設法(一九四九年成立)にのっとり、マルハ、長崎放送、長崎市などが出資、同市宿町にオープン。飼育動物は四百四十種六千点。中でもペンギン類は七種百十羽と国内最多種を飼育中。オウサマペンギンの「ぎん吉」は、国内最高齢の三十五歳。メコンオオナマズも国内唯一飼育している水族館。しかし、交通アクセスの悪さや近年、各地に類似施設が建設されたことにより六七年の四十一万人をピークに年々減少、昨年度の入場者は十二万二千人に落ち込んだ。
 ロープウェイも同年開通。長崎の夜景を売り物に開業したが、八八年度に始まった同市の稲佐山公園整備で登山道路と駐車場が完備。車で登れるようになり、九十年度の四十万二千人をピークに利用客が減り始め、昨年度は二十五万四千人に。両施設の累積赤字は八億三千九百万円に膨れ上がった。
 高比良社長は「リストラなど事業改善に取り組んだがこれ以上の改善は困難と判断、存続を県、市に検討してもらいたい」と要望。これに対し伊藤一長長崎市長は「ロープウェイは長崎観光に欠かせない施設、水族館とともに早急に関係者で委員会をつくり対策を検討したい」とした。