光を守る者

光を守る者



「いろいろと参考になりました。今度は勝てるかもしれません。」


アスカを参謀個室のドアで見送ってから、イルマは、デスクに戻った。 イルマは、彼が現われるまで、次の作戦行動を、GUTS の戦闘データ も用いてシミュレーションしていたのだが、急を要するはずの作業が、 全く手につきそうもない。
いまの青年は、SUPER GUTS の隊員として、デスフェイサーとの戦いに備えようと している。参謀秘書システムからの情報によると、あのアスカ・カズマの 息子であるという。確かに、勇猛果敢に戦おうという、強い意思が感じられる 好青年だ。自分の部下として働いてくれた、かっての GUTS の隊員達と比較しても、 まさるとも劣らぬ能力を持った人間であることは間違いなかろう。 ダイナの敗北を目にして、何とかダイナをアシストしようと考えているのかも しれない。
だが....それだけだろうか。自分は、以前に、奇妙な主体性を感じさせる 青年と接していたことがある。アスカは、言葉の上で、ダイナの主観、ダイナとの 一体感を感じさせていた。だが、あの発言と、意気込みが、単なる、”戦闘チームの一員”としての 使命感から出ているような気がしない。
彼はまさか、 ”ダイゴ” ....いや、いくら偶然とはいえ、自分のまわりに、そのような人間が 二人も現われることがありえるのだろうか.....しかし......


彼女は、個室内のロッカーを開いた。そこには、彼女が、かって愛用したユニフォームと、ヘルメットが ある。そして、ロッカーのドアのキーボードに暗証番号をいれると、ガンホルダーが開いた。


彼女は、受話器をとると、TPCの参謀会議室へ電話した。そこには、制服組と私服組の幹部、そして、 事態の推移に重大な関心を持つ、TPCの各支部の連絡員が集結し 、デスフェイサーの出現に備えて待機しているはずである。イルマは、現場経験を買われて、 参謀としては例外的な、”作戦参謀”という役割を与えられてはいるが、本来なら、いまの 作業が終了し次第、そこに戻らねばならない立場である。

「もしもし、イルマ参謀ですが、総監は、おいでですか?」
「何だね?」
「作戦行動の”連絡”に、現場に出向く必要が生じまして....」
「......現場への移動はどうするね。ヘリなら、パイロットを手配するが...」
「いいえ、急いでおりますので、できれば、自分で操縦できればと...」
「.....わかった。では、ウイングの”レッド”を使用したまえ。”邪魔”かも  しれんが、対地攻撃用のミサイルポッドをはずして、ニードルを装備  した。”連絡”には必要なかろうが、敵のガトリングに対抗して遜色のない  武装は、したつもりだ。ついでだが、縦列の複座から、単座に変更になっている。  ソフトは、可変長鞭にあわせて.....」
「ありがとうございます。”連絡”には十分な武装だと思います。」
でも、あの専用機は、偵察機並の軽武装に変更されていたはずでは....一体、いつの間に...
「イルマ君。」
「はい。」
「月基地の彼には連絡を入れておこうか?」
「...いえ、戻ってから自分で連絡します。」
「もし、”成り行きで”戦闘に参加してしまった場合は、始末書を書かせてください。」
「ははは。参謀にはそんなものはないよ。」



イルマは、隊員服に着替えると、秘書の前を通って廊下に出る。参謀の隊員服姿を 目にした秘書は、驚きで、「イ、イルマさん、いえ、イルマ参謀!ど、どちらへ?」 と、声をかけるのがやっとである。イルマは、微笑んで、軽やかに敬礼のポーズをしながら部屋を出る。 廊下ですれ違う人々は、みな、一様に驚きの表情を浮かべて道をあける。彼女は、 すでに、解体されたはずの GUTS の戦闘服に身をつつんでいる。彼女の経歴を知らなかった 者達は、イルマが、GUTS のイルマと同一人物であったことに気づいて、驚いているようである。 彼女は、歩きながら、ガンと、レシーバーのエネルギーをチェックをして、GUTS 制式装備の チェックを終えると、基地のハンガーに無線を入れていた。
イルマは思う。かって、自分は、傍観者としてティガにかかわったにすぎない。そして、 隊長ではあっても、ヒーローとしてのダイゴを救うことは出来なかった。だが、もし、 アスカが ”光を継ぐもの”であるならば、自分は、喜んで、その ”光”を守りたい。 それが、ティガを知る自分の努めだと思うから.....


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