そして....

そして....



(麗、ダンに向かって、怪訝な顔で)
「おじさん! おじさんって、やっぱり、宇宙からきたのかなぁ?」

(ダン、麗の肩を軽く抱いてほほえむ)
「麗ちゃん。君だって、”地球人”なんだよ。」

(母親、硬い表情のまま)
「短い間でしたけれど.....」

(ダン、軽く微笑みながら)
「お世話になりました。そろそろ、お邪魔します。」

「おじさん、いっちゃうの? さびしいよ。おかあさんだって....」
(母親のほうを見やる)

(麗に向かって、微笑みながら....表情は硬いまま)
「だめよ。おひきとめしては.....」

(何かをふりきるように。無理に微笑んでダンの方を)
「やっと、ご自分を.......とりもどされたわけですね.......」

(ダン、大きくうなずく)

(母親、静かに)
「では、ここで、お別れ....しましょう。お元気で.....」

(麗に向かって、そして、母親に向かって)
「さようなら。麗ちゃん!」    「さようなら。」

(ダンに、かけよろうとする。それを母親が軽く制止する)
「いかないでよ。おじさん。」

(すでにあきらめがついたように、軽く微笑みながら)
「だめよ、麗ちゃん。おじさんには、大事な御仕事があるんだから。」

(母親、ダンに向き直り)
「じゃ、さようなら、おじ....いえ....」

(ダン、力強く)
「モロボシです。」

(麗は、はにかんだ様子で、手を振る。母親は、軽く頭をさげる)
「さようなら、モロボシさん。」


母親は、麗の手を引くと、彼から離れ、そのまま後ろをふりかえる
こともなく、夕闇の迫る1本道を歩き続けた。
しばらくして、彼女が、麗に気づかれないように振りかえると、そ
こには、彼の姿はすでになく、夕焼け空のかなたを、小さな物体が
去ってゆくのが見えただけであった。
自分は、いままで、退院してゆく人々を、暖かい気持ちで見送るこ
とができた。でも、こんどだけは、”患者”が記憶をとりもどす
ことを、素直に喜んであげることができなかった。人は、自分達を
白衣の天使と呼ぶ。でも、自分は人間、いや、女なのだ..........


そして、彼は......

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