三人娘


  ここでいう三人娘は、私の年齢の人間の共通体験である ”花の中三トリオ” と呼ばれた人々ではない。 ”元祖”3人トリオなのである。

  • 私の美空ひばり体験

      私は、演歌が苦手、着物を着た歌手によって歌われる歌謡曲が苦手であるから、もちろん、美空ひばり 氏にも、全く興味はなかった。そして、子供の頃観ていた”象印”の番組で、頻繁に歌われる”悲しい酒”を 聴くたびに、なぜ、この曲が愛されているのかが、全く理解できず、不思議に思っていた。

    そして、20年近く経ったある時、私は、仕事の疲れを忘れるために、膨大な量の映画を観るようになって いたが、習慣になり、たまたま、オールナイトの ”ひばり特集”を惰性で観ていた。
    三人娘が歌い、踊り、青春を謳歌する映画、ひばり氏が主演の映画が、次々と上映され、映画館の中央に 陣取った、ファンクラブ ( もちろん、すでに、ひばり氏は他界されている) の、黄色い声援、”いいぞー” という声。そして、映画館のあちこちから、”いよっ、ひばりちゃん!”という声があがる。
    こういう雰囲気に慣れていなかった私は、ただ、”うるさいなー。映画観ているのに。”と思うだけであったが、 映画の中で垣間見る、当時の風物、当時の人々の心意気を感じるたびに、私も何かを感じ取っていたよ うな気がする。ひばり氏は、天才と呼ばれているが、それは、大衆と隔絶された意味での天才ではなく、 何か、それ以上のものだったのではないか。

    夜明け方、自分でも、ひばり映画が楽しめたことに、非常に驚いていた。そして、翌週、はじめて、 演歌コーナーから”ひばり”のCDを選んだ。

    こんど京都へ行ったときは、記念館をのぞいてみようと思う。

  • 歌手だった江利チエミ

      私は、映画の ”サザエさん” を観たことがなかったが、江利チエミ氏演じるテレビ版を 観たことがあり、ドラマの中のコント(?)の印象から、”あか抜けない、つまらないドラマ” という固定観念を持っていた。映画版のほうを観たのも、たしか、美空ひばり特集のときだったのではないかと 思う。
    映画で観はじめても、”オールナイトだからこそ観ているが、ふだんなら、とても観る気にはならないなー。”と 思うと、眠くなるばかりである。
    映画が終わりに近づくと、サザエさんが、マス男のご機嫌をそこねてしまい、2人で家の外に出て語り合う場面 があった。もちろん、ドラマの性格上、サザエさんは、まったく色気がない。だから、ご主人にこびるような行動 をとるわけでもない。いわば、子供の行動原理で動いているだけなのである。そして、何をしたかといえば...なん と、”テネシーワルツ”をうたって、2人で踊りはじめてしまったのである。だが、どうみても、そこに現われた 個性は、江利チエミであり、ここで、登場人物と、女優本人が、奇妙に融合した妙な場面が出来上がってしまっ た。
    ”テネシーワルツ”....いわずと知れたヒット曲である。私は、この曲について、”スタンダードの名曲”という印象し かなく、チエミ氏の曲だとは思っていなかった。実際に映画の中で聴くと、どうも、方言のような、演歌のはい ったような、奇妙な曲になっている。やっぱり、私には受け入れることのできない歌になってしまっている。
    女優ではあるが、もともとは歌手である彼女の魅力を、私は、非常に奇妙な場面から感じはじめていたのである。
    若くして亡くなられた彼女のお墓、あるいは記念碑のようなものが、どうやら、私のすんでいる場所の側にあるらしい。 そのうち、訪問してみよう。
    続く。

  • 歌って踊る”お人形”雪村いづみ

    3人娘映画のシリーズは、喜劇であるからあたりまえだが、ハッピーエンド、ストーリーは、ワンパターン である。そして、これらの映画のなかで登場する彼女の役回りは、”日本人離れしたダイナミックな 姿態を持っているが、単なる強がりで意地っ張りの愛すべき女の子”...といった役柄であった。
    他の2人の個性が強すぎるばかりに、彼女の演技が目立たない感もあるが、主役をされた”狸御殿”映画では、 おしゃまなお姫様と町娘の役を演じ分けるなど、芸達者なところをみせておられる。
    近年は、娘さんともども、絵画の方面でのご活躍が華々しいようであるが、昭和40年代のショーは、さぞかし 華やかだったことであろうと思う。



    続く


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