光去る


最後の闘いが終わって数年が経過した。光の巨人が消えた後も、怪獣は現われたが、通常火器の範囲を超えたレベルの敵は現われなかった。

定期パトロールの指示を終えて、館内の幹部向け食堂で昼食をとっていたイルマは、ふと、人の気配を感じて振り 返り、すぐに立ち上がろうとした。椅子が大きく揺れた。

「おっお久しぶりです。総監」

「いつもながら硬いね。でも、そこがいいところなんだろうが。ここ、お邪魔していいかな。」

「どうぞ。」
「お珍しいですね。最近は、ときどきお見かけしていますが。」

「君もそうだろう。食堂になんぞ足を向けることがなかったくせに。最近は定期パトロール中心の勤務で、飽きないかね。」


「とんでもございません。平和であることを感謝しなければ......」

「.........」

「ところで、彼は、どうしているかね ?」

ここで、2人は、ちょっと口ごもった。


「そうですね。今頃、どうしているでしょうね。」

「レナ隊員の”ダイゴーーー”という絶叫を聞いたときには、私は声を失ってしまったからね。」

「私は.....」


「訓練で心身が強靭になったといいながら、いざ、なにかあると、まとったものが、すべて消し飛んで しまうもんなんだね。」


「あの後、ティガの秘密を解き明かすために、彼に無神経な質問を投げかけたり、精密検査を 繰り返したり、思えば、我々は、ずいぶんひどいことをしてしまったものだ。君や、隊員諸君が反対 するのも聞かずにね....」

「ええ。私もしっかりと、彼をかばってあげればよかったんですが....」

「でも、逆行催眠と、DNA のチェックの話が起こったときに、強烈に反対したじゃあないか。 あのとき、私は、やっと、目が覚めてね。
調査という名目で、あの若者を実験動物のように扱うことが、許されるべき ではないんだと。調査も、あの段階では外部の協力も必要になって、GUTS以外の TPC関係者が知るところになるだろうし。」

「結局、神の力と、もろい人間の精神という、アンバランスな組み合わせが、どれだけ彼には重荷 だったことか....」

「....................」

「彼の口から、”そろそろ.....休んでもいいですか。”といわれたときは、ショックでしたわ。」

「.......今頃は、どこを歩いているのだろうな......」

このとき、「イルマ隊長、イルマ隊長、至急、作戦室へお戻りください!」というアナウンスがあった。

「では、失礼致します。」

「じゃあ、また。」


イルマは、食器を片づけて、小走りに作戦室へ向かった。イルマの後ろ姿を目で追うと、 とりのこされたサワイは、スプーンを口に運ぼうとした。 が、ゆっくりとトレイの上に戻すと、軽く首を振って、席を立った。 彼のトレイは、まだ手付かずのままだった。


この頃、すでに GUTS の組織の改編、ティガ に関する調査の中止が決定されていた。 光が去った後の地球は、つかの間の平和をとりもどしていた。





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