「みんなゾンビ」 
      
『詩客』(三詩型交流サイト)第67号(2012年8月17日)掲載



  目的もなくて伸ばせば普通よりかなり長めに見える両腕

  本心のありかは知れず安直に射止めんとして狙う脳髄

  ためらわず撃ち抜くべきだ人間かどうかは顔でほぼわかるから

  生きるために喰うわけじゃない100%以上死んでるゾンビの場合

  慣れちゃえばめっちゃ楽しい 生き残るためにばかすかゾンビ撃つとき

  裁く価値さえないものが相手なら問答無用がいちばん強い

  殺すのもやさしさのうち なりたくてなったゾンビじゃないと思えば

  通じ合えたあのころのこと憶いつつ不意打ちっぽく鳴らす着メロ

  だから言わんこっちゃないって 甘ちゃんがまたひとり馬鹿なゾンビに?まれ
                              
  生まれ変わるとはこういうことか 人ならぬ怪しき本能湧き上がりくる

  心までが徐々に死んでくものらしい伝える声を失くしたあとは
  ながら
             たまきわ
  存えてみたい気はある魂極るリビングデッドと蔑まれても

  敵なんてみんな同じさ 撃て、殺せ、ときには逃げろ、目は合わせるな

  人でなしも人のうちだとようやくに気づく屍だらけの道で

  ゾンビから人にはなれぬルールだし、心おきなく撃ちまくろうぜ