「風が吹けば」
『Esほぅ』第25号(2013年5月)掲載
−「特集・暴力をふるう」参加作品−
またしてもじゃれついてくる悪気ではなくてときどき踏んじゃう猫が
ふ
黄砂降るこんな季節はすべからく目の不自由なア◯メ◯ラ殖ゆ
あの朝もそうだったっけ言葉ではだめなワンコにゃ拳固で聞かす
執行はボタンで済ます汚れなき幾千億のうちの一指が
尖りたる義なるもあれば突き刺しておかむ異国の暴君の背に
罰としてではない限りやりにくくないよう皮は死んでから?ぐ
聞かれたから小声で言うが理由なら決まってるじゃん憎くて叩く
虫、魚、獣、人、夢、天気、武器。結句言葉がいちばんこわい
いっちょまえにおまえ何様捨てられて橋のたもとで泣いてたくせに
かわいがりの一環として爪だけじゃどうせ開かないネコ缶を置く