「大和」
『Es風葬の谷』第28号(2014年11月)掲載
−「特集・和歌の声をきく」参加作品−
倭は 国の真秀ろば たたなづく 青垣 山籠れる 倭し麗し 倭建命
国ひとつ滅びしのちを還りゆく山河のはてにふるさとはあり
特攻にあらぬまことの神風のかつてふたたび吹きしといえど
この世をばわが世とぞ思ふ望月のかけたることもなしと思へば 藤原道長
世の中はみんなゲームさ 総理さえ知らぬみ空であべぴょんが跳ぶ
クレーターだらけのくせにうつくしい月が迫るよ低き地平に
あかあかやあかあかあかやあかあかやあかあかあかやあかあかや月 明恵上人
明るいは赤いと違う 焼く前に鉄の扉をかちりと閉める
そういえば心底愛したものなんてなーんもなかった、子とか妻とか
敷島の大和心を人問はば朝日ににほふ山桜花 本居宣長
大人だから教えてやれるあかねさす誇りまみれの愛国心を
や
快感のありさえすれば甲斐もなし演るヤル犯るのわずかな差など
まかがよふすめら御国の肇国をあらたにせむと誓ひたてまつる 斎藤茂吉
よき民となるべくまずはやや大き声を信ぜむことより始む
そ ら み やまと
戦では普通にころす 億万の大義ひしめく虚空見つ日本