「TRIAGE」 
      
『遊子』第31号(2024年12月)掲載



 人間でないものだけがやればいい逝ってなんぼの戦争なんて

 不老不死を夢見るのならまず先に進化論から乗り越えてみな

 うつせみのクローン産まる人類の英知と技とカネのちからで

 生まれつき裸であれば各々に似合う衣類を買うて纏えよ

 形だけでよかったのにと胸の奥に萌し始めし心でおもう

 命とかまごころみたくお金では決して買えないものがほしいの

 精神に全きはなく平凡な日々をコツコツ生きて育くむ

 人たるや否やによらず人権はこぞりて欲(ほっ)せ天賦ならねば

 異には異をもちて抗う意志の下粛々と為す 差別にあらず

 味音痴のキラー来たれり人という食えぬ獣を屠る使命に

 それもまたいのちと呼ぶか健全でない肉体に宿る何かも

 子らの身も心も共に買われゆく誰かが生きるための臓器が

 安楽死の理由たり得る すべからく意思はあるのに通じないのは

 人間でないものだけをやればいい戦争なんかと違うのだから

 無差別と差別の間(かん)を揺れながらやったさ やまゆりの咲く園で