「惑星の春」 
      
『現代短歌新聞』2013年4月号掲載


               たずき
  
水流の痕跡のみを方便とし生のありかを探らんとする
                                     かばね
  球体の内に詰まれるこの星にかつて生きいしものらの屍

  とまる場所あらぬ宇宙のあちこちに青光りして群れ飛ぶ蠅ら

  神話より先に存りたる神なればはしきやしヤゴ、ボウフラに似る

  終末ののちにこそ降れ雨、やがて新たなる種の兆す朝まで