『「私」と「悪」の文学論』は短歌同人誌「Es」誌上に発表した文章のうち、短歌以外のジャンルを主なテーマとするものを集めた評論集です。いつかまとめたいと思っていましたが、車谷長吉氏急逝の報に背中を押され、ここに刊行の運びとなりました。

 本はオンデマンド版の冊子と電子書籍の2種類を制作しました。理由は、できるだけ費用を安く抑えたいという一点に尽きます。これ以外にも短歌評論集や歌集を何冊か出したいと考えており、現時点ではそれらも同様の出版形態とするつもりでいます。1冊の本を作るたびに重い腰を上げて編集作業をしなければならないので、いつ実現できるかわかりませんが。

 なお、短歌の世界では、歌集、歌書を出版すると、有名歌人や歌の仲間、ぜひ読んでほしい方、お世話になった方などかなりの人数に贈呈するのが一般的です。そのような習わし自体は意味のあることだと私も思っていますが、本書については、「費用を安く」との趣旨を徹底するため、個人宛ての寄贈は一切行いません。代わりに、発売から約1ヶ月の期間限定で電子書籍版を無料で入手していただけるようにしました。十分な告知もできませんが、こちらからお知らせを差し上げた方はもちろん、偶然見つけたという方も、この機会にご一読くだされば幸いです。(2015/9/1追記:無料期間は終了しました)。

2015年7月31日 山田消児