「窓のある教室」
『Es裸子』第23号(2012年5月)掲載
経験者だからわかるの心って生きたり死んだり落ち着かないの
ええ、それもやさしさのうち あからさまに聞こえるようには言わないでおく
まとまるのは意外と早い何となくうざい一人がいるってだけで
美人でもブスでもなくてほぼ普通 そんなくらいがちょうどいいんだ
語源さえ知らないけれどとりあえず風にまかせてしてみるシカト
うわ
お決まりとはそういうことね 椅子のうえに画鋲はきちっと上向きに置く
場所的に狙い目なのは下駄箱の帰るときまで履かれない靴
意味なんか関係ねーよ落書きはバカと死ねだけ書いときゃ足りる
水責めに使うためなら少なくともバケツ程度の容量は要る
弱すぎないウサギばかりが選ばれる理由はあるといえばあるけど
力加減は知っとくべきだ顔や手の見えるところが傷つかぬよう
楽しんでるわけじゃないのよ 成り行き上勝ってるあいだはやめられなくて
快感はあった気がするわざとらしくツボを外して突き刺すたびに
人を見る目ならまかせて 逆らわないこういう子って案外不死身
責め方や殺し方なら神または正義の味方を真似るに限る
生きづらそうなあの子のためにあげるのはシンジャイナーしか言わないお経
笑ってる顔がまたいい枠の色次第で遺影にもなる写真
本当に死んでからでは遅すぎる送る言葉も机上の花も
煽ったりしていないのについてくるやられたくないだけのぐずぐず
悔やむときは心底悔やめ、お葬式ごっこじゃ皆が主役なんだから
コツというほどでもないが矛先は自分以外にその都度向ける
よ
喚ばれるのはひとり喚ぶのはみんなでと決めて遊んだ 花いちもんめ
一網打尽はカッコよすぎるほんの少し脛に傷もつ小鳥なんかには
あ
地もあれば空もまたある世界へと窓はいつでも開いていたのに
頑なに折れぬ背が見ゆ巣立ちの日の制服の群にまぎれてひとつ
長すぎる未来がこわい赦すのでなく赦される側と気づけば
味方などいないいらないいつまでも悪いキツネでいさせてほしい
ひとりきりで生きてくために仇よりも先に恩だけ返しておくわ
われながらちょっぴり不安返り血も浴びたことない清らかさでは
世間から見られるよりも見ていたいいっそ加害者の目つきのままで