雪桜咲く
−桑畑の種まき 桜−

沼倉の里桑畑の種まき桜

桑 畑の種まき桜
佐藤撮影

雪がしんしんと降る翌朝、外に出て庭先の桜をみれば、花が咲いたように陽光に輝いていた。信じられないほど美しい光景が目の前にある。寒さを忘れ、息を詰 め夢中でシャッターを押した。

彼方には雪雲に霞む栗駒山が、大日如来のように凛として下界をしっかりと見据えておられる。愚かな人間どもが、己の欲に任せて、右に左にちょこまかと動く のをどんな心境でみておられるのだろう。

むかしより日本人にとって老木や高山は神仏の鎮座する神聖な場所であった。もっと言えば、日本人の魂の寄りつくところが、木や山であった。しかしながら、 木への畏敬、山への畏敬、そんな美しい気持を、日本人はどこかに置き忘れてしまっているかにみえる。

雪止めば種まき桜神のごと天に向 かって大あくびかな

雪桜花し見ゆるは心にも桜求むる想ひそあらば



2006.2.3 佐藤弘弥