バベル第4話

[SCD]BABELの第4話をtext化したものです。


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第4話 花の名前

  マティウ皇子に招待されて
スカード大陸にやってきたゼルは
    ルーデンの村で
   一人の少女に出会った。

\begin{ビジュアル}
ウィート
「ねえねえゼル。ごちそうって?お
肉は?ケーキは?お菓子はあるの?
お花もある?」
ゼル
「あるさ。もっちろん」
ウィート
「じゃあねじゃあね、パパとママあ
るかな?」
ゼル
「それは…どうかな」
\end{ビジュアル}

少女の名前はウィート 両親もなく
腹をすかせて村をうろうろしていた
少女に食べ物を与え、話をするうち
にゼルはこの子がセフィアに似てい
ることに気付いた。

ウィートを連れ、白亜宮に着いた
ゼル達は、この館の主人 ゼンタ卿
の出迎えを受けマティウ、セフィア
と合流するが、なぜかアリサだけが
来ていなかった。

スカード大陸領主、ルイーゼン侯爵
に挨拶するためゼル、セフィア、
マティウの3人はダーナ城を目指し
て白亜宮を後にした。

侯爵は彼らを温かく迎え、マティウ
の事にも理解を示してくれた。
そして、セフィアに実の娘のように
いとおしげに接する侯爵に、釈然と
しないものをゼルは感じた。

その時、侯爵のもとにデュノクレス
教皇からの伝言が届き、侯爵の態度
が急にこわばり、ゼル達は追い帰え
されるようにダーナ城から出されて
しまった。

その伝言にはゼル達を力づくでも
捕らえておけとあり、ルイーゼン侯
爵は、あえて命令を破りゼル達を逃
がしてくれたのだった。

実は、調停者の村からまだ幼かった
セフィアを救いだしリーア教会に預
けたのは侯爵だったのだ。

ゼル達はしかたなく白亜宮に戻るた
めダーナ城を後にするが、立ち寄っ
た村で突然、調停者を探す人狩りに
襲われる。

彼らを統率していたのは、教皇庁の
神官長を名のるミラルヴァという男
だった。彼は軽蔑しきった態度でゼ
ル達に向かって邪魔をするなと警告
し立ち去っていった。

白亜宮に戻ったゼル達の前にデュノ
クレス教皇があらわれ、自分の意思
を受入れ協力者となることを提案す
るが、ゼルは目的のためには手段を
選ばない教皇の考えに反発し協力者
になる意思はないと答える。

教皇が去った後、行方不明のアリサ
を探すためウィートとセフィアを
白亜宮に残し、ゼルとマティウは
スカード大陸の村を巡ることにした

ルーデンの村に入ったゼル達はいき
なり人狩りの待ち伏せを受けてしま
った。

正規の軍隊よりも装備のよい
人狩りたちに苦戦をしいられながら
も、彼らの目的がウィートと同じ年
ごろの女の子であることに気付いた
ゼル達は急いで白亜宮に戻ることに
した。

村から出ようとしたゼルの後からウ
ィートが走り寄ってきた。ゼルを探
して白亜宮を抜け出したというウィ
ートを優しく叱ったが、ゼルは自分
が守ってやらねばならない者に勇気
づけられた思いがした。

白亜宮に戻ったゼルをなつかしい人
が待っていた。武装した詩人バハル
である。彼は旅の途中、負傷した
アリサを見つけここまで運んでくれ
たのだった。

アリサは道に迷った末にたどりつい
た廃村で人狩りに襲われ、瀕死の状
態のところを調停者の末えいだとい
うムカイ老人に治療され、バハルに
託されて白亜宮までたどりついたの
だった。

話を聞いたゼルはムカイ老人ならば
ミラルヴァと人狩りが何故ウィート
を捕らえようとしているか知ってい
るに違いないと確信し、

廃村の場所をアリサから聞き
マティウとバハルでムカイ老人に
会うため白亜宮を後にした。

ムカイ老人から、10年前と去年2
体の女の子を創ったことを聞いた
ゼルは人間の生命を自分の勝手で
創造して利用しようとしたムカイに
腹をたて彼に詰め寄った。

老人は渋々、自分たち調停者は神な
どではなく技術力が進んだ他の世界
から迷い込んだ普通の人間であるこ
とを語り始めた。

自分が創った二人の娘、すなわち
エレクトラ1と2は、調停者たちが
乗ってきた宇宙船アガメムノンの
航法用の生体コンピューターであり

現在の狂った進路を修正し、調停者
が故郷の里に帰る最後の手段であっ
た。それが失われた今、宇宙船の狂
ったワープシステムが創りだした

BABELの世界も、その狂気と共
に時空の歪に巻き込まれ消えてしま
うだろう。

ゼルはウィート、セフィアが調停者
が創った人造人間だと知ってがく然
とし、ムカイの行為も教皇やミラル
ヴァと同じに人の生命をオモチャ扱
いしていると激怒した。

その言葉の激しさにうなだれたムカ
イ老人はミラルヴァと人狩り部隊が
最後の調停者の村を襲い全滅させる
ことを告げる。

ゼルはムカイ老人に調停者の村の在
りかを教えてくれと頼む。

驚くムカイにゼルはこの世界よりも
セフィアとウィートを守ってやりた
いと告げるとムカイはこの混乱した
世界を救えるのは君のような若者か
もしれないと言いIDカードを差し
出した。

教えられた調停者の村に着いたゼル
たちはIDカードを使って村の中に
入ることが出来たが、そこには無気
力に破滅の運命を受入れようとして
いる調停者の生き残りの村人がいる
ばかりだった。

ゼルは調停者の娘からセフィアと
ウィートのことを聞かされる。
彼女の父親のムカイが創った2体の
生体コンピューターに名前を付けた
のは彼女だったのだ。

1型にはセフィア、2型にはウィー
トと言う名前は、春になるとこの地
方に咲く可憐な花の名前であった。

その時、人狩りの大部隊が襲いかか
ってきた。ゼルたちの必死の防戦も
空しく次々と村人が倒されて行った

傷ついたゼルたちの前に降りてきた
武装飛空船の中からミラルヴァが姿
を現し、狂ったように笑いながらゼ
ルたちの頭上から瀕死の状態のムカ
イ老人の体を落として、何処かへ飛
び去って行った。

息も絶えだえにムカイは白亜宮に
セフィアとウィートがいることを
ミラルヴァに白状してしまったこ
とをゼルに謝りだした。

そしてミラルヴァこそ宇宙船アガメ
ムノンの乗組員の最後の生き残りで
あり、数百年の時間に耐えるために
他の調停者の体からの生体移植と機
械部品で自分の命を引き延ばしてい
るのだと打ち上げて息をひきとった

セフィアとウィートに危険が迫って
いる。白亜宮へゼルたちは急いだ。
しかし、ゼルたちが着いた時には
館の住人は兵士から侍女までが惨殺
され、辺りは血の海になっていた。

辛うじて息のあった主人のゼンダ卿
もセフィアとウィートを守り切れな
かったことを謝り、ミラルヴァはル
イーゼン侯爵を殺すためダーナ城へ
向かったことを告げると息絶えた。

ダーナ城へ向かったゼルたちは人狩
りの猛烈な攻撃をかわしながら大広
間まできた時、傷ついたルイーゼン
侯爵にとどめを刺そうとしている
ミラルヴァと教皇を止めにはいった

一命をとりとめたルイーゼン侯爵を
バハルに託しゼルたちはミラルヴァ
と教皇をダーナ城の天守閣まで追い
かけるが、そこには飛空船が待ち受
けていた。

ゼルたちが飛び乗ると飛空船はダー
ナ城からゆっくりと離陸しはじめた

飛空船の中を激戦の末ミラルヴァと
教皇を動力室まで追いつめたゼルた
ちは燃え盛る動力炉の前でウィート
を人質にとりゼルたちをあざ笑うミ
ラルヴァに降伏を強いられてしまう

\begin[ビジュアル]
ウィート
「ミラルヴァ、エレクトラタイプは、
もう私とセフィアしか残っていないの
よ」
ミラルヴァ
「ふん。わかりきったことを。まあど
ちらにしろ、お前には生きていてもら
うぞ。例のものをとらせてもらうまで
はな」
ウィート
「ごめんね、ゼル。セフィアのこと、
好きなの?」
ゼル
「ああ、好きだよ」
ウィート
「ウィートのこと…好き?」
ゼル
「好きさ。当たり前じゃないか」
ウィート
「ありがとう」
ミラルヴァ
「う…このガキ」
\end{ビジュアル}

しかし、ウィートはミラルヴァの腕
の動力コードを引きちぎりセフィア
を殺させないため、動力炉の炎の中
へ飛び込んでしまった。

\begin{ビジュアル}
ミラルヴァ
「おのれ!
貴様ら、もう少しでこの身体を新し
くできたものを、邪魔しやがって!
合成された人形相手に好きだと!?
ふざけるな、この虫けらが!!
だがもう終わりだ。バベルは滅びる
んだよ、時空の歪みに飲み込まれて
な!滅びるんだよ!貴様も、この俺
もだ!!」
\end{ビジュアル}

怒り狂ったミラルヴァはマントをは
ね飛ばし何人もの体と機械がつなぎ
あわされた、おぞましい肉体を暴け
出しゼルたちに襲いかかってきた。

死闘の末ミラルヴァは倒したが教皇
はセフィアを連れ飛空船から脱出し
てしまった。

その直後あちこちから爆発が起こり
飛空船は火に包まれたまま高度を
落とし、ゼルたちが船から脱出する
と同時に大爆発を起こしてしまった

重傷を負ってバハルの治療を受けて
いるルイーゼン侯爵のいるダーナ城
まで戻ったゼルたちの所に、教皇か
ら手紙が届いた。

もしゼルたちが生きていたら、スカ
ード大陸の北にある教皇の城まで来
い、そうすれば、セフィアの命は
助けてやろうと書いてあった。

セフィアを救い出すためゼルたちは
教皇城をめざすのだった。

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