[SFC]天使の詩  メイアーの街


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(1)宿屋に泊まって
レイアード
「レオンさん‥‥‥
  実は  聞きたい事があるんです。」
レオン
「なんだい?あらたまって‥‥‥」
レイアード
「レオンさんは  レジスタンスでは
  ないと言っていたけれど
  ならば  何故  レジスタンスと
  行動していたんですか?」
レオン
「俺は  ただの旅の剣士さ。
  しかし  グレイの奴とは親友だ。
  それに  レジスタンスの連中とは
  ある意味で目的が一緒だったからな
  俺はクラーナを助け出すこと‥‥‥
  あいつらは  それによって領主に
  自分たちの力を見せつける‥‥‥」
レイアード
「?  何故あなたが  クラーナを?」

  レオンは  レイアードの目を
  しばらく見つめたあと
  ゆっくりと  話しはじめた。

レオン
「聞いても笑わないでくれよ‥‥‥ク
  ラーナは  俺の死んだ妹に
  よく  にているんだ。
  今から二十年も前の話だ。
  あの  悪魔の地下侵攻で  俺が
  住んでいた街も魔物におそわれた。
  街の人びとは  悪魔どもと戦ったが
  つぎつぎに  殺されていった。
  俺の両親も悪魔の手によって
  かえらぬ人となった‥‥‥
  そして  俺の妹もな‥‥‥
  俺は  妹を守るために戦うつもり
  だったんだが  そのとき俺は
  六才のガキだった。
  そんなものは  奴等にとっては
  じゃれつかれているようなものさ。
  妹は  奴等にいたぶられながら
  死んでいった。」
レイアード
「レオンさん‥‥‥」
レオン
「俺は  クラーナを妹の姿とかさねる
  ことによって  自分の心を
  まぎらわせていたのかもしれん。」
レイアード
「‥‥‥六才で‥‥‥
  レオンさん  こんなことを言っても
  なぐさめにも  ならないと思うけど
  あなたは  よくやったと思う。
  ぼくが  同じ年だったとしたら
  そんな勇気があったかどうか‥‥‥
  いや  生き残れるか  どうかすら
  わからない。」
レオン
「レイアード
  俺だって  人に  助けられたのさ。
  ちょうど街をおとずれていた
  旅の剣士にな。
  俺はその後  その人に剣を学んだ。
  残念ながら  その剣士も  六年前に
  びょうきのために  亡くなって
  しまったが‥‥‥
  それから  俺は  あの人の生き方を
  受けつぐように  旅に出たんだ。」
レイアード
「レオンさん
  あなたと  その剣士の出会いは
  まるで  今のぼくと‥‥‥」
レオン
「ああ  同じようだな。
  俺はあのとき  最愛の妹すら
  守ることが  できなかった。
  だから  強くなりたかった。
  ‥‥‥誰よりも。
  強くならなければ  愛する者を守る
  ことさえできない。
  レイ  おまえの  あのときの気持ち
  と同じだよ。
  それを聞いたとき  俺はおまえに
  剣を教えようと思った。
  ‥‥‥まあ  そういう事だ。
  ずいぶん  話しこんでしまったな。
  さぁ  今日はもう  ねるとしよう。」

(2)宿屋を出ようとすると
タック
「あ  ごめんなさい!」
レオン
「待つんだ!  今  とったものを
  かえしてもらおうか。」
タック
「し  知らないよ!
  いたい!  はやく手をはなしてよ!」
レオン
「じゃあ  これはなんだ?」
レイアード
「あっ!  それは  ぼくのサイフ。」
レオン
「さあ  どういうことか  説明して
  もらおうか。
  事としだいによっては  子供とて
  ようしゃはしない。」
タック
「‥‥‥」
レオン
「‥‥‥」
タック
「‥‥‥ごめんなさい‥‥‥
  ごめんなさい‥‥‥
  ひっく‥‥‥ひっく‥‥‥
  うっ‥‥‥うっ‥‥‥
  うわぁ−−−ん‥‥‥」
クラーナ
「だいじょうぶよ  ぼうや‥‥‥
  レオンさん
  そんな言い方しなくても!」
レオン
「クラーナ。「子供だから」と
  いうのは通用しないぞ。
  子供だからこそ  きっちり
  しなければならない事もある。」
クラーナ
「‥‥‥そうですが‥‥‥」
レイアード
「レオンさん。
  この子にも  何か  きっと
  事情があるんですよ。」
レオン
「フム‥‥‥
  たとえば  廃こうの  盗賊団に
  かんけいある‥‥‥とかな?」
タック
「!‥‥‥」
レオン
「やはりな。子供をさらってきては
  盗みをさせている盗賊団がいるとは
  聞いていたが‥‥‥
  少年  悪いようにしないから
  すべてを話してくれないか?」
タック
「‥‥‥‥‥‥わかったよ。
  ぼくの名前はタック。
  ターセという街に住んでいたんだ。
  でも  この間  外をあるいていた時
  盗賊団にさらわれて
  スリをやらされているんだ。
  アジトには  ぼくの他にも
  たくさんの子供がさらわれてきて
  はたらかされているよ。
  にげようとした子もいたけど
  すぐに見つかって  連れもどされて
  他の子供達の見ている前で
  ひどい目にあわされるんだ‥‥‥
  それが怖くて  にげだそうとする
  子は  もういないよ。
  ぼくだって家に帰りたいさ
  でも  見つかった時の事を考えると
  怖くて  そんな事できないよ‥‥‥」
クラーナ
「レイ  レオンさん‥‥‥
  どうにか  してあげられないかしら」
レオン
「かんたんな事だ。その盗賊団を
  たいじ  してしまえばいい。
  ここでタックを  家に帰したと
  しても  いつかまた盗賊団が
  あらわれるかもしれんしな。
  ‥‥‥やはり  ここの村長の
  たのみをひきうけるとしよう。
  ウィフティーアの街で  子供が
  行方ふめいになった母親がいたが
  恐らくその人の子供も
  そこにいるのだろう。
  ほかにもたくさんの子供達が盗賊の
  手の中にいる。
  それが  わかったからには
  ほうってはおけないしな。」
クラーナ
「それじゃ‥‥‥」
レオン
「ああ  盗賊団のアジトへ行くぞ。
  レイに  これまでに教えた成果を
  見せてもらう  いいチャンスだ。
  ‥‥‥タック。
  酒場でおとなしく待っているんだぞ」
タック
「うん!」

(3)盗賊団のアジトのボスの部屋まできて
レオン
「ちょっと待て。
  どうやらこの先が
  ボスの部屋のようだ。」

(4)ボスの部屋に入る時
盗賊団のボス
「助けてくれーーっ!!
  俺達が悪かった
  命だけは助けてくれぇぇぇ!」
盗賊団のボス
「ひいいいぃぃぃ
  助けてくれーーっ!!」
レオン
「レヴィ!」
レヴィ
「フッ‥‥‥
  おまえ  レオンか?」
レオン
「レヴィ  こんな所に
  何をやっているんだ?」
レヴィ
「お前には  かんけいない事だ。
  もういいかげん  いたい目には
  あいたくないだろう?
  どうせ  あの魔導書は  お前らには
  よむことすらできないんだ。
  とっとと  出した方が
  自分のためだぞ。」
<魔導書を持ってくる盗賊>
レヴィ
「‥‥‥よし。
  これで奴に‥‥‥
  はじめっから  すなおに出して
  いれば  こんな  いたい目に
  あわずに  すんだぜ  お前。」
<出口に向かうレヴィ>
レヴィ
「俺の方の用事はおわった。
  あとはお前らの好きにすればいい。」
レオン
「おまえが  盗賊団のボスか?」
盗賊団のボス
「なんだ  てめーはっ!!」
レオン
「ずいぶん  いせいがいいな。
  それなら  まだ  だいじょうぶ
  だろう。
  てみじかに言う‥‥‥
  盗賊団をかいさんして
  盗んだものを街の人にかえすんだ。」
盗賊団のボス
「バカヤローッ!!
  んなことするわけねーだろうっ!!
  こう見えても  盗賊団のボス!!!
  かんたんに「はいそうですか」って
  言う事聞くわけねーだろう。」
レオン
「‥‥‥‥‥
  ならば  しかたがない。」
盗賊団のボス
「は  はーい。わっかりましたぁ!
  盗賊団はかいさんします!
  うばったものはかえします!
  子供達もかえしますよぉぉぉ!
  だから  命だけは‥‥‥
  命だけは  おた‥おた‥‥‥
  おたすけぇぇぇぇぇぇぇ!」
レオン
「いいだろう‥‥‥だが
  俺達がいなくなったからといって
  ウソをつけば‥‥‥
  わかってるな‥‥‥?」
盗賊団のボス
「わ  わかってます!
  ぜったいに  ウソ  つきません!
  こう見えても盗賊団のボス!!!
  やくそくは  守りませーん!
  あ  ウソでーす!
  あ  あ  いいえ
  ぜったいにウソはつきませーん!!!」
<子供達の方に近付くクラーナ>
クラーナ
「さぁ  みんな。
  お家に帰りましょうね。
  もう  ここにいる必要はないの
  お母さんたちが待っているわ。」
<帰っていく子供達>
クラーナ
「私たちも帰りましょう。
  タックちゃんも  待っているわ。」

(5)戻ってきてタックに話しかける
タック
「あ!おにいちゃん  おねえちゃん。」
レイアード
「タック  おとなしく待っていたかい」
タック
「もちろんさ!
  きっと  ぶじに帰ってくるって
  信じていたから。」
クラーナ
「ねぇ  レイ  レオンさん。
  タックちゃんを  お家まで送って
  あげたいのだけど。」
レイアード
「ああ  そうしよう。」
レオン
「俺もべつに  かまわないが。」
クラーナ
「ありがとう。」

  盗賊団に  さらわれていた少年
  タックを
  家に送りとどけることにした。

タック
「ボクの家は
  ターセって言う街にあって
  ここから  南の方にあるんだ。」

(6)ターセの街について
タック
「やったー!!
  帰ってきたんだ!
  おにいちゃん  こっちこっち!」
<タックに付いていく一行>
タック
「こっちこっち
  ここが  ぼくの家だよ。」
「旅のお方  息子を助けていただき
  ありがとうございました。
  やんちゃな息子でしたが
  いない間は  家の中がとても
  さみしく  なってしまいましてね。
  また  こうして会えるとは
  夢のようです。
  ありがとうございました。
  ありがとうございました。
  何とお礼を言っていいものやら
  このごおんは  一生わすれません。
  たいしたことはできませんが
  ウチを  宿の代わりに使って下さい」
レオン
「レイ  俺はちょっと気になる事が
  あるから出かけてくる。
  すぐにもどるから  待っていてくれ」
<近寄ってくるクラーナ>
クラーナ
「レイ  いいかしら?」
レイアード
「どうしたんだい?」
クラーナ
「‥‥‥私  タックちゃんの御両親を
  見ていて思ったの。
  やっぱり親は子が  かわいいのよね」
レイアード
「それは  そうさ。
  だからこそ  帰ってきた
  タックを見て  あんなに
  よろこんでいたんだ。」
クラーナ
「‥‥‥だったら
  どうして  私の両親は
  私を捨てたのかしら‥‥‥」
レイアード
「!‥‥‥それは
  き  きっと!何か  そうしなければ
  ならない理由があったはずだよ。
  そうでなければ  子供を捨てる
  なんて‥‥‥」
クラーナ
「会いたい‥‥‥
  どうしても  そのおもいが
  つのっていくの‥‥‥
  もし  このまま一生会えなければ
  私は  ひとりぼっち‥‥‥」
レイアード
「クラーナ
  君には  シスターのお母さんや
  旅芸人のお父さんもいる。
  けっして  ひとりじゃないよ。
  それに  ぼくだって‥‥‥
  君を一人にはしないよ‥‥‥」
クラーナ
「‥‥‥ありがとう。」

  クラーナは  レイアードに
  笑顔を見せると
  そっと  よりそった‥‥‥

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E-mail: shoda@st.rim.or.jp