ルシオンの旅立ち


  1. 塔の前のエルゴート

    エルゴート
    「ここが大魔術師コッキンドール
    様のお住い、ピナコテイクの塔
    か。
    私を治療してもらえるだろうか
    ・・・。
    こんなところで立っていても、
    しょうがない。
    よし、覚悟をきめたぞ!
    ごめんください、コッキンドー
    ル師はいらっしゃいますか?」

  2. 塔のとある部屋にて

    ルシオン
    <誰!!>
    エルゴート
    <わぁっ!!
    き、君は・・・?>

    ルシオン
    「ルシオンだよ☆
    あなたは、だぁれ?
    どうして、ここへ?」
    エルゴード
    「・・・わ、私はエルゴート。
    こちらに大魔法使いのコッキン
    ドール尊師がお住いとお聞きし
    た。相談したいことがあるので、
    どうか、おとりつぎを願いたい。」
    ルシオン
    「お師匠様は外出中だよん☆」
    エルゴート
    「な、なんだって!?
    一体どういうことなんだい?」
    ルシオン
    「・・・えーっと・・・。」

  3. ルシオンの回想シーン

    コッキンドール
    「ルシオンや、私は旅に出ること
    になった。
    しばらく帰ってくることはでき
    ないだろう。
    女の子ひとりに留守番させるの
    は、少し不安だが・・・。
    後のことは頼んだぞ、ルシオン。」
    ルシオン
    「はい、お師匠様。
    後のことは、ばりっち、あたし
    に任せといて!」
    コッキンドール
    「それを言うなら、ばっちりだろ
    う・・・。」
    ルシオン
    「あっ・・・。」

    コッキンドールは少し不安にな
    った。

    コッキンドール
    「そうじゃ、ルシオン。
    わしの星占いによれば、留守中
    に、お前の人生に大きな影響を
    与える客人がやってくるだろう。
    それが吉か凶か、そこまでは分
    からん・・・。
    いずれにせよ、己が心の指し示
    す風向きに翔ぶがいい。」
    ルシオン
    「・・・は、はい?」
    コッキンドール
    「見る前に飛べ、ということだ。」
    ルシオン
    「わかりました。」

    あまり分かったようには見えな
    い。

    コッキンドール
    「うむ。
    では、行ってくるぞ。」
    ルシオン
    「行ってらっしゃ〜い☆」

  4. そして旅立ちへ

    ルシオン
    「・・・というわけ。」
    エルゴート
    「ああ、なんということだ・・・。
    このままでは、私は、私は・・
    ・。」
    ルシオン
    「どしたの?」
    エルゴート
    「実は・・・。
    ・・・私の村が獣人達に襲われ
    てから、夜になると獣人化して
    狼人間になってしまうのだ。
    私の村以外にも、獣人達によっ
    て襲撃を受けた村や町があると
    聞いているが・・・。
    あちこちの医者を渡り歩き、ど
    の医者にもサジを投げられ、つ
    いに、コッキンドール尊師の高
    名を聞き、ワラにもすがる思い
    でここにやって来たというのに
    ・・・。
    しかし、尊師がお留守では、私
    の体を元に戻す方法は無いのと
    同じ・・・。」
    ルシオン
    「にゃは☆
    これで、退屈しないですむゾ!」
    エルゴート
    「え?」
    ルシオン
    「にゃはは☆
    な、なんでもない、ない。
    そうだ!いいこと思いついた!
    あたしが水晶玉で占ってあげる
    よ!」
    エルゴート
    「君が・・・?」
    (まぁ、コッキンドール尊師の弟
    子なら、信用してもいいか・・
    ・。)

    ルシオン
    「おほん。
    では、水晶玉の魔力で占ってし
    んぜよう。」
    エルゴート
    (・・・大丈夫なんだろうか・・
    ・。)

    ルシオン
    「はーにゃら、ほーにゃらー、な
    むなむなー。」
    エルゴート
    「・・・。」
    ルシオン
    「・・・。」
    エルゴート
    「・・・ちょっと・・・君・・・
    もしもし?」
    ルシオン
    「・・・黙ってて!
    今、精霊と話をしているんだか
    ら!

    ・・・汝、エルゴートよ。
    汝の病は、ババチョップ村の先、
    ミラドール付近に住む獣人族に
    しか治せないぞよ。」

    エルゴート
    <ええっ?
    この上、ミラドールまで旅をし
    なければならないのか・・・。>

    ルシオン
    (にゃは☆
    どうやら、すっかり信じこんで
    るみたいね・・・。
    そうだ!
    ちょうど、お留守番にも飽きて
    きたところだし、この人につい
    ていっちゃえ〜☆)

    エルゴート
    <そ、それから・・・?>
    ルシオン
    <・・・むむっ!>
    エルゴート
    <ど、どうしました?>
    ルシオン
    <その旅には、魔法使いコッキン
    ドールの弟子、ルシオンも連れ
    て行くのだ!>

    エルゴート
    <なんですってっ!?
    いや、しかし・・・。>

    ルシオン
    「連ーれーてーいー
    くーのーだー!」
    エルゴート
    「わ、分かりました。」
    ルシオン
    「よし。
    その言葉忘れるでないぞ。」
    エルゴート
    「は、はい。」
    ルシオン
    「よ〜し。
    じゃあ、1階の倉庫から冒険に
    必要なものを揃えて、出発だぁ!」
    エルゴート
    「・・・。」

    エルゴートは、なんだかうさん
    臭いと思った。

    ルシオン
    「連ーれーてーいー
    くーのーだー!」
    エルゴート
    「わ、分かりましたよ。
    連れていけばいいんでしょ。」
    ルシオン
    「にゃはっ☆」

    こうして、ルシオンとエルゴー
    トは共に旅をすることになった。
    ちょっとした旅行気分に浮かれ
    るルシオンだが、しかし、その
    旅の彼方に、暗雲が立ちこめて
    いることまでは気付いていなか
    った・・・。


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