領主
「カネヨンがカツオノエボシ退治
に行った。
もう、安心だ。」
エルゴート
「しかし、そのカツオノエボシと
いうのは、あなた達の天敵なの
では?」
領主
「・・・確かにそうだが、カツオ
ノエボシを倒せるとしたら、カ
ネヨン以外に考えられない。
カネヨンが駄目だったら・・・
いや、そんなことは絶対ない!」
ルシオン
「本当に大丈夫なのかなぁ?」
ルシオンは一言余計だった。
領主
「と、ともかく今日1日様子を見
て、明日になっても帰ってこな
いようなら、対策を考えなくて
は。」
ルシオン
「どうしたの?」
領主
「実は、カネヨンが帰ってこなか
ったのだ。
そこで、君達に頼みがあるのだ
が。」
ルシオン
「頼み?」
「カツオノエボシはリザードマン
にとって天敵。
そこで、リザードマン以外の者
にカネヨンの救出を頼むことに
したのだ。」
エルゴート
「では、依頼というのは、カネヨ
ンの救出ですか?」
領主
「うむ。
今、この都市にいる外人は君達
だけなのだ。
頼めるだろうか?」
ルシオン
「分かったよん。」
領主
「この町の北の隅に、大樹リレハ
ンメルがある。カツオノエボシ
は、それに穴を開けてしまった
のだ。
頼む、カネヨンを助けてやって
くれ。」
ルシオン
「みんな、あの人を助けるのよ!」
ミミナガ
「うん。」
エルゴート
「よし。」
カネヨン
「あ、危ねぇところだったぜ。
ありがとよ、ガキども!」
エルゴート
「あなたがカネヨンですか?」
カネヨン
「ああ、そうだ。
そういう、お前達は?」
ルシオン
「あたし、ルシオン。
この人はエルゴート。
そっちのモールベアの男の子が
ミミナガっていうの。
おじさん、どうして麻痺しちゃ
ったの?」
カネヨン
<おじさんじゃない、お兄さんだ!
俺ぁ、まだ、独身なんだからな!>
むきになるところが怪しい。
カネヨン
「それはともかく、カツオノエボ
シがクサい臭いの角を出したた
ろ?
あの臭いをかぐと、俺達リザー
ドマンは動けなくなっちまうん
だ。」
ルシオン
「ふゥん・・・。
じゃ、とにかく、一度戻ろうか?」
領主
「みんな、よく無事で戻ってきて
くれた。」
ルシオン
「約束通り、カネヨンを助け出し
てきたよ。」
領主
「おお、おお、ありがとう。」
カネヨン
「領主様、頼みがある。」
領主
「何かね?」
カネヨン
「俺は、このガキ共と一緒に旅に
出たい。
もっと強くなりたいんだ。」
領主
「・・・。」
カネヨン
「駄目か?」
領主
「よかろう、行くがいい。
リザードマンの名誉が共にある
ことを忘れずにな。」
カネヨン
<おう!
というワケだ、ガキども、よろ
しく頼むぜ。」
ルシオン
「よろしくね。」
ミミナガ
「また仲間が増えたね。」
エルゴート
「全く物好きが多くて困るね。」
カネヨン
「お前だって同類だぜ。
見も知らぬ他人の俺を命がけで
助けに来るなんて、物好きでな
くてなんだってんだ。」
エルゴート
「確かに。」
領主
「少ないが、これを持っていきな
さい。」
ルシオン
「ありがとう。」
領主
「これから、どこへ行くつもり
かね?」
ルシオン
「えーっとね・・・。
どこだっけ?」
エルゴート
「船のでている都市がこのあたり
にあると聞いたんですが?」
領主
「うむ。
クラーケンベルグだな。
大樹リレハンメルの頂上から、
崖にぬけることができる。崖を
越えて、北に向かうがいい。」
ルシオン
「えーっ!?
また、あの木をのぼるのぉ?」
カネヨン
「ハハハ、こんぐれぇのことで音
をあげてちゃ、デス・シャドウ
を倒すなんて、夢のまた夢だぜ!」
ルシオン
「むぅ〜。」
エルゴート
「ふくれっつらは、やめた方がい
いよ。ただでさえ、下膨れ気味
の顔がますます膨らんでみえる。」
ルシオン
「誰が下膨れよっ!
失礼しちゃうわ!!」
ミミナガ
「ボクがおんぶしてあげようか?」
ルシオン
「本当?」
ミミナガ
「もちろん!」
カネヨン
「こぉの、むっつりスケベめ!
はははは!!」
ミミナガ
「え?」
カネヨン
「隠すな、隠すな!
あわよくば、ケツに触ろうって
んだろう?」
ルシオン
「そうなの?」
ミミナガ
「そんな、ボクはただ・・・。
だいたい、ルシオンみたいなツ
ルツルペッタンじゃ・・・。
はッッ!!!!!」
ミミナガは殺気を感じた・・・。
ルシオン
【ミ〜ミ〜ナ〜ガ〜
?】
ミミナガ
「さ、さぁ、クラーケンベルグへ
出発だぁ。」
ミミナガの声はウラがえってい
る。
領主
「クラーケンベルグは、大樹リレ
ハンメルの頂上から、崖にぬけ
てその崖を越えて、北に向うが
いい。」
ミミナガ
「おーっ!」