『逆転裁判3』レビュー

 『逆転裁判3』は、CAPCOM から GameBoyAdvance 対応として発売された法廷アドベンチャーゲームの第三弾である。


【完結編の難しさ】

 面白かったし、十分笑わせてもらった。ただ、やはり、完結編としての構成の苦しさが各所に見られた。特に、五話構成である意義がいまいちはっきりしてこない。第二話と第三話はどちらか片方で良かったのではないだろうか。ここでは、ゴトー検事の盲点に対する伏線張りであることは明白なので、それを印象付けるものが出てくればいいだけの話で、二話も必要であったかどうか疑問が残る。加えて、両話では法律知識へのいい加減さの不統一も見られたのも、いただけない。

 また、いわゆる完結編なので昔の事件を引き出してきているが、それに対する十分な説明がないままに話が進行していく。「各所にシリーズを通してプレイしてこい」「忘れたならリプレイしろ」という圧力を感じる。チュートリアルであるはずのところの第一話からして過去作品の激しいネタバレになっている。こういう点から考えて、「シリーズ全体を楽しみたいなら、1からやった方がいい」という結論に達する。

 ただ。弁護したい部分もある。これは今までの話のまとめであり、成歩堂の成長を印象づけるよう作られている。。そのため、ギリギリのところに追いつめられることが、あまりなくなっているのは仕方のないことだと言える。また、不利な形勢を覆すことだけが“逆転”ではないということを、プレイヤー側が見い出すべきだろう。


【これ以上の続編は出すな】

 プレイし終えて真っ先に感じたことは、逆転裁判シリーズはこれでおしまい、ドラクエみたいにだらだらと続編を出して欲しくないということ。

 このシリーズは、弁護士成歩堂龍一と、それに敵対する魅力的なキャラクタを持った検事達がいてこそ成立するものだろうから、成歩堂龍一に関するエピソードが語り尽くされた時点で終焉を迎えるべきだろう。そして、今回で語り尽くされたと感じたので、これ以上の続編はこのシリーズを卑しめるだけな気がする。

 もっとも、このゲームのシステムを基盤にした“別の名前の”ゲームが誕生することは歓迎するし、それを求める声だったら賛同できる。ただ、何事も引き際が肝心(だし、引き際を間違ったシリーズの末路は例外なく哀れ)なので、『逆転裁判』の名前が付いたゲームはこれで終わりにするのが美しいと思うのである。


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