The original punks from the Windy City.

The Shadows Of Knight


60年代中期にヤードバーズに代表されるUKビート・グループの影響を受けて次々に飛び出してきた U.S. ガレージ・バンド...特にその中で異彩をはなっていたシカゴのバンド The Shadows Of Knight を抜きにしてこのシーンは語れない。

最初に中西部シカゴの音楽シーンに彼らが姿をあらわしたのは1965年頃、当時この街で一番ヒップなステージを行っていた Paul Sampson の経営する Cellar Club だった。全員20歳以下(Warren Rogers 等は17歳)だったこの悪ガキ・バンドは、未だ Muddy Waters でさえ現役で演奏していたこのシカゴという街で、Rolling Stones や Yardbirds 等の U.K.ビート・グループ経由でブルースの洗礼を受けたようだ。これは推測だが、自分達が演奏してる音楽が実は自分達が生まれ育った街から生まれた音楽であることすらあまり意識していたように思えない。とにかく悪ガキだった彼らはステージよりは女の子を追い掛け回すほうに夢中だったようで、そんな個性が逆に演奏の魅力であったといえるかもしれない。とはいえ 65年から66年にかけて Shadows Of Knight はこの Cellar Club のトップ・アクトになっていた。

66年4月に Sampson のプロデュースにより Dunwich からのファースト・シングル Gloria(Them のカバー)がリリースされると、あっというまにビッグ・ヒット(billboard #10, cashbox #7)となり、Shadows Of Knight は U.S.全体に名前を知られるようになる。この頃もツアーで訪れたN.Y.のホテルの最上階からピアノを投げ捨てる(実はピアノの椅子だったという説もあり)という蛮行で名前をあげたりしているが、Warren Rogers が徴兵で脱退しなくてはいけなくなったり等、バンド内はなにかとゴタゴタしていたようだ。そのせいかそれ以降のシングルは一部の評価をよそにヒットにはいたらず、67年には Sampson とも別れオリジナル・メンバーも次々に抜けていき、一度は解散状態にまで陥ってしまう。

69年に再度こころを入れ替えて Jim Sohns を中心に再結成されるが、やはりオリジナル・メンバーの頃の悪ガキ特有のワイルドさは消えてしまった気がしてさみしい。とはいえ今なおシカゴあたりを中心に活動を続けているらしい。なにも50代のロック・バンドはストーンズばかりじゃない。R&Rは続ける事が宿命なのだから...

ところでアルバムとしてリリースされているものは

  1. GLORIA (Dunwich SD 666) 1966
  2. BACKDOOR MEN (Dunwich SD 667) 1967
  3. SHADOWS OF KNIGHT (Super K SKS 6002)
  4. GEE-EL-O-AIRE-I-AY (Edsel ED157) 1985 - UK
  5. LIVE (DONE 5CD) 199?
  6. RAW 'N' ALIVE AT THE CELLAR CLUB 1966 (Sundazed 5006) 1992
  7. ONE WAY, SHAKE (COL-CD-30331) 199?
  8. DARK SIDES - THE BEST OF... (Rhino R2 71723) 1994

等があるようで、特に再結成以前の 1. 2. あたりは特に重要なアルバムだろう。 日本盤で SHAKE(ONE WAY RECORD OW 30331) がリリースされているが、 7. はその前後のアルバムをひとつに併せたものと思われる。