Iron Butterfly


60年代後半に米国のハイクラスの家庭のご婦人がベッドの上で眠りにつくためにかけたレコードはビートルズのサージェントとこの Iron Butterfly の In-A-Gadda-Da-Vida だったって程に60's Psychedelic の代表的なバンドなのだが、何故か今はすっかり忘れ去られてしまったようだ。それというのも Jefferson Airplane や Dead のようにS.F.の表舞台を代表していた訳ではないし、そのインド音楽の要素を取り入れた独特なヘビー・サウンドが急速に飽きられ忘れ去られてしまったからかもしれない。

まずは彼らの黄金時代をメンバーとアルバムを中心に表にまとめてみよう。

Biography '66-'71
'66 Doug Ingle
(kb)
Jerry Penrod
(bass)
Danny Weis
(guitar)
Darryl DeLoach
(vocal)
Ronald Bushy
(drums)
'67 signed to Atlantic Records
'68 "Heavy"
Doug Ingle
(kb & vocal)
Lee Dorman
(bass)
Eric Keith Braunn
(guitar)
Ronald Bushy
(drums)
"In-A-Gadda-Da-Vida"
'69 "Ball"
'70 "Live"
Doug Ingle
(kb & vocal)
Lee Dorman
(bass)
Mike Pinera
(guitar)
Larry "Rhino" Reinhardt
(guitar)
Ronald Bushy
(drums)
"Metamorphosis"
'71 broke up
最初の時期のメンバーはある意味では一番長い期間続いた訳だが、その最初のアルバム "Heavy" を発表するとすぐに大幅なメンバー交代が行われている。 Doug Ingle が何が気にいらなかったのかは別にして、以外なのはバンドの中心的コンセプトを作っている Lee Dorman がこの時期には未だ参加していなかった事だ。だが "Heavy" を聞いてみれば明らかにバンド名「鋼鉄の蝶」の音質がすでにバンドの中に芽生えているのがわかる。

第二期のメンバーはまさに黄金時代のラインナップとなっている。ちなみに In-A-Gadda-Da-Vida は当時のヒットチャートの1位になる事はなかったが68〜9年にかけてずっとトップ10にランキングされ続けて最終的には68年のUSAで一番売れたアルバムになっている(背景はそのゴールド・ディスクの受賞風景)。特にこの頃の Eric Keith Braunn のギタープレイはある意味で60年だいサイケデリックのエキスを代表する演奏といえるだろう。背景の写真で一番若い美少年がその当時の彼であるが、その独特なテイストの演奏は何もアイドルとしてメンバーに迎えられたばかりではない事を示している。

2度目の交代ではギターの Eric Keith Braunn が抜けてギターが2本に増えている。Mike Pinera は当時かなり有能なギタリストとして知られていた人だが、バンドとしてはすでに下降線をたどっている時期でもあり、また逆に確実なプレーがこのバンドの元々もっていた即興的なひらめきを消し去ってしまったという意味では失敗だったように思える。

バンドは71年の解散後も実は2度の再結成をへて未だ Doug Ingle, Lee Dorman, Ronald Bushy の3人を中心として活動を続けている。詳細は彼らのオフィシャルHPを見て欲しい。

Discograph

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