Terrastock: The Ptolemaic Providence Perambulation


1997年4月25〜27日の3日間、ロードアイランド州プロビデンスの Rogue Lounge において Terrastock ってフェスティバルが催されました。 サイケデリック系の雑誌 PTOLEMAIC TERRASCOPE が主催したこのフェスティバルは、現在 Drone 系で注目すべきバンドが数多く出演したこともあり、DroneOn ML にはフェスティバルが終了するやすぐに数多くの記事がよせられていました。

特にその中から Bruce Holloway 氏の好意により、とても素敵なレポート Terrastock: A Pilgrim's Progress を掲載させていただきました。 英語の原文のままですが、フェスティバルの感触は十分堪能できると思います。

それと Matthew Maxwell 氏のページには、Mathew Maxwell 氏自身のリポートと同時に当日の写真が掲載されています。(最近の Tom Rapp なんてちょっと感激)

また英語はちょっとって人には、DroneOn ML からの情報を元に、私の把握した限りでの翻訳で、フェスティバルを再現してみましたので、ご覧ください。 (もっとも原文を読んだ人には私の英語能力がバレバレになってしまいますが....)


SILVER APPLES オリジナル・メンバーの Simeon にドラマーの Xian Hawkins (+あと一人正体不明のコンピューター・プログラマー)を加えた新 SILVER APPLES、 からフェスティバルは始められた。フェスティバルの入り口には Simeon の描いた抽象画が一面に飾られていたそうで、一説にはフェスティバル自体が Simeon の財政を救う為に企画されたってうわさもあるようだ。ともあれ、この60年代のシンセサイザリストは oscillator や keyboard それに最近はやりのテルミンを前に "A Pox on You"から演奏を始めた。
ABUNAI! DroneOn のリスト・メンバー Dan Parmenter と Brendan E. Quinn が参加しているバンド。 Witch Hazel の突然のキャンセルで2番目に登場した。かなりラウドな演奏だったようで、ボーカルがちょっと聞こえづらかった様... Terrastock に先立つ Deep Heaven(Boston) でのステージはかなり良い評判だったが...未だバンドとしては3度目のステージだった様で、多少緊張していたのだろうか?
WINDY & CARL CARL のギターがカラフルな模様を描きながら、時々透き通った WINDY の声が空から舞い下りてくる。とにかくすばらしい演奏だったようだ。 皆口々にそのドローンな演奏をたたえているのだが、あまりに形容が飛躍していて、どんな演奏だったかは想像するしかない。 そういえば彼らのアルバムも音の構成は極普通だが、その心地良さを表現するには確かに詩的にならざるをえない。
THEE HYDROGEN TERRORS 一見ごく普通のパンク・バンドのようだけれども、よく聞くと Stooges や MC5 の様でなかなか面白いバンドだったという事だけれども...
DEVIANTS "ボーカルが Jim Morrison の Stooges " と形容される、知る人ぞ知る Mick Farren 率いる Deviants。 彼らもまた60年代からの生き残りだ(68年デビュー)。もっともこの日はオリジナル・メンバーは Mick 以外に Andy Colquhoun(G) だけだった様で、ドラムとベースは Bevis Frond のAdrian Shaw と Andy Ward が担当した。
CUL DE SAC 初日とはいえ、あまりに遅い時間からの演奏だったせいだろうか?誰の記事からも、あっさりとよかったぐらいしか書かれていない。

BARBARA MANNING 天使の様に美しい声を持つ歌姫 Barbara Manning からこの日は始まった。 ギターを肩に30分程歌って終わった彼女のショーは、ファンにはかなり欲求不満だったようだ。 (ドローンでなくてもやはり美しい女性の歌には誰でも心が動くよね)
SCIENCE KIT 2nd ギターの音が多少小さすぎたようだが、MBV や Fugazi ばりの演奏は印象深い。
THE AZUSA PLANE ambient 風な2人のギター(Jason DiEmilio & Jason Knight)にティンパニーの様に大きなドラム(Quentin Stolzfus)が低音部を響かせる。その音色は WINDY & CARL からベースとボーカルを無くした様なという形容詞が丁度いい。 今回のハイライトだったっていう人が多い。
LOTHARS 3台のテルミンとギターによる演奏。
PRIMORDIAL UNDERMIND 私のもっているテープでは、Magic Hour にも通じるサウンドを出していた彼らだが、この日の演奏も評価が高い。
ORANS  
NEUTRAL MILK HOTEL ノコギリ(musical saw)を加えたちょっと変わった演奏はかなり評判がよかったようで、聞いた人の評価はかなり高い。ただ彼らにしても2日めのこの時間帯は結構客のほうが中だるみの状態で、あまり聞いている人が少なかったようだ。(かわいそう...)
SUPREME DICKS 初期の Meat Puppets みたいっていうとどんな音?
MARY LOU LORD いつも地下鉄の駅で歌ってるっていうシンガーソングライター。 シンプルだけれど、その優しくエレガントな歌は、こんなフェスティバルでは清涼剤的な役割をもったかも...
TADPOLES 初めて聞くのだけれども、どうも始めてじゃないみたいな感じになってしまう、そんなバンドだそうだ。ちなみに、みたいなってリストをあげると Spacemen 3, Love, The Flaming Lips, the Butthole Surfers, old Pink Floyd, the Jesus and Mary Chain, Spiritualized, Spectrum, and E.A.R. ...なるほど、これだけでも何処かで聞いた音って想像できてしまいそう。
FLYING SAUCER ATTACK この日はチューニングのトラブル等であまり調子がよくなかった。
MEDICINE BALL  
BEVIS FROND どうも最終ステージはどの日も閑散としていたようで、2日目の最終アクト BEVIS FROND にしてその記事はかなり少ない。残ってた人のコメントも”かっこよかったよ”ぐらいで、殆どこの時間帯にはドローン状態で(まあバッドになってないだけ良い演奏だったって事かしら?)何も覚えていないだけ...?

27(SUN)

DAMON & NAOMI 3日目のお昼からのショーということもあって見逃した客も多かったようだが、最終日は私の大好きなこの二人から始まった。Tom Rapp(Pearls Before Swine) の "Translucent Carriages" なんて曲を演奏したり、最後は Tom Rapp 自身が出てきて一緒に Dylan の "I Shall Be Released" を演奏したり、この様子ではそのうち一緒にバンドをやりだすんでは...?
ALVA ピアノをメインのキーボードを中心に、サックスとバイオリン、それに子どもじみた声を取り合わせた演奏。なんとはなしに一時期のコンテンポラリーな音を想像してしまいそうだが、果たして楽しめたとの記事は何処にも見かけなかった。
THE OLIVIA TREMOR CONTROL やたらとたくさんの器材(数々の笛やキーボード、2台のドラム・セット、テープ・プレーヤ、等など)を持ち込んで(他のバンドには迷惑な話?)の演奏。
THE MAJOR STARS(Wayne Rogers) Wayne and Kate の新しいバンド。かなりハードになってきたようで、Yo La Tengo の一番ハードな音とか、VUやMBV等との比較といった記事が目立つ。 Magic Hour の解散もこのあたりが原因なのだろうか?
THE ALCHEMYSTS  
PAPAS FRITAS 彼の最新作からの曲を中心に、ポップな演奏で観客を楽しませた。
BARDO POND Gibbons兄弟のギターと Isobel けだるいボーカルを中心とする BARDO POND はライト・ショーをバックに登場した。彼らの音楽は聞くためのものではなく、感じる為のものだという意見がある様に、かなり混沌とした演奏であったようだ(このあたりは推測するしかない)。
HILKKA とにかく大きな音のヘビーなサイケデリックといった演奏。
LHASA CEMENT PLANT HILKKA の器材をそのまま使って演奏したそうで、こちらもやはりかなり大きな音で、なおかつうんと長い演奏だったようだ。(こうなると好みはかなり人によって別れる)
V. MAJESTIC このフェスティバルを企画したメンバーの一人 Robert Jazz のバンド。2人のフレンチフォルンを前面に "Circus Town" という映画を背景に映しながら psyche/punk な印象深いポップを演奏した。(このあたり元の記事の直訳)
HOVERCRAFT このフェスティバルで最高にいかした映画を背景に HOVERCRAFT はまさに映画のバックグラウンドをやってるみたいに、映画が始まると同時に始まり 45分後、映画が終わると同時に終わった。だが、その内容はかなり緻密なものだった。
RICHARD DAVIES かなり期待していた人もいた様だが、演奏はその期待を裏切ってしまったようだ。
t.b.a. Magic Hour reunion 誰がなんと言おうと、これがこのフェスティバルのハイライトに違いない(と私のきめつける)。彼らが再結成して演奏するとは当日までは誰も知らされていなかったようで、翌日からの仕事の為にこのショーを見逃した人は多いようだ(なんてもったいない)。