DESERTSHORE
1. Janitor of Lunacy 4:00
2. The Falconer 5:40
3. My Only Child 3:28
4. Le Petit Chevalier 1:09
5. Abschied 3:02
6. Afraid 3:27
7. Muterlein 4:31
8. All that Is My Own 3:28
Recorded at Sound Techniques Ltd., 46A Old Church Street, London SW3 1969
produced by John Cale
co-produced by
Joe Boyd. Witchseason Productions.
All selections written by
Nico

Nico: vocals and harmonium
Ari
: vocals on "Le Petit Chevalier"
John Cale: all other instruments exept trumpet.
John Cale and Adam Miller: harmony vocals


この時期の NICO を語る時、ある転機が彼女におとづれていたいた事を見逃すことはできない。例えば Chelsea Girl の頃迄の金髪のイメージは前作 the marble index のジャケット写真のように黒い髪へと変わるし、このアルバムでの写真でも前髪はおおきくアークを描いて切り込まれている。美の女神(ビーナス)というイメージからの脱却とともに、自分という人間のインテンスをしっかりとみすえようという意図がはっきりと形を現しているのではないだろうか・・・
(もし’37年誕生説に従うなら)すでに30代に達した彼女が ICON としての自分ではなく、個人としての NICO をめざしたとしてもおかしくはない。とはいえそれが好意的にとらえられる事はなく、この時期かなり辛辣な批評が彼女に浴びせられている。
しかしここで聞かれる NICO の音楽は John Cale のサポートを抜きにしても明らかに他とはまったく異なった独自の世界を描き出している。そう前作ではまだ共同作業というイメージが強かったのが、ここでは明らかに NICO 本人のイニシアチブがくっきりと現れている。 John Cale ですら Chelsea Girl における Jackson Browne の位置にまで後退しているかのようですらある。
ところでこのアルバムでの音的に非常に重要なコンセプトを見逃してはいけない。 the marble index でも出だしで少し聞かれた NICO の奏でる harmonium はこのアルバムですごく大きな比重をになっている。それは圧倒的な持続音であり、またその微妙に動き出すうねりだ。 harmonium の西洋音階よりは多少ピッチの低いその響きは、倍音成分の多い John Cale のヴィオラの音色と交わる時ですら圧倒的に低音部分を支配している。
そしてそのコンセプトはボイスにも現れる。Chelsea Girl の頃には未だてらいのあった声はすでに伝える事にのみ忠実で、時に悪寒ですらある。すでにそれは John Cale がある程度意図していた前衛音楽的コンセプトを通り過ぎ、より原初的エモーションへの回帰ですらある。それは旅人の奏でるアコーデオンであり、吟遊詩人の詠う詩篇だ。
by seven 22,May'99