リクガメを日本で飼育する場合、注意すべき事として、温度と湿度があります。
本来地中海性気候のエリアに生息している彼らは活動している間、30 ℃の体温度を
保つために、18 ℃〜 28 ℃の間の気温を必要としています。
また、冬期に著しく気温が低下すると冬眠して耐えることも可能ですが、それにも限度
があり、冬眠中でも5 ℃程度の体温度が保てるようにする必要があります。
気候がよいシーズンにおいては、屋外の飼育は好ましいでしょう。温度に限って言え
ば、屋外で18〜30℃の気温ならば、特に問題はないと思われます。
ただ夏において直射日光のため40℃近くの温度になるような所では、必ず日陰となる
場所を用意してあげましょう。彼らが、自分で体温調節できることが重要です。
また日本の夏は多湿ですから、リクガメは体調をくずしやすくなります。屋外で、広い
庭などであれば、風も通るため問題ないですが、バルコニーなどでの屋外飼育をする
際には、風が通るような工夫が必要です。”環境を参照して下さい”
冬期においては、屋外に出し放しで勝手に穴を掘らせて冬眠させるなどというのは
日本の気候では危険すぎます。屋内で飼育するか、屋内で(物置、犬小屋なども可)
冬眠させてあげるようにしましょう。屋外の穴ですと、地表近くでは、凍結してしまい
危険です。
屋内における飼育は温度に限って言えば、コントロールしやすいため好ましい訳です。
日本の夏はリクガメにとっては暑すぎ、冬は寒すぎますから、人工的に調整する必要が
あります。以下に示すのは、一般的な温度と湿度のめやすです。幼体や病気のカメは、この限り
ではありませんので、ご注意ください。
温度は、夏は、昼25〜30℃、夜20〜25℃を目安にします。冬眠させない場合、
冬は、昼18〜28℃、夜10〜18℃を保つようにしたいものです。
この温度はあくまで床近くの温度ということです。床から10cm程の高さに温度計を設置して
チェックしましょう。エアコンの温度設定を適温にしているからといって、床近くの温度がそうで
あるとは限りません。特に屋内で放し飼いにしている場合は注意しましょう。
一般的な飼育温度とは別に、リクガメは日光浴(バスキング)が必要です。そのため、
ホットスポットと呼ばれる暖まれる場所を用意してあげる必要があります。
ホットスポットは28〜35℃になるようにしましょう。
夜間はホットスポットは必要ありませんが、飼育温度は保てるようにしましょう。
昼間と比べて10〜15℃程度温度を下げて、変化をつけてあげるようにしましょう。
<昼夜、季節、場所>それぞれにおいて温度差を設けることは、上記の温度を保つことと同様に、
温度管理においては大切なポイントとなります。
次に湿度ですが、ギリシャリクガメの場合
湿度は夏期においては70%を上限
冬においては50%を下限
ホルスフィールドリクガメの場合
湿度は夏期においては60%を上限
冬においては40%を下限
を目安にして下さい。これらを越えると体調をくずしやすくなるようです。
特に冬場の乾燥には注意が必要で、乾燥しすぎるとギリシャリクガメなどはRNS
(RUNNY NOSE SYNDROME)などになりやすいため、保湿に注意しましょう。
夏季のムレ対策としては、ファンをまわすなどして空気の循環をよくするとよいでしょう。冬季
の乾燥を防ぐには、水入れを設置するなどの方法があります。私たちは、夏はホルスのために
除湿器などを使って湿気を抑え、冬はギリシャのために加湿器などを使って乾燥し過ぎないよう
にしています。必要であれば、このような設備を導入するのもいいでしょう。
参考までに、ホルスとギリシャの生息地の月別の温度と湿度の一覧表をのせておきます。 ただし、ギリシャは生息範囲がひろいので、あくまで一部の地域を参考までにのせています。 彼らの棲む地中海地域は、一般に夏乾燥し、冬は湿潤で、日本とは全く逆であることを年頭に おいておきたいものです。一般的に、ギリシャは気温が下がる冬季には冬眠をし、また、高温で乾燥 する夏季には、穴ぐらなどにもぐって夏眠をとるものもいます。ホルスは、年間を通じて活動する 時間が短く、そとに出ているのは、気候のよい春先と夏の終わりの合わせて3カ月ほどしか ありません。気温が零下に下がっても、彼らのいる土中はそれほど低温になっているわけでは ありません。
<月別平均温度℃と湿度%> (月) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (ギ)Ankara 0.0 1.8 6.0 11.1 15.6 19.6 22.9 22.6 18.3 12.5 7.5 2.3 77 76 66 60 59 53 44 42 48 58 69 78 (ギ)Ashabad 2.0 4.3 9.8 16.9 23.2 28.5 30.9 28.7 23.0 15.1 9.7 4.3 66 65 60 58 42 32 31 32 37 52 61 69 (ギ)Amman 7.7 9.0 11.6 15.8 20.1 23.6 25.1 25.2 23.4 19.9 14.4 9.3 73 70 65 54 45 36 41 43 50 49 57 70 (ホ)Turgaj -15.5-15.1 -7.4 7.8 16.3 22.0 25.0 21.5 15.0 5.1 -3.2-10.9 83 79 85 56 49 43 45 42 49 65 81 82 (ホ)Gur'ev -8.4 -7.8 -0.3 11.0 18.9 23.7 26.3 24.0 17.3 8.3 1.7 -4.4 84 83 77 55 45 47 45 47 63 66 77 84 Tokyo 5.2 5.6 8.5 14.1 18.6 21.7 25.2 27.1 23.2 17.6 12.6 7.9 50 52 56 63 66 73 76 73 73 67 61 54
仔ガメや熱帯、モンスーン気候の地域に棲息するリクガメの場合
上記で、18度から28度の気温が必要としていますが、棲息地の平均気温は、あくまで環境 の設定温度の目安ということになります。気温がたとえば20度であっても、屋外の自然界では 日向であれば40度程度の温度にはなるでしょう。リクガメ達が日向で日光浴を気持ち良くする のに28度の温度でよいということではないわけです。 また、地中海リクガメ以外の熱帯やモンスーン気候の地域に棲息するリクガメの場合には、より 高い温度設定が必要になります。ホシガメなどの場合では、飼育下では最低温度で25度は キープするように心掛けるといったことが必要になるでしょう。
また、孵化して間もない幼体のリクガメや、ペットショップからかなり小さい仔ガメをつれてきた場合などでは、本来の棲息地の気温というよりも、孵化器の温度設定やペットショップでの温度設定などが重要な目安になります。 飼育下では、しばらくの間は設定温度を高めにしておくほうが、安全でしょう。夜間でもっとも温度が下がっても25度程度はキープできるように しておくとよいでしょう。
冬眠の温度、環境については、別のページを参照して下さい。
部分的な保温のための器具として幾つか紹介しておきます。これ以外に、部屋ごと暖房する
というやり方もあります。わが家では、冬季はエアコンはほぼフル稼働です。この場合でも
バスキング用の場所は必要です。