(5)適度な水分がとれていること


 比較的乾燥した地域に生息する地中海リクガメですが、生きていくうえである程度の水分が必要であることを忘れてはいけません。脱水状態が続くと、リクガメは腎臓障害を起こすことが知られています。また、高タンパクな食事を与えつづけていると起こることがある尿路結石は、脱水状態がつづいても起こることが分かっています。
 脱水をおこしやすいのは、冬季で電気の暖房をフル稼働させている時期や、真夏に屋外の日向で生活させているときなどです。また、冬眠から覚めたばかりの個体や妊娠している個体も要注意でしょう。
 日頃の食事の中に十分な水分がふくまれていることが何よりですが、これ以外にも、脱水を防止するには、食事の中に水分が豊富な野菜やくだものを、ある程度くわえてあげる方法があります。これには、トマト、メロン、キュウリ、プラム、りんご、いちご、等々がいいでしょう。
ただし、糖分の多いくだものを与えすぎるのは、それでまた問題になりますので、気をつけなければなりません。
 また、浅い水入れを常設しておくという方法もあります。この場合は、出来ればカメの全身が入るくらいの大きさにしておくと、自分から中に入って、お風呂につかりながら水も飲むでしょう。水の深さは、ほんの2cmくらいで十分です。中でフンをしてしまう場合もありますので、少なくとも一日に一回は水をかえ、清潔に保てるようにしておくことを心掛けましょう。湿気に弱い個体を狭いケージで飼う場合には、この方法は向かないでしょう。このような場合には、定期的におふろに入れるという方法がいいでしょう。うちでは、夏場にバルコニー飼育をしているときは、水入れを用意し、冬は定期的に温浴をさせています。夏のギリシャは、気持ちよさそうに水入れに浸かります。
 屋外飼育をしている場合は、夏の降り始めの温かい雨にあたらせるというのも効果があります。春や秋の冷たい雨にあたってしまうと身体が冷えて体調をくずしてしまう可能性も高いですが、夏の温かい雨でしたらば、むしろリクガメの食欲を促進したり、排泄や飲料を促進するようです。健康で成長したカメでしたら、このような方法もいいかもしれませんね。