トータス・トラスト(ロンドン)からの緊急重要報告

スウェーデン税関当局、スウェーデン農業省当局により、
1000匹のホルスフィールドリクガメが惨殺さる。

その報復措置として世界規模の「スウェーデン製品の不買運動」に参加を


この事件は、シリア国籍のアルモ・ハッサンと名乗る人物が、スウェーデンのストックホル ムのアーランダ空港から、輸入許可の下りていない1000匹のホルスフィールドリクガメ (Testudo horsfieldi)を違法に持ち込もうとしたところを、差し押さえられたことを発端として います。この人物の取引には、ロシア人のパートナーも関わっていました。スウェーデンの 税関、そして農業省関係当局は、即座にその荷を押収、カメたちは、保温設備のない大 型倉庫に、エサや飲み水も与えられないまま放置され、冷たいホースの水を毎日かけられて いました。(訳注:ストックホルムの10月の平均気温は7.4℃です。理科年表より)

当局のやり方は、この時点ですでに常軌を逸していました。この種の生きた押収物に関して やその取り扱いについて、当局は国内の爬虫類協会(Swedish Herpetological Society)や、コンタクト可能な爬虫類の専門家のいずれにもまったく助言を求めていないの です。当局が、ことのすべてを秘密裏に処理しようと目論んでいたことは明白です。ス ウェーデン爬虫類協会の機関誌「SNOKEN」編集長のラルフ・トラモンタノ氏によれば、ス ウェーデン農業省は、当局の思惑の外部への漏洩を取り締まりや規制で阻止しようとする場 合、概して内密に執り行うのが常で、それが多分に行き過ぎである場合が多いとの見解を示 しています

この事件がようやく明るみに出たのが10月23日の水曜日の夕刻のことで、スウェーデン 在住のトータス・トラストのメンバーが、報道で明らかになったことを即座にe-mailで報告 してくれたのです。それによれば、当局は、a)カメたちを、不適切な環境下に放置している こと。b)そのカメたちをすべて処分(殺害)することを真剣に考えている、とのことでし た。

トータス・トラストは、この報告を受け、直ちにrec.pets.herps、sci.bio.herpを初めとす るインターネットのニュースグループにメッセージを流すと同時に、世界中の他の多くの関 係筋にe-mailで、これらのカメたちの窮状を訴えました。翌日の木曜日早朝、スウェーデン (の連絡員)からその後の情報が届きました。それによると、当局は、「カメは皆、病気の ため瀕死の状態で助かる見込みはないため、すぐに殺した方がよい」と主張しているとのこ とでした。私たちは、カメたちの命を救うため、総力を上げて力を尽くしました。私たち は、英国の駐在スウェーデン大使館に、それらのカメたちをタジキスタンの生息地に送り帰 すための必要経費をすべてこちらで負担することを公式に申し出たうえ、それまでのカメた ちの適切な管理方法や、獣医学的な側面に関して、専門的なアドバイスを提供する準備があ ることを伝えました。スウェーデン大使館側は、その申し出を受けて60分以内に、ス ウェーデン本国の農業大臣にファックスでその旨を伝えたと通達してきました。私たちは、 また、インターネットを通じて、世界各国の自然保護に携わる人々や団体、カメの愛好家た ち、動物福祉の支持者たちに、スウェーデンの農業省に、カメたちの助命と、少なくとも救 助の手はずが整うまでの間、処分を遅らせることを嘆願する緊急のファックスを、当局に送 り付ける呼びかけをしました。この時点で、WWF-Sweden(世界自然保護基金スウェーデン委 員会)から、私たちの助命の呼びかけに賛同し、援助するという連絡が入り、彼らもまた、 方針変更を求めて、当局に対して懸命の説得に出ているとのことでした。また、世界の各地 から、スウェーデン当局にファックスによる抗議が多数届いていることが分かりました。こ うした抗議は、はるか日本を初め、米国、南アフリカ共和国、オーストラリアからも寄せら れました。各国の獣医師、生物学者、そして一般のカメ愛好家たちが皆、当局に再考を求め る嘆願をしたのです。

詳細が明らかになってくるに及んで、当局側が、今回の押収荷のすべてのカメを、冷凍死さ せることを決めているということが判明しました。私たちは、当局に緊急のファックスを入 れ、この方法が爬虫類の安楽死の方法として、もはや人道的で安全な方法と見なされていな いことを告げましたが、前回の要求同様、当局はそれを無視する行為に出ました。

私たちは、スウェーデンのマスコミに直接コンタクトを取り、それらのカメたちに別の収容 先を見つけるか、(感染の危険を排除したうえで)生息地のタジキスタンに帰すか、そのい ずれの場合でも、トータス・トラストが責任をもって援助するという申し出を伝えました。 このことは、広く報道されることになり、SAS(スカンジナビア航空)からは、それらのカメ たちをモスクワまで無料で輸送したいという申し出がありました。英国のマスコミにも、カ メたちを救おうとする戦いが次第に苦境に陥りつつある実情が伝えられました。カメたちの 窮状を世界中に訴え、スウェーデン当局に前言の撤回を求める努力は木曜日の終日、夜間に 至るまで続けられました。世界16国以上の人々から何十通ものファックスや、何百通もの e-mailが寄せられました。また、首都ストックホルムのスウェーデン当局に対しても継続し て圧力が加えられました。しかし、この時点までに、当局の担当官たちは、「電話に出られ ない」状態になり、向こうからかけ直してもらうことも断られるようになりました。

10月24日金曜日の朝、事態は最悪の結果を見ることになりました。スウェーデン農業省 は、世界中で抗議の嵐が急速に激しさを増してきたのを知り、この気運がこれ以上盛り上が るのを避けるために、夜通しかけてすべてのカメを冷凍死させていたのです。こうして 1000匹のホルスフィールドリクガメは、すべて殺されてしまいました。

テレビ局のインタビューに答えた農業省のスポークスマンの発言から、それらのカメがすべ て瀕死の状態であったことがウソであったことが判明しました。このスポークスマンは、こ の殺害をサイテスの取り決めのせいにしたのです! そのうえ、わずか48時間前に、ス ウェーデン当局はそれらのカメの入国許可を実は考えてはいたのだが、「許可すればカメが 売却されてしまう可能性があり、当局はそのことを危惧していた」という事実まで浮上した のです。これは、現在当局が公式に主張している
「1000匹のカメはすべて重態で助かる見込みがない」という言い分と矛盾しています。 獣医師カリン・セレニウス氏、同じく獣医師エルンスト・メナート氏率いる、農業省の官僚 たちは、そもそも最初から、潜在する違法な輸入業者に対して、見せしめの処分を強行する つもりだったことはほぼ間違いありません。

カメたちの状態がよくなかったことは紛れもない事実ですし、そうした状態のカメたちを劣 悪な環境下で1週間放置していた農業省のやり方では、その状態が改善される余地がなかっ たことも事実です。しかし、それら1000匹の強靭なカメたちの100%が、安楽死以外 方法がないほど重態であるという当局の主張は、到底信用できません。

さらに、スウェーデンでは、違法に入荷した動物は殺されてしまうのが常で、助命されるこ とは稀であるという事実も明らかになってきました。

この件に関してスウェーデン当局は、なぜ、外部の、当局に利害関係を持たない爬虫類の専 門家(爬虫類専門の獣医師を含む)の助言を求めなかったのか、そして、なぜ、冷凍死が非 人道的であるという獣医学的見地からの助言さえもまったく無視するに及んだのか、という 私たちの疑問に答える義務があります。さらに、なぜ、この処分(殺害)を、これほど大急 ぎで執行しなければならなかったのかという疑問にも、当局はきちんと回答しなければなり ません。

●スウェーデン当局に対する抗議運動の目的は以下の通りです:

トータス・トラストは、このスウェーデン当局の震撼させられるような野蛮な措置に対し、 動物に対して、文明社会としてあるまじき行為であるとして、遺憾の意を表明します。カメ たちを救う目的で日々尽力している人々は皆、今回の措置に、非常に動転し、傷つき、憤り を覚えています。トータス・トラストの主幹アンディー・ハイフィールドは、次のように述 べています。「私は、動物の福祉と保護に関わって25年になりますが、本件は、私がこれ まで体験してきた中でも、最悪とも言える事態です。私はスウェーデン当局のやり方に、こ の上ない不快感を覚えています。私たちは罪のない動物たちに対するこうした残虐な措置を 決して見過ごすべきではありません。動物たちの死を無駄にしないためにも、こうした過ち の再発を阻止しなければなりません。」 こうした愚かな人為の再発を防ぐ目的で、トータ ス・トラストは世界規模のスウェーデン製品やサービスの不買運動への参加を全世界に呼び かけています。この経済制裁のターゲットとなる製品の中には、ボルボ(VOLVO)社の車、サン ドヴィック(SANDVIK)社の玩具、ハッセルブラッド(HASSELBLAD)社のカメラ、スウェーデン産 の木材を使用した家具や建材などが挙げられます。この不買運動は、カリン・セレニウス、 エルンスト・メナート両氏、及び、アニカ・アンバーグ農業大臣が、辞職または解任される まで続けられます。
さらに私たちは、押収された動物の処遇に関しても、スウェーデン政府に方針変更を要求し ます。現行の方針は、野蛮で、生物学的にも多大な損失を招くものであり、そこから肯定的 な結果は何ひとつ得ることはできまさせん。押収された動物たちは、(感染の危険を排除し たうえで)生息地に帰すか、動物園や責任ある飼育者の保護下におかれるべきで、それが意 味のない殺害よりどれほど賢明な措置であるかわかりません。私たちは、こうした趣旨の運 動をスウェーデン国内にとどまらず、EC諸国とも協力して展開していく所存です。

●運動に関する詳細:

本件の詳細と、キャンペーン(不買運動など)の最新報告を各国に流すための、インター ネット WWWサイトを現在準備中です。また、車体に貼るシール、バッジ、ポスターなども製 作中です。この件に関する情報は、直接トータス・トラストから入手が可能です。
e-mailアドレス:100105.555@compuserve.com
郵便アドレス:The Tortoise Trust, BM Tortoise, London, WC1N 3XX, England

ECを通じて提示すべく、充実して重みのある嘆願書が現在作成されています。この嘆願書 は、これまで海外諸国に対し、人間や動物の権利や、虐待について延々と講釈をたれること で有名なスウェーデン政府を狼狽させることになるでしょう。

どうか下記の人々に、抗議の手紙を送ってください。

Annika Ahnberg
Department of Agriculture
S 103 33 Stockholm, Sweden
Tel: 46-8-405-100 Fax: 46-8-20-64-96

Karin Cerenius
National Board of Agriculture
55182 Jonkoping, Sweden
Tel: 46-36-155800 Fax: 46-36-715114

あなたの国の駐在スウェーデン大使館、スウェーデン領事館に手紙を出して、あなたが 1000匹のホルスフィールドリクガメの処分に抗議して、スウェーデン製品やサービスの 不買運動に参加することを伝えてください。

この文書をコピーしてたくさんの人に読んでもらってください。この文書は、会報やパンフ レットなどに印刷したり、自由にe-mailや郵送していただいて結構です。

(本文書を翻訳してくださった B.日向野さんに、心より御礼申し上げます。)