Club-scale 伊豆アンディランド・ツアー体験記その2



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その後、クライマックスのバックヤードへ。
実は一年ほど前にも一回、ご好意でバックヤードを拝見させていただいたのだが、今回の方がゆっくりと見学できた。
バックは、サービス用の廊下が迷路状に走っており、各々の展示ブースへ効率よくアプローチできる間取りになっている。展示スペースとバックヤード全体を覆う大屋根が上部にかけられており、その大屋根には無数のトップライトが並ぶ。
2月下旬とは思えない日差しが、心地よくトップライトから差し込んでくる。
飼いきれなくなって持ち込まれた個体だという、雄の立派なグリーンイグアナも、サービス用廊下の片隅に設置されたケージの上の方で、気持ち良さそうにその日差しを浴びている。
そのイグアナが見つめる視線の先、天井付近には、数多くの配管が縦横無尽に走り、この施設の大きさを物語る。

前回は、5月とは言え、雨降りの肌寒い日であったため分からなかったが、このバックヤード、トップライトからの陽光で非常に室温が高い。暖かいを通り越し暑い。
一同上衣を取る。半袖Tシャツ一枚になる者もいた。

はじめに通された飼育室には、ゾウガメ以外の孵化幼体や、諸事情により展示できない個体(大半が持ち込み個体)がかなりの数飼われていた。
壁際には水槽がずらりと並んでおり、各種水棲ガメが飼われている。
そこかしこに千田氏が育てているパパイヤサツマイモなどの植物が青々と茂っており、まるで熱帯植物園だ。日当りのよさが伺われる。
床に落ちているパパイヤの葉を、ケヅメが啄ばむ。スペースがなくて、ケヅメを何匹か、ここに放し飼いにしているという。

中には、重度の甲羅の発育不全を起こしているケヅメもいた。それでも甲長30センチくらいには成長しているのだが、甲羅全体の盛り上がりがなく、ペシャンコなのである。そのため「パンケーキケヅメ」などと呼ばれている。
ひとつひとつの甲板はいわゆるピラミッド状に隆起している。
恐ろしいことに、こんなに大きいのに、背甲を軽く押すだけで、ぺこぺこと凹むのだ。完全なMBDだ。持ち込まれたときから、この状態で、それでも元気にはしている、ということだが。なんともむごい。

隣の事務室のような部屋には、孵卵器が設置してあり、中には孵化待ちのリクガメの卵たちが据えられていた。テーブルの上には、飼育日誌や卵の抜け殻やカメの甲羅などが無造作に置かれている。一つ一つが貴重なもの。まさに宝の山である。

次は部屋を移り、ゾウガメベビィがいるところへ。
昨年は、まだよちよち歩き、といった感じのベビィたちだったが、一年で随分立派になっていた。当たり前の話だが、我が家のギリシャベビィ達とは、成長速度がまるでちがう。
この部屋には、他にも最近入ってきたものと思われる密輸摘発モノのホシガメベビィ多数と、寄贈モノのホウシャが同居。先ほどのケヅメヒョウモン3頭もここに落ち着いている。ホウシャは、甲長30センチほどの立派な個体。私も、このサイズの個体は見たのはおそらく初めてだろう。飼い込み個体との話だったが、甲羅もとてもしっかりした個体だ。持たせていただいたが、ずっしり重い。
やはり美しいカメだ。

バックも一通り見学し終わったところで、いよいよクライマックス。
ゾウガメにエサやりターイムっ!(嬉)がやってきた。
本日のメニューは、篭いっぱいの小松菜。
本当は当日はエサ抜き日だったらしいが、特別な計らいで「おやつ」として少しばかりの小松菜をあげることが許された。早速、小松菜を手に目をつけた個体へ近づく。
いやはや。すごいの一言。
予想以上の大迫力。今の時期に出回る茎のぶっとい小松菜を、一株3、4口で、パク、パク、パクんと平らげる。茎を噛みきる音の気持ちよいこと、気持ちよいこと。
うっかり噛まれると大怪我しそうだ。
特にガタイの大きなロッキーなどは、小松菜10株くらいおやつにもならんワイ!とでも言わんばかりに、バリバリと喰い散らかし、その豪快さで一躍みんなの人気モノとなる。(笑)みんなでロッキーを囲んで記念撮影もした。この様子は、きっと次号のスケイルに載るだろう(笑)。

「いつもは葉っぱを小さいカメにあげて、茎ばっかりだから、今日は嬉しいのかも、、」とは千田氏の弁。なるほど。それにしても、気持ちよい食いっぷりだ。
ゾウガメに手からエサをあげるというだけのことが、こ〜んなにも楽しいものだとは!あとで写真を見ても、他のときとは自分の表情がちがうのが分かる。童心にかえった瞬間だ(笑)。
「ゾウガメに踏まれる感触を味わいたい。」とアホなことを言って、歩き去るゾウガメの足の下に、そっと自分の足をすべり込ませていた人もいた。(因みに夫である(--;)

篭いっぱいの小松菜もすぐ底をつき、一同大満足のまま、さぁ、今度は巨大ワニガメの餌付けだ。「希望者いますかー?」との小峯氏の呼びかけに、挙がった手はたった一つ。自宅でもワニガメを飼っている(といってもまだ10センチ)W氏だ。さすが男だ!
「他にいませんかあ?」
そういわれても。さっき表の展示スペースから拝見したけど、頭が人の顔より大きかったぞ。身の危険を感じてしまう。この時間、私は隅の方へ避難(苦笑)。結局、男性陣は全員、交代で餌付けを体験し、全員男を上げたようだ。よかった、よかった(笑)。
エサは、サカナの頭?だったかな(詳細不明)。

この後、本来はアンディランド孵化のアカアシベビィを賭けて、カメレースという段取りになっていたが、夕べの段階から、ほぼ全員がこれ以上個体を増やせない「臨界状態」に達していることが判明(笑)。よって、希望者があれば譲渡ということになった。
結局、唯一の希望者S氏がめでたく連れて帰ることとなった。
成長記録は、スケイル誌上で連載される、、かもしれない(笑)。

以上をもって、予定されていたイベントは全て終了。自由時間となった。
ランチタイムまでの30分ほどを、お土産購入や館内再見学できることになったが、私たちは、天気がよいので屋外見学へ。

園内には、もう野草も幾分茂っていた。夏期には、千田氏が裏の畑でクワやオオバコなどを育ててカメたちのエサにしているらしい。サツマイモはすぐイノシシに掘り返されてダメなのだそうだ。なるほど。都会とはまた一味違った悩みがあるのだ。土地がフンダンにあって羨ましいと思う反面、管理の大変さを思うと気が遠くなる。

まだ気温が低くゾウガメたちは外に出られない。初めてここを訪れたのは数年前の5月だったが、初夏の陽気に誘われてか、ここの屋外飼育場でゾウガメの交尾を目撃できた。確か、ダイアナ嬢と誰かであった。あの巨大な身体を持ち上げ、メスに乗り、やがて地響きのような鳴き声をあげる。迫力なんてものではない。先ほど、見せていただいたベビィたちがダイアナ嬢の子供なのだと伺い、なんだか不思議な気持ちになった。
そんな記憶をたぐりながら、住人がおらずひっそりとしている屋外飼育場の前を通り過ぎ、小さな池に出た。池にかかった太鼓橋を渡ると、中島でカメたちが折り重なるようにして甲羅干しをしている姿が目に入った。疲れた足を休めるために、しばし、池の傍で腰を降ろす。カメは、ほとんどがアカミミガメだったようだ。キバラも混じっていた。
このところの陽気で、冬眠から起き出したのだろうか。
風がやや冷たいが、背中に当たる陽がぽかぽかと暖かい。
池のカメたちも、同じ暖かさを感じているのかと思うと、なんだか嬉しい。
少しばかり時間がとまる。

ランチは、アンディランド名物、バーベキューだ。
ダイナミックにカットされた野菜類などは、どことなくゾウガメのエサを彷彿させた。みんな賑やかに楽しく最後の食事タイムを過ごした。H氏からワンドリンクのサービスもつき、館内をよく動き回り空になった腹も、すぐ満腹になった。食事中は千田氏より、「アンディランドで販売してほしいカメグッズのリクエストがあれば書いてください。」と紙が回ってきたので、みんなここぞとばかりに好き放題書いた。

食事も終了し、千田氏にお礼を述べ、いよいよ帰路につく。
事故渋滞もあり予想以上に時間がかかったが、サロンでの会話で大いに盛り上がった。 仕舞いには、チョコエッグの向こうはって、カメフィギュア入り雷おこし製造話(謎)まで飛び出す始末。内輪話になるので、この辺で留めておこう。
途中休憩所では、T女史にサザエを分けていただいた。つぼ焼き後、殻をカメに与えるのだ。「サザエの殻、好きなんですよ。」と言ったら、わざわざ沼津の土産用市場で見つけてくれたのだ。多謝。

この後、新宿で解散。
帰宅したのは、9時過ぎ。カメは全員もう寝ていた。
「明日は、腹いっぱい食べようね。」
部屋の中は思ったほど、排泄物も散乱しておらず、30分ほどで掃除も終えた。
早起きと程よい疲労感から、そのままソファで眠りについた。

こうやって2日間に及ぶ、アンディランドツアーは無事に終了した。
思い返せば、一番楽しかったのは、ここには書けない数々のカメ談義に他ならない。
最後に、参加者の皆様とスケイルの皆様に感謝の意を表したいと思う。
素敵な時間をありがとうございました!またお会いしましょう。