メタハラ導入記
(by 森リクガメ研究所)


11月に入るとすっかり寒くなってしまい、カメ達もほとんど屋内生活になってしまいました。日当たりの良い部屋であっても、これからのシーズンは天気が良い日ばかりではありませんので、屋内でも彼等にそれなりの明るさを提供してあげることを目的にメタルハライドライトの導入を行ないました。

生物飼育環境へのメタルハライドランプの導入は、海水魚水槽の環境造りから始まったといってもよいでしょう。メタルハライドランプ自体があまり一般的な利用に使用されていなかったことと、高価であること、メーカーも少なかったこと、情報が少なく、実態が分からず、導入に関して不安があることなどが理由となり、爬虫類の飼育への導入は、ここ1年ぐらいからというのが実情だと思います。

最近は、一部の爬虫類を扱う大型店舗でも爬虫類用としてメタルハライドランプが販売されています。建築の分野ではすでにかなり前からメタルハライドランプは利用されていましたが、小動物への影響などについての研究はほとんどされていない、いや、正確には研究内容が公開されていないというのが実情です。森リクガメ研究所で導入をしましたので、幾つかのデーターを測定の上公開したいと思います。

導入したのは、Arcadia社のSLIMLINE PENDANT '3'series 150W model です。メタハラで、爬虫類用ということで販売されているものもありますが、メタルハライドランプ自体に爬虫類用として造られたものがあった訳ではありませんので、海水魚用や水草育成用、爬虫類用などとして販売されている中から、目的を考えて選定してよいでしょう。爬虫類用として販売されているものは、UVB量カットを少なくしたものが市販されています。

当研究所で上記のモデルを選定した理由は、明るさの確保をメインの理由に考えたこと、またあまり高ワット数のものは、爬虫類への影響のデーターがはっきりしないので不安があること、本モデルは1つの器具でメタルハライドランプと蛍光灯を併設可能なこと、タイマーが器具に付いていること、デザインがよいことなどです。

設置は、天井から専用のワイヤーで吊り下げ、屋内の砂場の上方1メートルに設置しました。メタルハライドランプは、専用の変圧器が必要で、この変圧器が、けっこう大きく重い(5.5kg)ので、設置には工夫が必要です。変圧器から本体までのコードの長さが3メートルですので、長さを考慮した本体と変圧器の設置を考える必要があります。ちなみに本体重量は10kgです。

下から見たサイズは左のようなもので、図の上下に蛍光灯が設置できます。真中の部分にメタハラを設置します。このサイズ以外に30Wの蛍光灯が設置可能で、メタハラも2灯設置できるタイプもありますが、本体17kg,変圧器7.5kgですので、設置方法が難しいかもしれません。メタハラ設置部にはUVカットのための保護カバーガラスが標準で付いていて、ビス2本で取り外しできます。また、写真とスケッチの丸いものが2つ見える物がタイマーで、メタハラと蛍光灯それぞれ用です。これは便利です。

 

 

24時間のうち消灯しておきたい時間を何回でもセットできます。他のホットスポットや蛍光灯などと時間を合わせてON,OFFすることができるので、カメ達の屋内での1日のサイクルを形成するのに本体だけで可能なところが便利です。

製品には、蛍光灯20W2本(熱帯魚飼育用)とメタルハライドランプ1灯が付属しています。メタルハライドランプは、両口金型の150Wのものです。色温度は5200K、10000K、20000K のものが選べますし、別途購入もできます。このメタルハライドランプは、10000lmの光束があります。40W蛍光灯の4本ぶんほどの光束が10cm程の長さのランプから放出されますので、眩しいという感じがします。光源を肉眼で眺めると目が痛いほどですので、カメのあまり近くには設置しないほうが無難です。スペクトル分布は、次のように公開されていますが、紫外線領域については公開データーは不明です。

スペクトル分布を見ますと、550nmの波長にピークが設定されていますので、太陽光に近い波長にピークが合わせてあることが分かります。10000Kの色温度のものならば、晴天の時の自然光にかなり近い感じの光です。20000Kの場合には、光自体はかなり青っぽくなりますが、近くに電球型のホットスポットなどを設置するのでしたら、その赤っぽい電球の光と合わさって、かなり自然な色の状態も作れるでしょう。蛍光灯については、付属のものは利用せずにZOOMEDのレプティサン5.0を2灯組込みました。蛍光灯の長さが、付属のものより若干短いのですが、設置は問題なく可能です。ただ、1灯だけの設置というのは不可で、必ず2灯設置しないと点灯してくれません。

これによって、メタルハライドランプとレプティサン5.0×2という盤石的な組合せの照明器具を設置することができるわけですが、幾つかデーターを測定してみましたので、ご参照下さい。

 

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