〜これからの日本の企業のための経営論〜

Presented by s_yosino@st.rim.or.jp

はじめに

私独自の経営論を掲載しています。会社勤めしてはや10年...以上経ちますが、 その中で考えた経営手法に関する私の意見、提案を思うままに書き留めてあります。 ご興味のある方の参考になれば幸いです。


対象は「人」の2人以上いる会社です。個人経営は考えておりません。 難しい経営技術論からなる経営論ではなく、簡単で身近なところから 会社を伸ばすための経営手法を考えています。


目次


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自分は何ができるか

大企業のサラリーマンをやっているとつい忘れがちなのが「自分は何をやって会社に貢献しているか」ということではないでしょうか。
「貢献」という言葉は私は好きではないのですが、労働の対価として給料をもらっている以上、それに見合う仕事をしているかどうかということです。

十数年前、就職活動をしているときに、超大企業ばかりをうけて、ことごとく落とされました。
その中で、採用担当者に言われた印象的な言葉があります。
「どの会社に入るかは問題ではなく、会社に入って何をするかが重要なのです。」
それ以降、特に会社の規模・知名度にはこだわらず、就職活動をして、雰囲気が気にいった会社で、相手もOKを出してくれた現在の会社に勤めています。

会社にいるこれからの若い人たちには、上司に言われたことだけをやるのではなく、会社にプラスになるような新しいことを自分から会社に持ち込めるくらいの能力とやる気を持ってほしいと思います。
また、上司にはこれができる人材を見抜く力が必要と思います。言われたことだけ素直にやるしかできない者はそれなりに使い、今後会社に新しいものを持ち込める能力のある人材はほめて伸ばしてやるとよいと思います。
ミスを叱って自分の権威をひけらかしたり、どうでもいいことをあれこれ言うしか能のない管理職は態度を改めるべきであると思います。

ただ、「経営側がその人に期待する役割にその人が答えられるかどうか」が本来ポイントになるわけですが、会社にプラスになることであれば、その枠から少々はみだしてもいいのではないでしょうか。
(2000.02.27)

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「管理する」ということ

日本の企業ではよく「管理する」という言葉を使います。 なるほど非常に聞こえはいいですね。どういう意味で聞こえがいい のでしょう。”官僚のようである”、”重要な仕事のようである”、 ”他より偉そうである”といったところでしょうか。 「管理職」「管理部門」「○○管理部」まるでエリートの固まりですね。 しかし、これらの組織は本当に機能しているのでしょうか? 「管理する」ということの本当の役割は何なのでしょうか? 日本の企業において「管理する」ということは「見張る」という意味で 使われていると思います。このことはどの企業においても異論のないと ころだと思います。

もちろん、見張る必要もあるとは思いますが、見張らなくとも見張られる 相手が見張りの必要のない働きをしてくれるのが一番良いことではないで しょうか。つまり、「管理する」こととは「管理されている立場の人たち が気持ちよく働けるようにする」ことだと思います。 叱りつけたり、間違った伝票を突き返したり、成績が悪い部署を指摘する のが管理ではなく、叱らなくても自発的に働き、正しい伝票の書き方を教え、 成績の改善方法をアドバイスするのが「管理する」ことであると考えます。

日本の企業において、これらの意味で「管理する」ということがうまく機能 すれば、管理されている人たちの能力をフルに発揮させることができ、日本 企業の強みを出すことができると思います。
(1997.07.14)

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ディベートの使い方 〜問題分析手法としての討論

ディベート、直訳すると「討論」ということになりますが、ディベートをするという意味は 深いものがあります。 会社の研修でやったのですが、研修を受ける前は「いかにして相手を弁論で負かすか」を学ぶ のかと思っていましたが、そうではありませんでした。「討論をすることによって問題点を 明確にする」ことでした。

会議中に意見が分かれて、よく「討論?」になることがあります。が、実際にはほとんどの場合 これは「口論」になっていると思います。単なる感情的なけんかです。 会社の重要な時間を使って内輪喧嘩をしていても会社のためにはなりません。

仕事の遂行上いくつかの方策の中から1つを選ばなければならない場合、その方策について 肯定派、否定派に分かれて、それぞれの立場で「理性的に」討論することによって、問題点を 明確にし、その問題点をクリアできるより良い方策を選択できると思います。 何かとつい感情に流され、あの人の意見だからダメだとか、自分の意見を絶対良いものとして 押し通そうとすることは決して企業にとってプラスではありません。 一歩引いて、第三者的立場からディベートという手法を使って意見を吟味してみてはいかがでしょうか?
(1997.03.30)

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1人で出来ることの限界

「人事を尽くして天命を待つ」とはよく言ったものだと思います。 本来の意味とは少し違っているかもしれませんが、いくら優秀な人間でも、スーパ ーマンのような人間でも1日24時間たった1人の人間にできることなど限られて いるものです。

とはいえ、1人でやる場合はグループで仕事をやる場合と違ってメンバー間の調整 や利害関係はないので、超効率的であるといえます。少数精鋭でなおかつコンピュ ータと通信網で情報武装すれば”四方山話”で1日を終わってしまう数名の社員よ りはずっと成果を上げられると思います。しかし、これは極端な例です。通常は会 社にいるのはある程度特徴を持ったまじめな社員と考えていいと思います。

新規事業やプロジェクトを遂行するときに、これらのまじめな社員1人1人の特徴 を生かした役割分担をできれば、会社としての総力を出し切れると思います。 うまく役割分担を出来なければ、むしろ1人でやったほうがうまくいくこともある かもしれません。しかし、やはり1人でやれることには限界があります。大きな物 事を動かすには複数の人材が「知的連携作業」をすることが不可欠です。 また、その際にはプロジェクトマネージャーも必要です。
(1996.12.24)

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苦情を恐れていてはマネージメントはできない

私の勤め先の社長がある会議で「(社員からの)苦情を恐れていてはマネージメン トはできない。」と言われました。なるほどと思いました。 この発言の前後は省略いたしますので、実際の意味合いは少々違っているかもしれ ません。以下はこの言葉から連想した、あくまでも私の見解です。

どのようなことでも苦情をすべてこころして聴き、必要であれば改善することによ って、会社が進歩するし、そこで働く社員も気持ちよく働け、社員が気持ちよく働 くということは、それがまた会社の発展につながると思います。苦情が出たらそれ を押え込むようにすることがきっと多いと思います。苦情を言われたら当然いい気 持ちはしないでしょうし、反発したくなるものです。

やはり、目標を大きく持ち、苦情や反論はよく聞き、謙虚に受けとめ、常に改善策 を考えて行く姿勢が重要だと思います。「給料を上げてくれ」という苦情も経営す るという観点から考えると「では売り上げを伸ばすには」に変換して考えることも 「では原価を下げるには」に変換することもできます。物事は一方向からだけ考え るのではなく、いろいろな方向から考えると改善策が見えてくるかもしれません。 また、このような「苦情」が会社が発展するバネにもなると思います。
(1996.12.01)

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企業のホームページを会社案内で終わらせないために

インターネットブームで各主要企業はそれぞれホームページをだすようになりました。 大変嬉しいことと思いますが、今のところビジュアルに凝っているだけのものや 会社案内的なものが多いように思います。ホームページを出すということは、最終 的に売上増につながるものでなければ、営利企業として意味はありません。 ボランティアや寄付に近いものとして運用されているところもあるかもしれませんが、 ほとんどの企業はイメージアップと広告を主眼においていると思います。 その場合、ただ会社案内をそのままホームページにしたでけでは必要な情報に欠け、 全く意味がありません。ビジネスユースの場合、ホームページは注文をとるための 重要な手段になっていくと考えます。もちろん注文はホームページでしなくても、 電話でも良いと思います。

自社製品を分類し、絞り込んでいって必要なものが探せたり、キーワードを入力すると 該当する製品が一覧で出てきたり、問い合わせ先が出てきたり、取扱店・販売店一覧が 出てきたりするとよいと思います。 消費者も便利ですが、電話で応対する手間(人件費)も省くことが出来、もちろん 売上増に結びつくと思います。

ただ単に「我が社もホームページを出しました」に終わらせないために、出すための コスト(自社サーバの場合、設備に数百万円、毎月20万円以上の維持費がかかって いるはずです)をペイできるホームページを作ることが必要と思います。
(1996.08.31)

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コンピュータネットワーク構築と本当の生産性向上

パソコンを配布してLANで接続し、サーバを置いてコンピュータネットワーク (最近では間違えてイントラネットと呼ばれている)を構築する。 経営手法として最近流行の、ネットワークコンピューティングによりホワイトカラーの 生産性を向上させるものです。 しかし、実体は新聞で騒がれているほど生産性が上がっているのでしょうか? 今や新聞のネタになる産業がコンピュータ産業しかなくなってきているため、明るい部分のみ 騒ぎ立てて、陰の部分に目をつぶっているのではないでしょうか?

今のパソコンは使いやすくなったとはいえ、まだまだ年輩の方には使いにくいものです。 少なくともキーボードは年輩の方のほとんどが打てません。 従って、コンピュータ化(活字化)することにより、今までより意志表示、表現力が 落ちてしまうことになります。年輩の方でも会社にとってさほど影響のない方はそれでも よいのですが、会社にとって重要な方の意志の表現が低下すると大変なことになります。 たとえ若くてもやはりパソコンは苦手だという優秀な営業マンがいるのも事実です。

これらの部分をパソコンが使えないということだけで切り捨てると、その部分がパソコン導入で 生産性が向上した部分より大きなマイナスになった場合、コンピュータに莫大な投資をした上に 経営状態が悪くなることがありうると思います。 これらのパソコンが苦手な人に限らず、たとえ普通の人でも、導入したシステムが使いづらいもので あれば高い買い物をして、そのままパソコンをどぶに捨てることになります。

コンピュータネットワークシステムの導入を実行する関係者の方々は、使いやすいシステム、 人にわかりやすいシステムを目指してシステム構築をしていくことが必要と思います。 LANのケーブルを張って、サーバを立ち上げ、パソコンを配布し、決められたソフトを インストールするだけではシステムエンジニアには使えても、一般の人は誰も使えないシステムに なってしまいます。

このことはシステムエンジニア本人には理解できません。自分たちは使えるのですから。

使えない人たちの意見を聞き、その人達でも使えるシステムにしなければ本当の生産性向上は ありえません。全員が使えてはじめてコンピュータネットワークシステムが威力を発揮します。システムエンジニアが用意したシステムを使えないのは、使えないユーザーが悪いのだという 理屈は一切成り立ちません。全員が使えるシステムにするため全力を尽くすのがシステムエンジニアの 仕事だと思います。「コンピュータのことはわからないから」とエンジニアの言いなりになって いては上述のようなことが必ず発生して失敗してしまいます。 技術はあってもこの部分に否定的なエンジニアは早めにはずすのが経営的には賢明であると思います。
(1996.07.29)

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クライアントに喜んでもらえる仕事

大企業になるとクライアントに直接接する人の人数の比率が少なくなり、 いわゆる「内勤」的な仕事をする人が増えてきます。 しかし、この内勤ばかりを続けていると、会社本来のクライアントに提供する 会社の売り物であるサービスが何か見えなくなってきます。

また、直接クライアントに接している人でも、会社内部で出世するために 会社内部のことに気を使わなければならない場合、これも本来の職務を忘れ、 資料作りや、上司(役員含む)へのごますりばかりやるようになります。

本当にやらなければならないこと、それはクライアントに喜んでもらえる サービスを提供することではないでしょうか? クライアントに喜んでもらえる製品を開発、製造することではないでしょうか?

”内部のこと”に気を使わせなければならない状況になっていないか 調べてみる必要があります。
(1996.05.27)

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1年先のこと

常に1年先を見てどうすべきか、今考えていることをメモしておくと良いと思います。

人間はコンピュータと違い忘れる動物ですので、せっかく良いことを思いついても 先のことあるいは先々にすると良いことはついそのまま忘れてしまって、その時に なってあわてて準備を始めるということが多いようです。

そこで、忘れない機械であるコンピュータの利用が有効です。 思いついたこと、先のことはコンピュータに記憶させ、適宜取り出して参照できる ようにしておきます。来期の計画も、立案の時期に来たからと言うのではなく、 先々のことについてわかったことは、その時即座にコンピュータに入力してしまいます。 そうすることによって、忘れることがないようになり、かつ先のことが、現在わかってい る範囲内で最新の予測をしたりすることができます。

今までは先のことを考えてもすぐ忘れるので、考えても無駄になり、従って考えなく なっていましたが、これからは常に考え、メモし、再度取り出して考えることが 会社を伸ばす鍵となると思います。
(1996.03.20)

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セクショナリズムとその防止策

セクショナリズムは長期間同じ部署にいるとそれを増長させるようです。

また、部署の長がその部下をまとめる(あるいは言うことを聞かせる)目的で いわば「親分子分」のような関係(昇格させてやるから俺のために働けといった関係)を 作っていると、その部下達は意識しないうちにセクショナリズムにはまりこみ、 他の部署の社員と協調的な行動がとれなくなるようです。 このような状態は悪循環になり、異動させないから「親分子分」にはまりこみやすく、 はまりこんだら親分が子分を異動させないようになります。

セクショナリズムは会社全体からすると大きなマイナスになります。 ほとんどの方がこのことについては異論はないでしょう。しかし、いざ自分の部署の ことになると話は別という方がやはりほとんどだと思います。

社員に広い視野を持たせ、会社全体のことを考えて行動出来るようにするために、 「1年目は仕事を覚え、2年目は自主的に遂行でき、3年目は改善し次の部署へ」という 3年のローテーションはいかがでしょうか?
(1996.03.12)

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電話と生産性の低下

電話は「暴力的である」とよく言われます。 うるさい電話が鳴っているとでないわけには行きません。また、上から下の者に対しては 電話で問い合わせし、かつ、「すぐ答えろ」と言わんばかりのものが目立ちます。 逆に下から上は電話では失礼に当たるので、急ぎでない場合でも 直接出向いて、お尋ねするということになります。 まあ、直接出向かれるとこれもすぐ答えてほしいという意思表示に なりかねないので「むっ」とされることでしょう。

どちらにしても、電話は相手の都合を考えない暴力的割り込みを することとなります。 これは、ただ単に暴力的というにことにとどまらず、考え事(人間本来 の仕事)をしている人に「思考の中断」を発生させます。 いきなりの電話で、せっかく良いところまで考えていたことが、 一気に吹っ飛んでしまう。きっと一度や二度は経験されていると思います。 吹っ飛んでしまったものを取り戻すには、数分かかると言われています。 下手をするとそのまま忘れてしまいます。

社員の本当の仕事である「思考」を中断させるのは、経営的に見て かなり大きなロスになると思います。 これを解消するのが電子メールということになります。 電話をかけて相手の思考を中断させたり、相手が不在で後からかけよう と思っていたらそのまま忘れてしまったりといったようなことがすべて 解消できます。

デメリットは、コストがかかること、リアルタイムではないこと、それから 漢字を入力できないと使えないことの3つです。 コストはいずれその効果でペイできるでしょう。至急の用件は今までどおり 電話を使えばよいと思います。 最後の漢字入力は、やはり覚えるしかないと思います。 年輩の方には抵抗が大きいかもしれませんが、よく使う文章はあらかじめ 作って保存しておいて、違う部分はそこだけ書き換えるという方法もあります。 日本の企業文化にはとけ込みにくいと思われる電子メールですが、急ぎでない 電話で相手の「思考の中断」を起こさせるのは得策ではありません。 日本の企業においては避けては通れない1人あたりの生産性向上の道だと思います。
(1996.02.25)

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「秀吉」のような人材

最近、NHKの「秀吉」を見て「う〜ん」と唸らされることがよくあります。 秀吉役の竹中直人さんの演技のすばらしさもあるとは思うのですが、 なかなか、ああいった人を引きつけ、引っ張っていくカリスマ性を持った 人物が少なくなったように思います。

経営的には、もちろん社長自らカリスマ性があれば、それはそれで良いのですが 自分の部下の中で人を率いるカリスマ性を持った人物を見いだし、登用していくのが 重要と思います。その点、NHKの「秀吉」で描写されている織田信長は、古参の家臣 の顔をつぶさないようにして秀吉を取り立てていく、なかなかの経営手法を とっていると思います。秀吉を取り立ててその力を発揮させることにより、 織田家は強くなっていると思います。

個々の社員が筋肉質になることにより、会社のパワーアップを図れるという こととともに、プロジェクトマネージャー制度のマネージャーに匹敵する秀吉の ような人材を社員の中から見つけだし、力を発揮させれば会社は伸びると 思います。

問題はどうやって見つけだすかですが、少なくとも会社全体のことを考え、 目標を大きく持っている人物でなければなりません。 「秀吉」のように夢を大きく持ち、夢に向かっての行動力があり、周りを 巻き込んでいくような人物でなければダメです。

社員の中にやたらと大きなことを言っている(いわば”ほらを吹いている”) 人はいませんでしょうか?思い切ったことをやらせると良いと思います。 きっと何かをやってくれることと思います。
(1996.02.18)

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コンピュータ化の本来の意義 〜なんでもかんでもパソコン?

何のためにコンピュータ化を進めるのでしょうか?

まずは、コンピュータ化によって時間を創り出すことにあります。 非人間的な作業をする時間をもっと創造性を発揮するための時間にします。 意見交換の時間を増やすことができます。コミュニケーションをとる時間にします。

それよりももっと大きな効果も期待できます。それは、情報通信端末(電子メール、 WWWブラウザ等)として使うことによって、従来の手段(電話、FAX)では とてもコミュニケーションをとれなかった人達とコミュニケーションをとること によって可能性を広げます。

多くのコミュニケーションは新しいものを創り出します。→情報の融合

たとえば、自分の興味のある分野についてWWWを検索し、世界の誰かの 出している論文を読んで、電子メールで意見を交換することができます。 この意見の交換からきっと新しいアイデアが生まれると思います。

なんでもかんでもパソコンにすると、「”パソコンおたく”ばかり出現して 肝心の仕事をしなくなる」という意見はむしろその外観ばかりを見て、 中身を見ていない場合に出てくる意見です。パソコンを道具として 使っているのであり目的にしているのではありません。 ディスプレイを見ているのではなく、ディスプレイに表示されているものを 見ているのです。書類を見ている人はその紙を見ているのではなく、 文字を読んでいるはずです。

パソコンはまだまだ使いづらく高価ですが、その効用を考えれば十分に乗り越え られる壁であると思います。生産性の向上だけでなく、新しいものの創造のための コミュニケーション・ツールとしてパソコンネットワーク化をお薦めします。
(1996.02.13)

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人材流動化時代に備えて 〜ノウハウの文書化

今までの雇用慣行は終身雇用制だったので考える必要はありませんでしたが(実際にはあったと いえますが)転職が普通になっていくにつれて、ある期間ではその人物に投資した教育費を 回収しなければならなくなります。 お金をかけて新しいノウハウを収得させて、さあこれから能力発揮という時に 他の企業に引き抜かれてはとんでもない損害になります。 せっかくの教育投資を回収しないうちに転職されては何のための投資かわからなくなります。

そこで、ある程度の回収を確保するために、培ったノウハウは適宜文書等にして残させておく のが良いと思います。そうしておけば突然転職されても、最低限そのノウハウが残ります。 これをノウハウ書として他の社員にも利用できるようにしておくとよいと思います。

コンピュータのない時代は文書の媒体は紙でしたので、それを利用できる人数は限られていましたが、 コンピュータとネットワークの進歩によって、一つの書類を同時に何人でも利用できるように なりました。(一つのコンピュータにその書類を保存しておくだけで世界各地からその書類を いつでも見ることができるのです。このページを見ていらっしゃること自体がその機能を 使っていらっしゃるのです。)

転職対策に限らず、ノウハウを文書化し、コンピュータに保存しておく。そして、適宜 各社員が参照できる。今まで会社の培ってきたノウハウを全社員で共有し、いつでも会社の総合力を 発揮できるような状態にしておくことが、変化の多いこれからの時代に必要になってくると思います。
(1996.02.12)

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投資としての適材適所論

私に対して「気に入ったことはやるけど、そうでないことはやらない。」というような 評価をする人がいます。これは当たっています。 やはり、やりたいことをやるのが一番能力を発揮できると思います。

逆に、会社は生活費を稼ぐところで、自己実現は別のところでやるというような 人たちは、ちゃんと仕事をやる堅実な人物という評価を受けていると思います。 こういう人たちには毎日、毎週あるいは毎月同じことを繰り返すような仕事が最適です。 また、女性の場合、結婚するまで勤めたい、子供が出来るまで勤めたい、定年まで 勤めたい、是非自分の能力を発揮したいなどこれもまた様々だと思います。 男女差別はよくないということで、無理矢理ハードなポストにつけると当然問題が起きます。

つまり、適材適所はその人の能力の高低、種類で判断するのではなく、 仕事に対するスタンスの違いで判断すべきであると思います。 たとえ能力があっても、生活費を稼ぐためと割り切って会社に来ている人は 会社では決して最大限の能力を発揮してくれません。力は他のことのためにとって あるのです。ところが、潜在能力はなくても「これがやりたい」という人は、 仕事をやっていく上で自分で勉強し能力を付けていくものです。 やりたいと言って自分からやる気を見せている人にはチャンスを与えてみることで、 経営的には1つの投資になり、当たれば現状打開の糸口になると思います。

大学のクラブの先輩でピアノを懸命に練習している方がいました。バンドのキーボード をやっている人です。大学にはいってからキーボードを練習し始めたらしいのですが、 私にはまるで昔からずっと弾いているように見えたものでした。 ピアノと一体になっているようになめらかに弾いているのです。 音楽を聴いて自分も「やりたい」と思ったことがきっかけになって、うまく弾くという ことよりも「弾きたい」という気持ちがすばらしい演奏をさせたのだと思います。

きっと、成功する投資になると思います。
(1996.02.09)

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会議考

会議の好きな会社は数多くあると思います。1日じゅう会議をやっている。 もちろん、それなりの成果が出る会議は大変良いと思います。しかし、会議の内容が 「報告」主体のもの。これはほとんどの場合作ってきた資料を読み上げているにすぎず、 それだったら文章で回した方が、都合の良いときにじっくり見ることが出来てよっぽど 良いと思います。

まあ、すぐに質問が出来ないというデメリットはありますが、1ヶ月前の情報を会議で 報告するよりはずっと素早い経営判断に結びつくはずです。

では、成果の出る会議とはどのような会議でしょうか? それは、「雑談」です。 「会議に出席する」などと言うお役所じみた儀式から新しいものが創造されるとはとても 思えません。自由な発想は自由な状況から生まれます。

会議室を作るよりコーヒールームを作ったほうが、これからの経営に必要な新しい アイデアが生まれやすいと思います。
(1996.02.03)

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情報の共有化

「情報の共有化」は「ホワイトカラーの生産性」がクローズアップされ初めてから よく言われるようになりました。概念的には情報が隅々まで行き渡り、仕事がすばやく 進み、すばらしいことのように思えますが、実際には本当に「情報の共有化」が実行 されているのでしょうか?

自分のメールボックスを開いたとき、何もメールが入っていないので「電子メールは 役に立たない」という人がいます。まったく嘆かわしい限りです。 もし、誰も電子メールを出す人がいなければ、誰のメールボックスにもメールが届か ないのは当たり前です。

本当に「情報の共有化」を推進し、効果を上げたいのであれば、まず、自分から自分の 持っている情報を出すことが必要と思います。 どんな情報でもかまわないと思います。出された情報を受け入れるか、破棄するかは 受け手が判断することです。当然、発信者はその内容について責任を持つわけですが、 全く情報がなければ何も始まりません。まず、情報を発信することこそが重要です。

また、情報に対する反応がなくても、あるいは反対意見、批判を受けても感情的に ならず、前向きに考えることが重要です。

本当の「情報の共有化」が出来れば、仕事はもっとすばやく進み、更に「情報の融合」 によって、新しいものが創造されてくると思います。
(1996.01.28)

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人事評価制度

日本の企業は組織を重んじるためピラミッドを上っていって初めて地位(権限)と お金(報酬)を得られる仕組みになっています。ピラミッドは上に行くほど小さく なっています。また、上に行くには経営的な感覚をもった(もっていると言われて いる)管理職と呼ばれている人にならなければなりません。評価されてかつお金を たくさんもらえるのはこれらのごく限られた人ということになります。しかし、 これでよいのでしょうか?経営的に「人」という資源を最大限に活用するには、 「人」のやる気を引き出すのが経営的によい手法と考えます。 とすると、極少数の人以外は切り捨てられる、また、経営的感覚のない職人的な人 は評価されない(お金がもらえない)ピラミッド型の組織は経営的に優れた手法とは 言えないと思います。

そこで、従来の人事評価制度に代わるものとして私の考える手法は、 昇格と報酬を切り離した個別技能評価制度です。 昇格はマネジメントという1つの技能を機能させるために行うためのものという 位置づけにし、昇格は評価および報酬にまったくリンクしないという制度です。 役職は部長に昇格しても、その部下達をうまく調整して、成果を上げられなかった 場合には、彼(部長)の技能である「マネジメント(管理職)」という技能が 低いという評価をし、報酬を下げるというものです。逆に、やすりをかけるという ことを仕事としている単純作業者であっても、1年前より精度が上がった場合には たとえその製品の販売が落ちていても報酬を上げるという制度です。 昇格した部長は業績の上がらないことをその部下の責任にすることは出来ません。 なぜならたとえだましてでも人を使って業績を上げることがこれからの「管理職」 の技能であるからです。 →「プロジェクトマネージャー制度」 を参照ください。

人が人を評価すると言うことは難しいことです。しかし、私企業である以上恣意的な ものが入るのを否定するものではありません。しかし、それが企業を衰退させる原因に なるのは間違いありません。企業を存続させたいならば公明な評価制度を作るのが 得策と考えます。
(1996.01.18)

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筋肉質の経営

日本企業、特に製造業の最近の動向は、安い労働力を求めてアジア各国に進出し、 安く製品を作ることに力を入れてきました。しかし、日本の投資により進出先国 に労働の機会を創出し、進出先国を豊かにしてきました。すると賃金が高くなり、 日本にとっての投資の価値が薄れてきました。

労働力の安い次の投資先を探して新たな国を探し回る。これはこれで全世界が 豊かになって大変良いと思います。が、現在持っている資源(特に)に 目を向けるのも重要なことと思います。日本人の給料を外国に頼るのではなく、 日本人自らがその給料に見合う価値を作り出せるよう一人一人を筋肉質に することが必要だと思います。

日本での仕事がなくなってきています。次、何をやるか考えなければなりません。
(1996.01.02)

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「管理職」という言葉がなくなる日..

プロジェクトマネージャー制度

これからの日本における企業は、社員を単なる組織の一員として扱うのではなく その各個人からその個人の持つ個性を買うようになり、個性のない者は不要であるといった スタンスを取り始めると思います。 これはサラリーマンが個性ある「個人」に変わらないと職を失うということです。

「個」が重視されてくるとそれぞれの個性には上下関係をつけることができなくなり、 今までのピラミッド型の組織は姿を消し、ある目的のために集まった個性ある人たちの集団 といった組織になっていきます。 すると、この集団の各個人の個性ある能力を融合させ、その力を最大限に引き出す必要が出てきます。 この力を引き出す役割をする人が私の考えるプロジェクトマネージャーであります。

ピラミッド型の組織では「管理職」と呼ばれる人たちが上下関係の中でこれに近い役割を担ってきましたが、 上下関係は同質のものを生み出すだけで、新しいものは何も生み出しません。 企業というものはつねに新しいものを創造して初めて生き残ることができます。 ところがこの状態のままでは次第に体力を失い、ついには滅びてしまいます。 管理職に代わり、個性ある人たちをまとめ、調整していくプロジェクトマネージャーが今後 必要となっていくと思います。

一方、サラリーマンはそこ(オフィス)に座って何かやっているのが仕事をしていることにはならず、 そこにいなくとも成果を上げてこそ仕事をしたということになる厳しい時代が目の前にきています。

しかし、この理論はルーチンワークには適さないような気がします。 まだ、理論は完成されていません。悪しからず......(^_^;
(1995.12.11)

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CD−ROMはこれからがおもしろい!

最近パソコンが安く手にはいるようになり、また、CD−ROMは必ずと 言っていいほど内蔵されるようになっています。

CD−ROMは大量のデータを書き込めるほか、パソコンでプログラムを 動作させることができます。もちろん、画像、音声、動画も扱えます。 これは今までの書籍にはない機能です。これらの機能を使った新しい表現の 方法がCD−ROMによる出版で可能になってきています。 パソコンの普及と供にこれからどんどん本格化し、一大市場を築いていくよ うな気がします。

しかし、やはり売れるか売れないかは内容にかかってますよね。
(1995.12.08)

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商売の原点

私の友達で会社を辞めて、仲間数名で会社を立ち上げた人たちがいます。 彼らは人からいわれて、命令されて仕事をしているのではなく自分たちの 考えであれをやろう、これをやろうとがんばっています。

事務用品一つ買うにしても、はじめは自分たちで出し合った資本金から 買わなければなりません。つまり、会社の金ではなく自分の金なのです。 また、倹約しかつ売上をあげれば利益は自分のものです。仕事に対して 熱意が出るわけです。

サラリーマンは会社に行って、すこし我慢していれば、給料がもらえるので 熱意も薄れがちです。その辺が大企業の不振につながっていると思います。 ものを作ったり、サービスを提供したりして商売をする。サラリーマンが この商売の原点に返れば大企業も活気を取り戻すことでしょう。

しかし、どうやったらよいのでしょうねぇ...
(1995.11.30)

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これからの日本の企業のための経営論