グループウェア研究レポート

−これからグループウェアの導入を検討する企業のために−

1.総括

 グル−プウェアはチームコラボレーション(協同作業)を支援するものとして華やかに登場してきた。しかし、グループウェアの本質は単なるチーム内外の情報交換や情報共有に終わるものではない。協同作業支援ツールであるグループウェアはコミュニケーションツールとしてとらえるのではなく、生産性の向上や営業力の強化といった業務改革(BPR)を実現するための情報化ツールとしてとらえるべきなのである。
 業務改革(BPR)を実現するための情報化ツールとしてのグループウェアの設計は、情報の共有、連携、分析を目的とした電子帳票の設計の形として行われることになる。電子帳票の作成は主要なグループウェア製品である
Lotus社のNotesMicrosoft社のExchangeServerなどにおいて基本機能として提供されている。グループウェアの導入者においては、業務改革(BPR)の観点から、自社にとって効果的となる電子帳票を設計していかねばならない。
 業務改革(BPR)は既存の業務手続きの延長において考えるのではなく、電子帳票の作成によって、組織や要員の壁を越えて業務情報が共有され、あるいは業務がパイプライン(並行)処理されるように、全社的な観点から検討されなければならない。  この点において、グループウェア成功のカギは経営者層による積極的な導入アプローチ(トップダウンアプローチ)がとれるかどうかにかかっているかにあると言えよう。

2.グループウェアの導入目的

 グループウェアの導入目的は企業によって多岐にわたると考えられるが、主なものとしては以下のものがあげられよう。
 
(1)情報・ノウハウの共有による組織力のアップ
 @ 組織間における情報・ノウハウの共有(距離的制約及び時間的制約を超えた)
 A 組織の目標・方向性の一致化(士気の高揚)
 B 業務活動のシースルー化(マネジメントの強化)
 C 組織間における相互理解(組織力のアップ)
 
(2)業務のスピードアップによる生産性の向上
 @ 情報の鮮度の確保と伝達の完全化(クイックレスポンス)
 A アイドル時間の排除による生産性の向上
 B 業務の重複排除によるビジネスサイクルの短縮化(スピードアップ)
 
(3)新しい付加価値の創造
 @ 創造性の向上(共通部分の再利用による業務の付加価値追加)
  省力化が最終目的ではない。省力化した後に何が残るのかが重要。
 A 企業間情報共有によるコストダウン・品質向上(適性在庫と欠品率低下等)
  企業間における情報共有では、単なるEDIではなく業務の有機的結合(戦略的アライアンス、
ネットワーク組織への取り組みが必要となる。

3.グループウェアの導入上の問題点

 グループウェアをせっかく導入したのに思ったほど効果を得られなかった企業も多い。こうした企業においてグループウェア導入の担当者が問題としてあげることが多いのが社内におけるグループウェアに対する理解不足である。グループウェアの本質が電子帳票による業務改革(BPR)にあることを考えれば当然の結果といえよう。
 以下、グループウェアの導入上の問題点として考えられる主なものについて列記する。
 
(1)グループウェア導入・推進目的の理解不足(経営者と社員の場合で影響の中身が異
  なる)
(2)活動前提というべきパソコン操作能力の全社的向上の困難性
(3)コミュニケーションツールとしてのグループウェア活用スキルの低さ(グループウェア導入による逆効果)
(4)推進役の不在と推進役に対する周囲の理解不足
 
4.グループウェアの主要なカテゴリと提供機能

 チームコラボレーション(協同作業)を支援するツールとしてグループウェアはいくつかの主要な機能をカテゴリ別に提供している。以下は一般的にグル−プウェアの主要機能を分類する際に定義されることの多いカテゴリである。
 
(1)電子メール
 1対1、あるいは1対多のコミュニケーションツール。CC(カーボンコピー)機能を利用することによって、関係者全てに営業報告などの業務情報を参考送付することができる。その結果、連絡会議は不要になり、会議の本題は実績分析と計画の立案となる。また、メール本文や添付資料はデジタルデータとして蓄積して分類、検索可能な情報資産となる。
(2)電子掲示板
 1対多のコミュニケーションツール。情報の一元管理、リアルタイム発信が可能となる。時間と距離に関係なく情報資産を共有できる。
(3)電子会議
 多対多のコミュニケーションツール。結果としてカテゴリ別のノウハウデータベースとして成長していく。直接的な質疑応答だけでなく、過去の質疑応答を未来の利用者が活用するといった時間を大きく超えた利用方法が特徴。
(4)工程管理(スケジューラ、プロジェクト管理)
 計画や進捗状況をリアルタイムに関係者間において共有。時間という企業資産を有効活用できる。
(5)文書データベース
 グループウェアのメインカテゴリ。企業内の様々な情報を電子帳票として標準化することによって、共有化を可能とする。共有化された電子帳票の内容は多角的に分析され、意思決定に利用される。文書データベースは企業内の様々な意思決定を強化し、業務の品質を向上させるものであるといえる。
(6)ワークフロー
 文書データベースの電子帳票を介して組織間、業務間の連携を行うもの。たとえば、営業計画の立案から生産計画の立案への連携や、全社予算の編成から各部門における予算編成への連携など。クイックレスポンスによるコスト低減、競争力のアップなどがワークフローの効果として期待される。

5.グループウェアの主な適用業務

 グループウェアの導入においては利用者側において導入目的を理解し、その活用について積極的な取り組みが期待できる部署や業務をまず最初の適用対象とすることが賢明である。たとえば、営業部門においては顧客や商品情報、クレーム対応などについて共有することのメリットは理解されやすい。
 多くの導入企業がグループウェア導入のスタートとして電子メールを位置づけているが、実は電子メールは最も導入、浸透が難しいカテゴリである。メール本文に業務遂行に必要な資料が全て添付され、関係者全てにCC(カーボンコピー)によって送付されてこそ、電子メールによる生産性向上が実現できる。そのためには一人一台体制と主要業務情報のデジタル化(文書データベース化)が前提条件となる。
 イントラネットという言葉はグループウェアと同義的に使用され、インターネット技術を利用した情報共有のしくみとして説明されることが多いが、むしろ企業内の主要業務情報のデジタル化(文書データベース化)を意味するものとしてとらえるべきであろう。
Lotus社のNotesなどグループウェア製品向けの電子帳票パッケージソフトも、主要業務情報のデジタル化のためのテンプレートを提供するものとしてとらえることができる。
 以下は、グループウェアの主な適用業務として考えられるものについて列記したものである。

(1)営業情報(営業支援)
 業務報告、イレギュラー発見、ノウハウ共有等。
(2)商品情報
 価格、効用、セールスポイント等。
(3)顧客情報
 与信分析、セールス活用等。顧客中心アプローチによるマーケティング戦略の中核となる。
(4)取引先情報
 仕入条件等。
(5)業務計画及び実績情報
 提案型企業、提案型社員への進化。
 情報化推進企業ミスミの例→購買代理業社として売れる商品を先提案
(6)工程進捗情報
 企画、製造、販売など部署間の情報共有の推進。
(7)業務業務マニュアルと目標管理
 業務管理のためには業務の標準化と水準設定が必要。
 新しい労務管理としての年棒制度との関連…仕事を何で図るのか。時間ではなく、能力・実績で。

6.グループウェア導入における電子帳票設計の実際

 以下、グループウェア導入における電子帳票設計の実際として、営業日報の作成例を次頁にあげておく。


営業報告書

報告日:
97/02/24
担当者:営業部2課 熊本 孝治


カテゴリ:既存客
重要度:◎
顧客名:
富山工業(株)(顧客情報への文書リンクを付けておく)

表題:
Y社が最新のデザイナーを導入した様子


             詳細報告:

人事・組織


状況:
内容:
添付資料:

自社商品


状況:
内容:
添付資料:

他社商品(競合)


状況:
Y社が最新のデザイナーを導入した様子
内容:
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
添付資料:

事務手続


状況:
内容:
添付資料:

要望


状況:
内容:
添付資料:

クレーム


状況:
内容:
添付資料:

宿題


状況:
内容:
添付資料:
<考えられるビュー(文書一覧)>

  1. 営業日時別

  2. 顧客別

  3. カテゴリ別

  4. 担当者別

  5. 報告内容別(人事・組織、自社商品、…)

  6. 重要案件のみ 
7.グループウェアとインターネット

(1)イントラネット
 イントラネットは前述したとおり、企業内の主要業務情報のデジタル化(文書データベース化)を意味するものである。グループウェアによってデジタル化された業務情報はいつでもホームページ形式での発信が可能である。(
Lotus社のNotesでもMicrosoft社のExchangeServerでもホームページ閲覧ソフトからグループウェア内の文書を読み書き可能となっている。)
 イントラネットとして蓄積したデジタル経営情報は社内における経営力の強化につながるだけでなく、ホームページなどによって外部発信することによって、中小企業の経営において重要とされる戦略的アライアンス、
ネットワーク組織の実現相手を発掘することも可能となる。
 企業と企業とが連携するためには、まずお互いが業務や情報を標準化し、相互利用可能な状態にしておく必要あるのである。この状態がイントラネットであり、昨今話題となっているグローバルスタンダードはイントラネットを前提とした標準とネットワーク化の推進をその内容としている。
 
(2)エクストラネット
 グループウェアによってデジタル化された業務情報を企業間において公開するのがエクストラネットである。取引企業に対して生産計画や商品情報を公開したり、発注や請求などのやりとりを行うのもグループウェア同士の連携によって容易に実現できる。
 中小企業をはじめとして、社内における生産性の向上追求は限界に達していると指摘されることが多くなってきている中で、エクストラネットによって企業間の資源相互活用が図られ、企業間におけるグループウェアの導入効果として生産性の向上やスピードアップ、新しい付加価値の創造が実現していくことが重要課題となってきている。
 また、エクストラネットは対象範囲を商流から物流及び金流にまで拡張していくことによってエレクトロニックコマースへと発展していく。注文に対応して、物流会社に対す配送指示、金融機関に対する振替、振込指示が連携すればリアルタイム取引が実現することになる。
 


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