データ中心アプローチの進め方


 業務システムを設計する場合、業務のフローチャートを作成することが多い。
 しかし、情報システムの設計にとって最も重要なものは業務のフローではなく、業務データの体系である。

 販売管理システムだけに限っても多くのサブシテムが存在し、さらには在庫管理、購買管理、生産管理、財務管理と社内のさまざまな業務機能が相互に連携していく。
 企業の中において個々の業務が全体として連携されていくのはなぜであろうか。

 財務管理を考えてみて欲しい。
 財務諸表は各部署で起票される伝票を収集することで作成が保証されている。
 情報システムは様々な伝票データをコンピュータ上に作り出すことによって、人が行っていた業務機能を代行するものなのだ。

 コンピュータ上に実現する伝票の集まりがデータベースと考えてもよい。
 ただし、データベースと呼ばれるコンピュータ上の伝票群では伝票と伝票との間で共通で使用する情報を共有することができる。
 たとえば、データベース上の売上伝票では商品番号を記入しておけば、商品名は商品伝票(この場合は商品マスタと呼んだ方がわかりやすいかもしれないが。)から自動的に取り込むことができるのだ。

 財務諸表が伝票を集計・転記して作成されているように、データベース上に作成された伝票も他の様々な伝票との組み合わせによる様々な帳票を作成することが可能なのだ。

 コンピュータを導入していない企業でも業務が効率化されているところでは伝票や帳票をうまく設計して使っているはずだ。
 コンピュータを使う場合でも最も重要なのはこうしたデータ中心の考え方にある。

 業務のフローは必要に応じて変えていくべきもののはずである。
 一部の人が考えた業務フローに基づいて開発された情報システムが何年もたたないうちに現状と合わなくなったり、新たに必要となった帳票を作成するためのデータを持っていないことが起こるのは当然のことといえるのだ。

 業務はつねにリエンジニアリングしていかねばならない。コンピュータに必要なのは会社として戦略的に価値のあるデータを蓄積して利用していくことである。

 まず、データありきであり、その次に業務の流れなのである。

 以上の考えから、私は常にシステム化を考えられる企業にはまずデータの体系について整理することを提言することにしている。
 以下の図は情報アーキテクチャー、あるいは業務モデルと呼ばれるものである。



 従来作成していた業務フローのかわりに作成するのが、データフロー図である。データフロー図では業務の流れではなく、データの流れに着目して業務を分析する。


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