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First-Contact

麻雀大会の罰ゲームとして、自分自身の初体験を書かなきゃいけなくなったので、書いてみました。

ただイタいだけのテキストはホントにつまらないンだなあっていうことへのいいサンプルになっている
と思うので、自分の人生に後ろ向きな方以外は読まないでください。





その女は鯖のような目をしていた




そう、ボクは覚えている…

確かに覚えている。


あれは確か、大学2年生の頃。

当事入っていたサークルのコンパの途中で1人の先輩がこう言ったンです。

「まさかこの中にまだドーテイの奴とかいねえだろうな? ガハハハハ!」

その言葉を聞いた瞬間、調理直前のウサギのごとく
びくウって なったボク。

もうイヤだこんな思いは!





それから一月後。

我々は密かにサ−クル内リサーチを行い、秘密裏にある団体を結成することになります。

ザ・ドーテイズ

テーマ曲までつくりました。曲名「ドーテイ・サンキュー」
歌詞もそらで言える。


あ〜♪ ドーテ〜〜♪ サンキュ〜〜♪
あ〜〜♪ ドーテ〜〜〜♪ サンキュ〜〜〜♪
あ〜〜〜♪ ドーテ〜〜〜〜♪ サンキュ〜〜〜〜♪

ドーテ〜〜 ドーテ〜〜 サンキュ〜〜〜〜
(サンキュサンキュサンキュサンキュ・サ〜〜〜〜〜)
ドーティ〜〜 サンキュ〜〜♪
(サンキュサンキュサンキュサンキュ・サ〜〜〜〜〜)
ド〜テ〜〜〜 ド〜テ〜〜〜 (キー上がる)サンキュ〜〜〜〜〜!
(サンキュサンキュサンキュサンキュ・サ〜〜〜〜〜)

サンキュ♪サンキュ♪サンキュ♪サー
ドーテー!ドーテー!ドーテー!ドーテー!
ああ〜〜〜ドーテ〜〜〜〜
ボクは〜〜〜ドーティ〜〜〜〜!
サンキュ♪サンキュ♪サンキュ♪サー
ドーテー!ドーテー!ドーテー!ドーテー!
ドーテー!ドーテー!ドーテー!ドーテー!

(以下、エンドレスでドーテ!ドーテ!を気がちがった九官鳥のごとく繰りかえす)








地獄のような歌でした。

そンな歌を、狭いアパートの中に籠って、狂ったように熱唱する3人の男達。

地獄のような環境でした。
(恐山かここは)

居直りとかヤケクソとか、そういった負のエネルギーが頂点に達したときに沸きおこる、尋常ならざるハイテンション。
そして妙な連帯感と共有感。

わりと楽しかったのを覚えています。
(え?)



そう、今ならあの頃の自分達の心境が手にとるようにハッキリと分かります。

ボクらは別に美しい思いでの初経験とやらがしたかったわけじゃなかった。

彼女は欲しかったけれど、そんな高望みなんて想像するだけで充分だった

ボクらは・・・ボクらは・・・・

ただこの十字架から逃れたかっただけなンだ!
もうイヤなンだこんな思いは!






そンな思いを悶々と抱きながら、日々ドーテイサンキューに明け暮れていたボクら。
そんなある日のこと、メンバーの1人がボソッと言いました。

「西川口の*****な。あそこな。一万円で本番できるらしいぞ?」

厨房でもマジにとらないような情報を、あたかも都市伝説でも語るかのような口ぶりで
さも得意げに話すヤツは、本気で頭が可哀想な人なんだという事実に、この時 気づいてさえいればッ!

なんで気づかなかったかなあ?

たぶんボク自身がもっと可哀想な人だったからだね、ウン。ハハハハハ
さ、クロコダイルの手よりも乾ききった自分自身の笑い声に死にたくなったところで、話しを先に続けます。






* * * * * * * * * * * * * * *


この情報を聞いた瞬間、確かに部屋の温度が変わりました。
それは希望。この閉鎖された地獄のような空間からの脱出。光への道すじ。
そんな思いが強烈な熱風となって部屋中に渦巻いているッ!

「でもそれお店だろ?」

ハイ、こんなことを考えたそこの貴方。
普通に彼女つくって、普通にラヴして、自然に素直にそうなりゃいいじゃンって思ったそこの貴方。

いますぐネットやめろ
ここはオレらの遊び場だ
とっとと陽のあたる場所へ帰れ!
(そんでもって思う存分乳くりあってろワーイ)


ってなことを声を大にして言っちゃうくらい救いようのなかった集団。それがボクら。
そら、確かに外見も駄目でした。性格も駄目でした。
でも何よりも駄目だったのは 自身に対する自信のなさ。どう仕様もない程の自信のなさ。

だからボクらは まず場数を踏みたかった! 経験を積みたかった!

だって経験がなきゃ自信なんてつくわけないじゃないか!

そンなボクらが、明日につなげていくためのファースト・ステップをお店に求めたのは当然の成りゆきだったと
今でも思っています。

ただね。ただね。

勢いだけで突っ走ってしまったことだけに対しては、今でも悔やんでいます。





あえてもう一度 繰りかえします。

この情報を聞いた瞬間、確かに部屋の温度は変わりました。
それは希望。この閉鎖された地獄のような空間からの脱出。光への道すじ。
そんな想いが臨界点に達し、爆発的なエネルギーとなって、いま我々を押し包むゥ!

「マジかよ! おれ一万円くらいだったらあるよ!」
「おれなんか3万あるよ!」
「ちょっと待てよ! まだ銀行やってるよな!?」

そして3時間後、西川口の駅に降り立つ3人の戦士達。
無敵の福沢先生3枚を握りしめ、意気揚々と店へむかって大行進。

もう誰にも止められない











店のまえに御到着。

即・入・店。
(いま思えばこれがいけなかった…)

顔写真さえ見せられないまま、黙って奥の方へと案内されるボクら。


飾り気のない個室。品のない色のランプ。煙草臭い匂い。

そこでボクは彼女に出会いました。

その女は鯖のような目をしていた

”それ”を見た瞬間 脳裏に浮かんだ言葉。 「なぜ地球にジャバ ・ザ・ハットが!?

その獣臭は容赦なくボクの意識を奪い

ふと気づけば下半身だけを露呈してる恥ずかしい己自身がそこに・・・

え?シャワーは? むしろジャワ?(原人!?)


そしておもむろに
をかぶされるボクの息子

なぜ器具が!?

それは容赦なく回された


ああっ回さないでエっ! 筒を!その筒を回さないででエ!
(ヒイイイ)


その口からは坦々と煙草のスモークが吐き出され

その鯖のような目からは、皆無と言っていいほど何の感情も読み取れず

こんな状況の中で高みへのぼりつめようとしているボク


いいのかこれで?

違う! いくない!

こんなのがセックスであるわけがない!
 

断じてこんなンじゃない!


下半身の生殺与奪権を完全に握られつつも、おずおずと言葉を発するボク

「・・・・あの、本番は・・・」

ボクのそんなたどたどしい言葉と、虫のようにひきつった笑顔を見て、彼女ははじめて動く



黙って指をたてる鯖女。

え? なんですか、その
2本指は? 

それで
ボクの眼でも突くつもりですか?


そんな彼女のアクションに、一片の疑問すら持つことなく、ニワトリのような面で黙って2万円を払うボク
(コケココ)

いや、「一片の疑問すら持つことなく」 ではなく 「一片の疑問すら持つことを許されず

まさに許されざるもの (ボク自身が)

まさにマインド・コントロール。何という心理操作術!
マジでジャバ・ザ・ハットと合体? (ホントもう何がなんだか分からないヨ!)

目的:「セックスをする」 → 現段階での目的:「一刻も速くここをでたい」 → 「はやくセックスしなきゃ」

はい?

これが本当の意味での未知との遭遇?(ここ壮大なるバックミュージック)

この時ボクは、タイで達磨女とやってきたとか書いてあった草の根ネットの掲示板のことを思いだし・・・


ある意味 同義か?
(バカな!?)

そして”それ”は始まった

あさ黒い肌
   牛のように豊満な
その乳
            鯖のよ
うな瞳
                 圧倒的な体
重が 
                       押しつ
ぶされ…

ブラックホールのような
空間が展開
           この
圧迫感!?
            その瞳は一切の
感情を見せることなく

その女は鯖のような目をしていた



うグあ
頼むからはやくおわってくれ
断じてボクのセックスはこんなじゃない
こんなじゃないンだ ううう…




そしてボクは、眼前で行われている事実を、ひとつ、またひとつと、そうした記憶を頭の中で燃やし




















     …許して…












































帰り道。

誰1人として口をきくことはありませんでした。

無言でラーメン屋に入り、無言でラーメンをすすりました。

そういや目が全員ヒラメだった、しかも腐った…


貴様らにこの哀愁が!そしてこの絶望が!



















その後はね。マジでなんかふっきれたの。
ああ、ぼくらはどうぶつなんだなあって。感情なんか何もいらないんだなあって。

もうね。ほんとオナニーさえあれば生きていけるなあって

そう思った。




心の底から。






<終>

#こんなものを読ませてしまって御免なさい


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