JOURNEY.


<2004年10月17日: 東京国際フォーラム>

そういえば音楽を聴きはじめたきっかけってなんだったろう?
たまにそんな思いにふけることがあるのです。そんな記憶の井戸の底を辿って過去を思いおこせば、
おそらくYMOとスネークマンショーが音楽を聴き始めたきっかけ、洋楽にのめりこむきっかけと
なったバンドはクイーン、じゃあそもそも洋楽を聞くきっかけになった曲ってなんだろうと考えると、
それはやっぱりバン・ヘイレンの"Jump"やデフ・レパードの"Photograph"、そしてジャーニーの
"Separate Ways"だと思うのです。

現アメリカンロックの覇者をボン・ジョビとするならば、80年代にその王道を突っ走っていたバンド、
ジャーニー。忘れもしない1983、深夜なにげなく眺めてた小林克也のベストヒットUSA、その中で
流れていたビデオクリップに一発ノックアウト、次の日そのまま貸しレコード屋へ直行、そこで手にした
LP:ジャーニーの「フロンティアーズ」。それまで洋楽といえばせいぜいがビートルズかビリージョエル
ぐらいしか知らなかった当時の僕にとってこのアルバムはまさに衝撃でした。

正直、あの頃の洋楽ロックの洋の字も知らなかった自分と、デスメタルにまで手をだしはじめた今の
自分を鑑みるに今時ジャーニーってのもどうよ?的な不埒な思考に加え、スティーヴ・ペリー抜きの
現ラインナップって正直どうなのよ?と思わんでもない節がありまして、今回の来日、行くべきかスルー
すべきかかなり迷っていたのですが、そんな不安はニューアルバム「アライヴァル」を聴いたことにより
あっさり払拭、ニューフロントのオウジェリーの声はマジでペリーにクリソツだし、ジャーニー一番の
魅力であるところのニールのギターは往年にもましてますます冴えわたっているみたいだし、そんじゃま
いっちょ久々に初心にかえってみますかと、あの頃の熱き思いよもう一度と言わんばかりのセピア色
ノスタルジーも手伝って、日曜日の昼下がり、東京は国際フォーラムへとテクテク向かったのでありました。

とその前に東京駅っていやあ秋葉が近いよな、秋葉と言えばやっぱアニメ、アニメと言えばブロッコリー、
にょ?といえばこげどんぼ、こげといえばかなん、かなんといえばやっぱギャラクシー・エンジェルっしょ!
とばかり何故か東京を軽々とスルーしてGAのDVDを漁りに秋葉へ向かう僕がそこにいたというわけでして、
この辺りが壊滅的に駄目なところだという事実は本人も重々分かっちゃいるのですが、そこだけはどうにも
しようがないというか…、だってアレですよ?

 「お前…食べたな?」「(即答)食べてません!」
 「いや、食べたろ!」「食べてません!」
 「いや、食べた!」「食べてない!」
 「食べた!」「食べてない!」
 「おこらないから〜☆」「もうすっごくおいしかったんですゥ〜☆」
 「バカモーン!(語尾あげる調で)」「わーん怒ったー」

ってやりとりがもう!ね! バーンってやっちゃう!バーンってやっちゃう! みたいな、ね!
ここ読んでるほとんどの人に意味がさっぱりだと思います。まったく困った人達ですねー(ノーマッド風)
うん、一番困った人は僕自身でした。ホント壊滅的をこえて絶望的に駄目すぎる。
そんでもってリバティ中古DVDコーナーでGA漁ってたら案の定腸弱発作が出て、ライブ開始の30分前
まで秋葉駅構内トイレでうんうん唸る羽目に陥って、まさしく人間の屑というに相応しいイキモノに軽々と
成り果ててました。楽しくない、楽しくないな、こんなの…(グリフィスっぽく)

で、結局のところ駅から会場まで全力疾走する羽目に。そんな必死の思いでようやく会場についたかと思えば、
今度は受け付けのお姉さんに怪しまれる始末、そら、息ハァハァ切らしてるだけならまだしも風邪ひきさんで
マスク全開のおまけまで付けば彼女でなくとも警察の一つも呼びたくなるというものですわ、チンポださない
だけナンボかマシだと思っとけこの腐れ売女!(と心の中で小さく呟いた)ついでに周りの奴等にもジロジロ
見られるし、あーもう、うるさい!うるさい!このマスクはホ−ル全体にたちこめる貴様らの加齢臭を封じ
込める為のものなんだゾーって絶叫したくなるくらい開幕前からテンパらせて頂きました、これだからライブ
はやめられません、むしろそれ以前に人間やめとけって感じです。

それにしても加齢臭対策マスクの話しが冗談でなくなるくらい、客の年齢層にはアレなものがありました。
ニールがサンタナを脱退した頃から追いかけてるような年季入ったファンがゴロゴロ、そうなんだよね、
ジャーニーってブレイクしたのは80年代だけど70年代後期の頃から既にそのキャッチーなメロで定評を
得ていたバンドなんだよね、とりあえず自分の子供を連れてくるだけなら難聴になんのは僕ではないので、
全然アリだと思うのですが、頼むから全開で泣かせた挙句その場で説教を始めるのだけは勘弁して頂きたい
と思いました、しかも僕の隣でワーンのギャー、マジ許して。テンション下がることこの上ない。


そんなこんなしてるうちにジャーニーの面々がステージに登場、オープニングの"
Be Good to Yourself"
からニールが早くも弾きまくり、アメリカ国歌ソロから"Stone In Love"に至る流れでこれまた弾きまくり、
ただでさえ皺が多い顔を更にクシャクシャにしまくって、その冷蔵庫のような豆タンク体型を痙攣させまく
ってこれでもかこれでもかっていうくらいまあ弾く弾く、ナチュラルディストーションを中心に弾きまくる
古臭いスタイルのソロではあるものの、一聴しただけで、あ、こりゃニールだわと分かっちゃうくらいのアク
が強い、絡みつくような音色は流石と言えば流石、
そのあまりの弾きっぷりにむしろ客の方が引いていた
という噂もありますが(お前のソロ・ライブじゃないんだ)ギターヒーロ至上主義者の僕としては大層満足
させていただきました。

後、あれですね、このジャーニーってバンドは
ほぼ全員がボーカルとれて、しかもそれが各々の個性を存分
にアピれるくらい上手いときた上に各自がそれを活かす持ち歌まで持っているのですね、これは僕のような
後期ファンにゃ新鮮な驚きでした、むしろ他のメンバーがあまりにも上手すぎて実は一番下手なのヴォーカル
のオウジェリーじゃねえのっていうくらい本末転倒な現実がそこに存在していたような気が… 見せ場の一つ
である"Open Arms"は口パクで、実は歌ってたのはドラムのディーンだった、っていう噂がまことしやかに
ネットに流れてたくらいだし。そこまでしてスティーブ・ペリーの声に似たヴォーカリストを探さなければ
いけない業を背負っているジャーニーというバンドの今後を考えるに、ひとえに売れすぎるのも少し考えもの
だなと思いました。や、高音域を使う以外の曲に関してならオウジェリー全然イケてるんだけどね…
(と百億光年遅いフォロー)

一番の見せ場は、しっとりとしたバラード"
Faithfully"から、今丁度CM曲に使われている"Don't Stop
Believin'
"を経て、僕にとってのメモリアルソングである あの"Separate Ways"へと続く流れ。まさに
圧巻の一言、これにはお話にならないくらい興奮しました、正直マスクが軽々と吹き飛ぶくらいエキサイト。
あえて難を言うならアンコール曲がスローテンポなヨコ揺れノリの"
Lovin' Touchin' Squeezin"ってのは
どうなんだろう?と思ったりもしましたが、総合的に言うならば、既に旬を過ぎているとはいえ一度は世界
制覇を果したバンドだけが持つ底力みたいなものにゃかなり圧倒されました、万人に優しい産業ロックって
ことで若干ナメてた節もあったかも知ンない、これには素直に兜を脱ぎます。ビートルズとかにも言えること
だけど、誰にも受け入れられる分かりやすいメロを作れるって実は凄い才能なんだよね、実際。
通好みの難解なサウンドに目線がいきがちだった最近の自分を原点回帰させてくれたような気がします。
あとファンのノリが素晴らしかった、前の方なんてほとんど全曲でのサビ・フレーズがほぼ完璧。ライブを
盛り上げるのはバンドの役目だけど、それを牽引しているのはオーディエンスの力なんだなあということを、
改めて実感することができたライブでした。



<今日の一枚>

 Frontiers / Journey

スティーブ・ペリー加入後の中期3部作で築きあげたキャッチーでメロディアスな産業ロックの
ベースを、「エスケープ」で大ブレイクさせた後の作品。前作で大成功を収めただけに次作じゃ
重圧かかりすぎて沈没しちゃうんじゃないか?みたいな周囲の杞憂を他所に、前作以上の大成功を
あげ全米チャート9週連続2位を成し遂げたお化けアルバム。(1位になれなかったのはマイケルのせい)
どこかの街中で誰もが耳にしたことがあるようなメロディセンス抜群の名曲が揃ってる上に、その内容
もパワーロックからバラード、ギターナンバーと実に幅広い構成になっていて、聞いてるものをなかなか
飽きさせません。飛び抜けた個性や狂気渦巻く感性が作り出すコア系サウンドから少し離れ、肩の力を
抜いて音楽を楽しみたい時などにオススメ。
そいや、このジャケットみて、コブラのターベージとクリスタルボーイ連想したのは僕だけ?


<今日の無駄Tシャツ>




#今までのあまりにもアレすぎる無駄Tに比べれば、かなりマシな部類に入るものだとは思うけれど、
 それでもこれ着て街中に飛び出していけるかっつうと、かなりの疑問符がつきまくり。
 だけど前面のカナブンが翼広げて飛び回ってるって図柄の、なんかファンシーでキチっぽい感じは、
 ちょっと気に入ってたりします。



<セット・リスト>

01:Be Good to Yourself
02:Only the Young
03:Neal Schon Guitar-Solo 〜Star Spangled Banner〜
04:Stone In Love
05:Wheel In The Sky
06:Lights
07:Walks Like a Lady
08:Feelin
' That Way
09:Anytime
10:Chain Reaction
11:Neal Schon Guitar-Solo 〜Voodoo Chile〜
12:Jonathan Cain Keyboard-Solo
13:Open Arms
14:Send Her My Love
15:桜
16:Just the Same Way
17:Escape
18:Faithfully
19:Don't Stop Believin'
20:Separate Ways
21:Any Way You Want It

22:Lovin' Touchin' Squeezin'


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