Arctic Monkeys.


2009年10月19日: 日本武道館>

先週末のラウパー連日参戦のツケくらって筋肉痛でボロボロになってる体を引きずって
行ってきました武道館。いや正直そこまで無理して見るほどファンってわけでもなかったんですが、
ブレイク直後でまさに旬だったサマソニ06、よもやのトリに抜擢されたサマソニ07のステージを
両方とも見逃しちゃってるのが悔しくてなんとなく…みたいな。

まあ急遽前座に決まったバンドの方にも興味あったんでいっか、ってことでまずは「The Cribs」。
当然お目当ては元スミスのジョニー・マーさんだったわけですが、なにせ座席がこの広い武道館2階の
中でもダントツで最後方の「X」だったもんでほとんど豆粒状態。
仕方ないのでいっそ座りこんで憮然とした顔しつつ演奏の方に集中。してたんですけどアクモン以外は
眼中ないわ的な客がほとんどだったところに加えて、元々バンドの色自体もレトロよりな自然体メロが
売りのインディー系なもんで初見の客には若干アピール度薄いわでどーにもこーにもノリきれない微妙な
空気が漂っちゃってました。起死回生を目論んだと思われる「アークティック・モンキーズ、ヤッツケル」
みたいな冒険MCも不発に終わった時点で文字通り終わったなこりゃぐらい思っちゃってたんですけど、
ラフなギターエッジが特徴的な"Mirror Kissers"からリフの出来が珠玉な"Men's Needs"へと繋いだ
ところで多少盛り返して、それまでの音質軽めなドライ路線から一転して重厚かつ濃厚に攻め立てた
ラストの"City Of Bugs"にてそれまでの鬱憤を薙ぎ払うかのような一気呵成のパフォーマンスとともに
きっちりと全体の帳尻合わせをしていった辺りはなかなかだったんじゃないかと。
ついでにこの曲が収録されてるニューアルバムのプロモで配ってたマンガ付きのチラシがちょっと面白
かったもんで帰りに思わずCD購入しちゃいました。単独に足を運ぼうと思う程じゃないけどサマソニか
フジ辺りでチャンスあったらまた見てみたいかなって。

 01:We Were Aborted
 02:Hey Scenesters!
 03:I'm a Realist
 04:Cheat On Me
 05:We Share The Same Skies
 06:Mirror Kissers
 07:Men's Needs
 08:City Of Bugs

さて、いよいよメインのアクモン登場。それにしても06年にポっと出てきたド新人が今や武道館とは。
しかもレディヘみたいな先進的個性を強烈に持っているわけでもなく、オアシスのようにメロのセンスが
飛び抜けているわけでもなく、確かにルックスは悪かないけどよくよく見ればどこにでもいそうなこの
イギリス人の若者達がどうしてここまで人気を博し得たのか?ってなことを考えつつのオープニング鑑賞。
当然最初は1stからのアゲ系もってくる筈と思いこんでいたら、ムーディで落ち着いた感が色濃い新譜
からのチョイスをもってこられていきなり肩透かしくらう羽目に。でもってもっとファストにきてくれよと
文句垂れつつ聞いていたわけですが、これがなかなかどうして「武道館」という大バコにばっちりハマって
雰囲気出まくってるわけですわ。このバンドの本来の色からすればスタンディング中心のホール系の方が
似合うだろうに今回の大バコ選定は逆に持ち味消すことになるんじゃないかと少し心配していたわけですが
まったくの杞憂、むしろガレージ系との思いこみイメージが大きく覆った出だしでしたね。

しかしまあこうして実際に体感してみて確かに尖ったセンスはビンビン感じるんですけど、でもやっぱり
どこか「フツー」なわけですよ。リフやイントロも尖っちゃいるけど、でもどこかで聞いたような感じの
パターンを寄せ集めたような印象が濃いものばかりだし…であるにもかかわらず、ふと気づけばこうして
ノラされちゃってるこの魔力は一体? あ、分かった、溢れてるセンスの方向性がほとんど「俗」なんだ。
よく言えば親しみやすいとでもいうか。そういう観点から捉えるならいい意味での「抜いた」感が強い
新譜曲のアーティスティック感はむしろそれまでの「俗」な良さを消してる筈なんですけどこうして旧曲と
合わせて聴いてみると、やっぱり雰囲気まとっているのは耳馴染みない筈の新曲の方なんですよね。
自宅でCDから聴いたときは、これを分かっちゃったフリして「成長した」とか「深みが増した」とか
言えるほど大人になれないなーみたいに思ってたんスけどライブにはぴったしハマってました。面白みは
ないけど横ノリで楽しむ分にはアリーナ映えする曲調ってことなのかな。
とはいえ"Still Take You Home"から"The View From The Afternoon"への1stコンボや、
そしておそらく最大の盛り上がりどころだったであろう"I Bet You Look Good On the Dancefloor"の
時はしっかり縦ノリでエンジョイさせてもらいましたけども。

ただ全体を通して見るなら、おしむらくは所々のいい流れがとことんアガりきらずにどこか単発で
終わっちゃってる感とか、これといった山なくして淡々とフィナーレを迎えるような大団円のなさ加減が
うまく表現できないんスけども、この”なんとなく”な消化不良感を招いてしまってるのもまた事実かと。
悪くはなかったけれども何か足りないな〜的な。実際ハジけノリしたい客にはイマイチ受け入れがたい内容
だったとも思います、ミーもサマソニでこれなら文句いってるだろうし。
やってしかるべきだった"When The Sun Goes Down"がなかったことも大きく起因しているんじゃないかと。


<今日の一枚>

Whatever People Say, I Am That's What I'm Not」 / Arctic Monkeys

「極北の猿」の名を世界中に知らしめた衝撃作、との触れ込みが事前からあったせいも
あって最初からあまりに重い期待を背負わされすぎたがゆえ、ちらほら酷評も見えられたファースト。
デビュー作ならではの初期衝動的なパッションをふんだんに備えた上で、普通なことを「フツー」に
こなしてる辺りのソツのなさ、肩の力の抜けてる加減が彼らの一番非凡なところかも。


<今日の無駄T>



#アクモンのTシャツがイマイチだったんでクリブスの方を購入。
 フジロック10への出演も決定したみたいだし、今後も注目していきたいスね。



<セット・リスト>

01:Dance Little Liar
02:Brianstorm
03:This House Is A Circus
04:Still Take You Home
05:The View From The Afternoon
06:Cornerstone
07:Potion Approaching
08:Pretty Visitors
09:Crying Lightning
10:Sketchead
11:I Bet You Look Good On the Dancefloor
12:Dangerous Animals
13:Secret Door
14:My Propeller
15:Red Right Hand
16:Do Me A Favor
17:Fluorescent Adolescent
18:The Jeweller's Hands

19:If You Were There,Beware
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