Eric Clapton & Jeff
Beck.
<2009年2月21日: さいたまスーパーアリーナ>
〜スポーツ報知より〜
英国が世界に誇る「ロックの3大ギタリスト」、エリック・クラプトンとジェフ・ベックが
初の共演ライブを行うことが分かった。
伝説のグループ「ヤードバーズ」の先輩・後輩にあたる2人は、1983年に英ロンドンのコンサートで
ジミー・ペイジを含む3大ギタリストで共演。2004年にクラプトン主催のイベントにベックが出演し、
2007年ベックのライブにクラプトンがゲスト参加するなど親交はあったが、チャリティー以外で2人が
メーンの共演ステージは今回が世界初。前半にそれぞれのバンドを率いたステージを見せ、後半は
たっぷりとジョイント。神様・クラプトンの泣かせるブルースと、ベックの孤高のテクニックが混じり合う。
同時期に来日していることもあり実現した超ビッグなお年玉で、奇跡の初共演が注目される。
あの「スローハンド」エリック・クラプトンと「孤高のマエストロ」ことジェフ・ベックが競演?
業界一の偏屈屋で知られるベックがよくもこの話を受けたなと。いや、そんなこと以前にこれを
夢といわずして何をかいわんやであり、見逃したらマジ一生レベルで後悔しかねない今ライブ、そりゃ
何を差し置いても見に行くしかないでしょと埼玉新都心はスーパーアリーナまで赴いてまいりました。
…の筈がライブ開始以前の路線ルート選択でいきなりやらかす羽目に。
いや、だってこのクソ電車、品川から大宮方面の京浜東北線に乗りさえすれば自動的に着くんでしょと
安心に浸りきってたこっちの気持ちをガン無視して、南浦和で逆方向へと引き返しやがるもんだから…!
というか15分前に見たのと同じ駅名の看板をもう一度電車の窓越しに眺めることになるとは夢にも
思いませんでした。でもって開幕10分遅れでようやっと到着し、あせりながらチケット指定の席へと
向かってみれば。ていうかミーの席、既に誰かが座ってるジャーン!しかも通路から最も離れた真ん中
付近の席なもんでライブ絶賛進行中のこの状況を鑑みれば確かめにいくこともできないし…
というわけで全席指定のライブにもかかわらず、何故か導線通路の端っこ辺りで完全直立する羽目に。
ま、むしろ元席よりもスクリーンが良く見える位置だったんで全然構わなかったんだケドね!
(「あまり私を怒らせない方がいい」とブツブツ呟きつつポージングをきめながら)
<Jeff Beck>
まあそんな視聴裏の諸事情はさておきベック先生奏でるそのプレイの凄さたるや、お変わりなく
どころか、これ前よりもっとヤバクなってんじゃね?的な。65歳を前にしてなお進化し続けてるって
一体どーゆーことなの?みたいな。しかもそのベクトルが熟練とか円熟味とかじゃなくて、なお攻撃的
かつより挑戦的に研ぎ澄まされていってる感じなんですよね。それでいてその異様な丁寧さはまったく
損なわれていないってんだからこれはもう諸手を挙げて賞賛するしか。流石は永遠のギター・キッズ、
還暦を過ぎてなお盛んといったところでしょうか。
あと逐一エロい…!若々しい中に大人の色気をも内包したこのエロさたるやマジ半端ないなと。
そんな派手なプレイの方とは真逆なアクションの地味さ加減がまた…いや時折手を挙げてアピるんですけど、
ほら普通は「どうだ!」みたいに力強く掲げるじゃないですか。でもベックの場合は照れた感じでこう
ヘナヘナ〜っなるんですよね。その辺りの「大人の照れ」みたいなフィールが妙に渋い上にこれまた
「らしくて」やっぱベック先生いいなあって。
そんなベック先生を支えるリズム隊のパフォーマンスもかなりのハイレベル。
象の前脚みたいな腕を豪快にブン回してるカリウタ先生のプレイが超人レベルで凄いのは毎度のお約束
だけど、それに負けじと弦をその細指でバシバシ弾き飛ばしてる紅一点ベーシストのタルちゃんもマジ
パなかったですね。何せ若くて可愛くて当然バリ上手で、そんでもってストラップが右と左のちょうど
間に挟まってただでさえカイデーなソレを更に強調!みたいな?そりゃ視線釘付けになっても仕方ないだろ、
という。そんな彼女とベック先生が互いに密着しあって一本のベースを弾き合う"Freeway Jam"での絡みは
その新鮮さと微笑ましさも手伝ってメチャ盛り上がってましたね。あとはかの名曲"A Day In The Life"を
哀愁成分全開で聴けたのも収穫だったかなと。
01:The Pump
02:You Never Know
03:Cause We've Ended As Lovers
04:Stratus
05:Angel
06:Led Boots
07:Goodbye Pork Pie Hat / Brush With The Blues
08:〜 Tal's Solo(Freeway Jam)〜
09:Blue Wind
10:A Day In The Life (The Beatles)
11:Peter Gunn
<Eric Clapton>
おおかた名曲と呼ばれるものは耳にする機会が多いあまり、食傷気味、いやこの場合だと
聴傷気味になりがちなものですが、何度聴いてもその素晴らしさを損なうことなく、常に
オーディエンスを感動に導いてくれる名曲の中の名曲というものがあります。
その一つたる"Layla"が、よりにもよって、アンプラグド・バージョン、だと…!
曲後半の最強の聴きどころ、ピアノとギターのかけあいパートがオールカット、だと…!
てか未だにトガったオーラをまとってるジェフ先輩と比べると、こちらのエリック大先生は
レイドバックしすぎ、つまり円熟味が増し増しすぎ、むしろ発酵気味なんじゃないかと。
そんな感想を抱くことを禁じえないくらい、まったりとしすぎてた前半でしたが、
"Running On Faith"〜"Tell The Truth"辺りでの、ギターの自由奔放な「歌いっぷり」、
そこから感じられる味の深みは流石でしたね。もはやお約束となった"Cocaine"ラスト、
観客とタイミングを合わせてのシンガロングも「共有感」という意味で最高だったし、
何よりもエリック大先生自身が実に楽しそうに弾いている姿を眺めてるだけで、こちらは
既に十分楽しかったりしちゃうので、まあ貫禄かつ安定のステージだったんじゃないかなと。
そしてこれだけリラックス感漂わせまくりなステージで許されちゃうのも、やっぱり先生
だからこそだと思いましたね(これ普通なら駄目でしょ)。
01:Drifitn
02:Layla
03:Motherless Child
04:Running On Faith
05:Tell The Truth
06:Little Queen Of Spades
07:Before You Accuse Me
08:Cocaine
09:Crossroads
<Beck & Clapton>
で、いよいよ今ジョイント・ライブ、最大の目玉、神様同士の共演ステージ待ち。
刮目して見るつもりが、場内の寒さのせいか突然お腹が痛くなるというアクシデント発生、
で、やむなくトイレに行ってる間にステージが始まってしまうというグダグダの視聴展開に。
まあこの第3部は、音楽的にはどちらかといえばフュージョンよりなベックがクラプトンに
気を遣った感じの完全ブルース縛りだったんで、共演こそのおいしいとこである後半のソロ
展開はどうにか見逃さずにすみました。てかこの二人が同じステージに立って、ともにギター
弾いてるのを見れただけでもわりと満足っちゃ満足だったんですが。
しかしまあ全曲ブルースの渋め選曲な筈がベックの手にかかってしまうと、どこか現代調の
新しいテイストに聞こえちゃうから不思議です。クラプトン先生、確かにいつもより激しく
「弾いて」いるんですけど、ベックの音色が「刺さって」くるギターの前には、どこか地味に
見えちゃいましたね。とはいえその音色をしっかり活かす調和トーンはやはり「巧」だなと。
一番の盛り上がりどころはやっぱり最後、「Sly & the Family Stone」屈指の弾け系ブルース
"I Want to Take You Higher"。パートの最後の最後でバックのスクリーンに日の丸が映写
される演出も手伝って、年齢層高めのお客さんが多かったであろうわりには、相当の熱気が
場内に渦巻いてましたね。
01:You Need Love(Muddy Waters)
02:Listen Here(Eddie Harris)〜 Compared To What(Les McCann &
Eddie Harris)
03:Here But I'm Gone(Curtis Mayfield)
04:Outside Woman Blues(Cream)
05:Little Brown Bird(Muddy Waters)
06:Wee Wee Baby(Jimmy Reed)
07:I Want to Take You Higher(Sly & the Family Stone)
<今日の一枚>
「Jeff」/
Jeff Beck
常に新機軸のギターサウンドを生み出している「孤高の天才」ベック先生、
03年リリースのソロとしては9枚目。相変わらずの哀愁色、岩ならぬ体に染み入る
芭蕉ばりの寂び寂びテイスト。なのにちゃんと新しいってところがとてつもなく凄い、
還暦にしてなお進化を見せてくれた充実作。ギター弾き始めの十台キッズにこそ聞いて
みてほしい一枚。
<今日の無駄T>
#今回の主役二人の名前のみの、これまた随分とシンプルなデザイン。
ただロゴがデカすぎるので、やっぱり外じゃ着られそうにありません。また家着が増えたー