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・黒沢式プロレス必殺技名鑑


受け身



まずは基本中の基本技、黒沢式受け身から紹介しよう。

黒沢式受け身の一番の特徴は、衝撃を吸収する際に使う、体のその部位にある。
通常の受け身が背中で受けるのに対し、黒沢式受け身は顔面で受ける
その際、顔面に加わるその衝撃たるや、筆舌に尽くしがたいものがあると聞く。

只の受け身からしてこの荒行だ。
この段階で最強伝説の称号が伊達ではないことが、早くも諸君らにはお分かり頂けたと思う。



ダイビング・ボディ・プレス

 

お次はアタックの瞬間が実に美しく映える、ダイビング・ボディ・プレスを紹介しよう。

黒沢式ダイビング・ボディ・プレスのその一番の特徴は、アタックの際に使用する接触面の部位にある。
通常のボディ・プレスが胸板からいくのに対し、黒沢式は脳天から突っ込む
アタックの瞬間に叫ぶ「ダイブッ」という一言も、その威力を増すのに一役かっている。



そして見よ!黒沢式ダイビング・ボディ・プレスのその威力を!
ミル・マスカラスも真っ青である。
アタック後の「メキ メキ メキ 
ピキ」という擬音も要チェキだ。



リバース式ロメロ・スペシャル

 

さて、続けていこう。リバース式ロメロ・スペシャルである。

相手をうつぶせにしたまま吊り上げるこの技の一番のネックは、正直全然イタそうに見えないところであり、
プロレス的にちょっとどうなんだろう?と首をかしげざるを得ないところが、まあ欠点と言えば欠点であった。

が、黒沢式リバース・ロメロは、そんな軟弱技とは一味も二味も違う。
なんてったって技をかける相手が幼児限定だ。この時点で既に半端じゃない。
さらに、その悪逆非道の行いを満面の笑顔でやってのけるところが、凄すぎる。

まさに、オリジナルのヘタれ技っぷりを補ってあまりある、恐怖の必殺技に仕上がっていると言えよう。



ドロップ・キック

 

さて、お次はプロレス技の定番中の定番、ドロップキックを紹介しよう。
とは言うものの、そこは黒沢式である。当然、只のドロップキックであるわけがない。

まずは上図に注目してほしい。
この技の一番の凄さはなんと言っても、まったくの助走無しで、しかも唐突に繰り出されるところにある。
きぇ〜〜〜〜っ!」という奇声と
シャア−という擬音とともに放たれるその蹴りは
タイガーマスクのサマーソルトキックも問題にならない程の摩訶不思議さと無重力っぷりを伴って、
その絶大なる威力を我々に容赦なくみせつけてくれる。

この技の一番のポイントは技を繰り出す際に黒沢が洩らす、「ぐぐぐぐっ…!」という悲しみのこもった
咆哮にあると思われる。



北斗の拳・究極奥義「無想転生」は、心を血に染めた哀しみを背負った人間にしか会得できぬと聞く。
この黒沢式キックもまた、同じように、とてつもない哀しみに包まれなければ体得できない技なのかも知れない。
例えば、「よかったね…! いじめられたけど… 生きてて… 生きててよかったね…!」みたいな…
そんな… そんな… 哀しみに包まれなければ、決して会得できない… うぐぐぐっ…ぐぐぐぐっ

ところでこの技には、まだ続きがある。



何故か100パー避けられる

キックという概念そのものの存在意義を疑いたくなってくるような、この技の凄まじさたるや、
もはや論じる気にすらならない。



ついでに言うなら、何故か技をかけた方が謝る羽目になる
もうなにがなんだかさっぱりだ。



ローリング・クレイドル

 

最後にローリング・クレイドルを紹介しよう。

要は相手とともにグルグル回転するだけの技である。
確実に「考えるな!感じろ!」というタイプの技であることは間違いない。
ついでに言うなら頼むからもう説明させないでほしい。もはやコメントする気力すらない。

ちなみに上記のものは、黒沢が初期の頃使った幼児虐待専用タイプのものであるが、
後期のものはこれに改良が加えられ、単独技としてそのニッチを確立するに至っている。



相手とともにグルグル回るどころか、単独でゴロゴロ転げ回ったあげくドブに転落するだけの技に
成り下がっているような気もするが、まあ、そこはいろいろ大人の事情というものがあるのであろう。
我々としては、ただただ、彼のことを暖かく見守るのみである。



せっかくなので、弟子のソレも、御覧いただこう。

師匠が「ゴロ‥ ゴロ‥ ゴロ‥ 
ボコッ‥」であるのに対して、
弟子は「ゴロ‥ ゴロ‥ 
スポン」である。

ゴロ‥」という回転数が一つ足りないところに、甘さを感じざるを得ないが、
フィニッシュの際の「スポン」という部分は、師匠に勝るとも劣らぬ仕上がりっぷりと評価しておこう。



そして汚泥にまみれたドブの中で、仲良く将来について語り合う2人。
うぐ‥うぐ‥うぐ‥」という擬音が哀愁をそそる。
嗚呼、なんと美しき師弟愛であろうか。そして何と素晴らしき終了度合であろうか。



反則技

参考技として、黒沢式反則も2つ程、あげさせていただこう。



一つ目の反則技は、かのアブドーラ・ザ・ブッチャーやザ・シークも得意とした凶器攻撃である。

ズボン後ろポケットの右側に仕込むところは定石通りであるが、何よりも注目すべきポイントは、
その凶器がフォークでも栓抜きでもなく単なるアジフライだという点にあろう。
凶器攻撃というよりはむしろ狂気攻撃といった感じであるが、まあそこが黒沢らしいと言われれば
確かにそうかも知れないと思う私自身の中に、もはや反論する材料ははない。

願わくば策やぶれて「あう
あうあうあうあうあうあうあうあう」などという惨めな負け犬の
遠吠えを聞くことのないよう、ただただ祈るのみである。


さて、二つ目の反則技は、もはや究極奥義といっても差し支えない、あの技である。
その名も「投網一発っ…!」

 

根こそぎ… 一瞬でもってかれた…!
「人望」という名の……… 魚群を…………!

 → 

この漫画を読んだ私自身、
「希望」という名の未来を一瞬で持っていかれたような気がしてならない。


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