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銃夢 木城ゆきと

僕らはネジなンだッ はうううう〜〜〜




何故に私はこういう世界観が好きなのだろうか?

殺伐としているサイバーワールド。
天空に浮かび、ゴミを排出し続けているザレムという名の空中都市。
そして その下に存在する、吐き出されたゴミ屑でつくられた町 「クズ鉄町」。

そんな町で生きるガリィという女性型サイボーグの成長物語。
作品全体に荒廃感がただよっている。妙にけだるい感覚。
すべての登場人物が妙にもの悲しい。ブルース系? それなのに生体系描写は妙に生々しい。

作品中に出てくるモノは、どれもこれもバイオ猟奇系。
ウジ虫型サイボーグ、脳が絡み合ってできたオブジェ、ネジ首、などなど。
そして、それらサイバーモンスターを全てたばねるComic史上最高の
キング・オブ・マッドサイエンティスト 「ディスティ・ノヴァ」。
圧倒的な”Philosophy”をもってして、その脅威的な存在感を最後まで引っ張り続ける。

現在は一瞬のうちに過去となり、誰もがいつかは死に、運命は人知をこえて荒れ狂う。
それが当然といわんばかりに。
私はそんなこの世のすべてを憎む! 熱力学第2法則を憎む!


熱力学第2法則ってなんだっけ、とかいうことはとりあえず棚にあげつつも
抜群に痺れるセリフである事は疑う余地もない。

ノヴァの存在感のせいで いまいち主人公のガリィは目立たないが、それでもその高いプライドと
他人からの干渉を嫌う独立心、それでいて寂しがりやな性格設定はマジたまんないっス実際。


ベルセルクの”因果律”がお好きな方ならば、銃夢の”カルマ”も間違いなく気に入って
いただけるであろう、と確信する。


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