CLIMAX 5

G企画用テキスト

クライマックス&エクスタシー。
今まで読んだ漫画の中で大好きなクライマックス・シーンを5個集めてインプレ。



C1DRAGON BALL

わ〜ん ベジータが! ピッコロが!

圧倒的不利な状況の中、それでも己の持てるすべてをさらけだして戦い続ける悟空・・
20倍界王拳! 最期の切り札 元気玉!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!

皆の希望は現実に変わり、そして何もかも終わったかと思われた瞬間、それは絶望に姿を変えて
圧倒的な力で再び悟空達に襲いかかる・・・

そして・・・・・〜〜〜〜〜〜〜 クリリンがあ! クリリンがあ!!



全ての感情が沸騰臨界点に達したこの瞬間から、ソレは始まります。
読者達の感情は同時に悟空にリンクし、それは凄まじい勢いとなって次のシーンへと!



このシーンを見た瞬間、全身の血液という血液は逆流をはじめ、思う存分煮えたぎるッ!

これぞクライマックス! これぞカタルシス!

この後、その恐るべきパワーをもってして、フリーザを圧倒する悟空。
今まで溜まりに溜まった我々の鬱憤を、気持ちいいくらいに晴らしてくれます。

しかしこれだけでは終わらない。即座に2つ目の絶頂が我々を襲う!



いかにワンピースが熱かろうとも、いかにハンター×ハンターが原稿をオとそうとも
このシーンだけは超えられない!

おそらく少年ジャンプ史上における屈指のベストカットがコレ。

と同時に、当事の渋谷チーマー達のバトル時における必殺技だったという噂も。
ボクはこのセリフと同時に5メートルも吹ッとばされた哀れな男を知っています。
ちなみに彼の夢は「いつか空を飛んでみたい」

夢がかなって本当に良かったナアと心の底から思う今日この頃。




C2はじめの一歩

スポ魂系。
それは、まさに「熱い」漫画の代名詞。

ハングリー要素を前面に押し出して、その中における孤独や罪悪感・それらの心の葛藤などを
生々しく描ききった「あしたのジョー」や「がんばれ元気」などのボクシング漫画は、スポ魂系の
代表格として一時代を築きました。

しかし、これらの作品を凌ぐようなボクシング漫画が、ここ近年あらわれなかったのもまた事実。
どうしてでしょう。 時代背景の違い? 経済成長の所為? もはやハングリーは時代遅れなの?

そンな問いに対して、明確な一つの回答を打ち出して、汗臭い・泥臭い・根暗くさいの
ボクシング漫画3Kセットを軽々と打ち砕いてくれた漫画が、この”はじめの一歩”です。

ボクシングというストイックな題材の中に、元いじめられっ子という等身大の主人公を放り込む
ことで読者達にその存在を身近に感じさせつつもボクだってやればできるンだ!という錯覚を
同時に発生させてしまうことにより、そこら中に勘違いクンを量産しまくってるナイスな作品。

その根底にあるものは、昔のハングリー系のソレと変わらない”挫折と努力”。
見ただけでお腹一杯になるこの料理の中に、お笑い的要素や傍役ストーリーなどの調味料を上手く
盛り込むことで、全体的な泥臭さを上手く調和してるところが上手し。
加えて躍動感あふれる絵が、また素ン晴らし! 

というワケで、私が感じた”はじめの一歩”最高の燃えどころがコレ




ボコられまくりだ一歩君!ぼっこしボディがつきささ〜る。



さらにバコバコ一歩君!なすすべないよう適わないッ!
残された手段ももうなくて!ああッ駄目駄目駄目なンだ〜〜ッ

でも頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って・・・
でも駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ・・・

もうみてるだけでフランストレーションが沸きあがりまくりで、
ボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ・・・

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ くわ〜〜〜〜〜〜!

という思いを
溜めて溜めて溜めて溜めてさらに溜めてッ!

その思いが臨界点に達したその瞬間!



炸裂!プッハー!

そンな感じ。気ンもちい〜いっ!




C3ピンポン

続けていきます、スポ魂系。
と言ってもこの作品はピンポンを題材に扱った、少し異色の作品。

社会風刺的テーマを、そのなンともいえない味のある絵(いや単に下手なだけじゃないか?)
でフィルタリングして、ちょっと文学的なエッセンスを漂わせることにより、どこにでもいそうな
線が細そうで散文とか詩が大好きそうな少年・少女とかの支持を得まくった異色漫画家:松本大洋
の渾身の一作。

ストーリー自体も、スポ魂系によくアリがちな、
”自分がいて、ライバルがいて、挫折して、努力して、蹴落として、傷付いて、それでも・・”
とかいうお約束的内容とはちょっと違ってて、
基本的には「戦う動機を他者の中に見い出すお調子者の主人公」の成長物語が中心なンだけど、
その見せ方の中に、コジャれたセリフ回しや感覚的な心理同調を上手くミックスさせていて、
もはや”松本大洋的”と言うしかない程の強烈な個性を、この作品の中で確立させきっています。

で、静的な感動という部分に対しては、まあ、この作者の今までの作品とわりと同じ流れなンだけど、
圧倒的に違うのは、その動的な熱さ。




とにかくお調子者の主人公。
卓球が好きで好きで好きでしょうがなくて。それでも。

「びびって必死に耳を塞ぎ」
「ヒーロ見参!ヒーロ見参!ヒーロ見参!」
「飛べる?」
「飛べる!」



とにかくストイックなライバル君。
卓球が嫌で嫌で嫌でしょうがなくて。それでも。

「称賛の苦痛・背負うものの重圧・孤立と苦悩」
「努力は無意味に 勝利は虚しく」
「それでもただ強く」
「強く」



それぞれのバックグラウンドを胸に秘めつつ、ぶつかりあう試合シーンは何よりもアツく。

反応 反射 音速 光速

それぞれが背負う思い入れは、激闘を通して、徐々に徐々にシンクロしあい・・・


「怯える必要などない」

・・・・「怯える必要など・・」




何もかも終わる直前で、この一言。

動の熱さが収束して、静かな心地よさに変わる瞬間。

こういう感覚ってマジ好きだなあ。




C4ハッピー・マニア

アドレナとかエクスタとか、そういうのとはちょっと違うンですが、とにかく切なくなって
胸がきゅうううンってしまる、あの何ともいえない感覚を味あわせてくれる作品。

名前だけ聞くと、”ああ、あのギャグ漫画?”とか、大抵の人がそンなイメージを抱くと
思うンですが、実際はおちゃらけ系ギャグの中に、妙に鋭い突っ込みや、やたらと胸に迫るイタい
シーンとかが散りばめてあったりして、モラトリ系トランスには絶好の作品に仕上がっています。

無意識の中でいつも考える。
自分だけがかわいくて、自分の都合だけを考えて、自分の利益だけを考えて。
でも時々気づく、ああ自分は何やってるンだろうって。
誰もが時々気づくそンな瞬間、そンな感覚。

そういう系の描写がとにかく絶妙なこの作品の中でも、1人暮らしの方々ならば、
誰もがどこか共感しつつ、何か胸にくるものを感じるであろうシーンがコレ。




精神的に落ちこンでるトコへ持ってきて病気。しかも1人暮らし。
すがれるような人もいないし、同性にソレっつうのもなンか違う感じで・・・



ネガティブな状況は、さらにマイナスの思考を産み、
何もかもがどうでもよくなっていく感覚をさらに超えて、ああッマジつれえッ、
って感じちゃった瞬間、とにかく虚しくなって切なくなって悲しくなって・・・



で、泣く。

これは仕方ないわな。それしかないンだもん。他にどうしようもないンだもん。




C5SLAM DUNK

すべてはこの瞬間の為に。

そう、すべてはこの瞬間のために。


桜木が素人だったのも

やたらシュートが下手だったのも

そのシュートが全然上達しなかったのも

やたらと身体が頑丈だったのも

その頑丈な体が最後の最後で壊れたのも

いつも流川に敵愾心を燃やしていたのも

流川が桜木に一度もパスを通さなかったのも

はじめはバスケなんて好きじゃなかったのも

いつのまにバスケが大好きになっていたのも


すべてはこの瞬間の為に。

そう、すべてはこの瞬間のために。

すべてはこの瞬間だけのために




そして・・・







”おそらくこの先のコミック・シーンにおいて、再びかくの如き感動的場面を見ることはあるまい・・”

あの司馬懿をしてそう語らしめた程のコミック史における最強場面。

嗚呼、悠久。何もかも悠久・・・漫画っていいなあ・・



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