第41話:バルジ攻防戦

#トレーズ、遂に復活、と同時にリリーナ失脚、
 そして宇宙要塞バルジを巡るオズとホワイトファングの激突、と盛り沢山の回。
 あとこの回からOPが「RHYTHM EMOTION」に変更。

「ヒイロ、貴男達の戦いは孤独すぎる。.
 同情されるのは嫌いでしょうけど、少しは手伝わせてちょうだい」(サリィ)
  もはやMS探し請負人みたいになってるサリィ・ポオ。
  媚びを売るでもなく、高圧的になるわけでもなく、ヒイロ達に絶妙な距離感をもって接する
  ことのできる数少ないキャラではなかろうか。
 
「貴女をロームフェラーという古びた鳥かごに閉じ込めておくことは罪悪だ」(トレーズ)
「お行きなさい。貴女の行きたいところへ。貴女は自由だ」.
  世界国家設立をブチあげたばかりだと言うのに、この一言で体よくお払い箱にされるリリーナ。
  こんなに見事な傀儡っぷり、見たことない。と同時にとって代わってオズの全権を再び掌握するトレーズ。
  これで出るべき役者はほぼ全員出揃ったか。

「必要ないのだ………… 宇宙にとって貴様達は!」(ミリアルド)
  烈迫の気合とともに、放たれる寸前のバルジ砲を要塞ごと両断。
  挫折と復活をくり返す度、その戦闘能力が上がっていっていることだけは確かな模様。

  





第42話:リーブラ発進

#ミリアルド率いるホワイトファングと、トレーズ統べるオズとの交戦、いよいよ激化。

「笑わないでくれ、レディ….
 人々の為には、これくらいの三文芝居は見せてやらねばな」(トレーズ)
  芝居がかった演説でホワイトファングとの徹底交戦を訴えた後、自嘲気味に呟くトレーズ。

  


「貴様らが正しいかどうか、この俺が見極めてやる」(五飛)
「貴様らが正しいのであれば、俺を倒せる筈だ!」「戦いを見くびるなー!」.
  
昨日ホワイトファングに今日はオズ宇宙軍と、仕掛ける相手がもはや見境いなしな五飛。
  挙句、
ナタク、俺達はまだ死ぬわけにはいかないんだ。宇宙にはバカが多すぎるからな
  って、どの口がー!

「好意は受ける。だが取り引きには応じない」(五飛)
  サリィからの物資提供申し入れに対してこの返答。どこまでも傲慢な…(だがそこがいい)
  この後、ヒイロの勧めによりウイングゼロに搭乗することで、ようやくゼクスにトレーズという
  明確なる敵を認識することができるようになる。

「地球の世界国家は、統一が平和をもたらすと言っている。.
 まさかあのトレーズからこのような詭弁を聞かされるとは思わなかった。.
 諸君らは忘れてはいまい。かつて地球には、地球圏統一連合軍という組織が存在したことを。.
 あの愚かな組織は戦争をなくし、平和を実現しただろうか? 否! 断じて否!.
 統一連合は正義と平和の名のもとに、圧倒的軍事力をもって、我々のコロニーに攻めこんできた。.
 戦争の痕跡は、もはや国家を統一するなどというレベルの問題ではない。人類の在り方に帰結する問題なのだ。.
 人類ははるかな太古、両足を大地に踏みしめた時から、既に戦いを始めていた。.
 その長きに渡る民族間の争いが、国家間の争いに変わり、有史以来、何千年もの間、血で汚した歴史を辿ってきたのだ。.
 これは人類が戦いを本能として持っているからに他ならない。では、諦めるしかないのか?.
 いや、そんなことはない。何故ならば、自らの本能さえも乗り越える力を持つ人類が存在するからだ。.
 諸君らはもう気付いているだろう。.
 そうだ、コロニーの市民こそが闘争本能を制御し、平和の実現を可能にした新たな人類なのだ。.
 コロニーの市民は、人類を拒むこの宇宙空間で生き続けてきた。.
 そこで戦いなどという悲惨な行動をとることが、どれほど無意味か、身を持って知っている。.
 分かってほしい。宇宙で生きるのが精一杯なコロニー市民は、戦うことなど出来ないのだ。.
 では、なぜ我々が立ち上がったのか? .
 戦いを望む旧人類が安定さゆえに地球に留まり、武装しない我々を支配しようとするからだ。.
 我々人類は、宇宙へと巣立ち、既に200年近くも経っている。.
 もうこの辺で、争いの歴史に終止符をうつべきではないのか?.
 その為には、地球という全ての闘争を生み出す温床を排除しなければならないのだ!」(ミリアルド)
  
というのが、旧ゼクス現ミリアルドの、地球に対する宣戦布告理由。
  なんか色々言ってるけど、要はその選民思想の対象が「重力に魂を引かれた人々」から「コロニー市民」へと
  変わっただけのこと。これまでのGシリーズにおける宇宙から地球への戦闘動機に対するカウンターイデオロギー
  として見れば、面白くなくもない。
  ちなみに上記思想に対するサリィ・ポオのコメントは、
 
「少なくとも私達は人類という生き物をもう少し買い被っているわ」だそうで。

  


「所属不明のシャトルです。いかがいたしますか?」(通信兵)
「こちらはドロシー・カタロニアです。お久しぶりでございます。ミリアルド・ピースクラフト様。.
 幼少の頃、御一緒に、トレーズ様とよく遊んでいただいたドロシーで…」(ドロシー)
撃て(ミリアルド)
  
名セリフでもなんでもないけど、微塵の躊躇もなしな「撃て」に吹いちゃったもんで思わず。
  まあ、この後の
「この目に戦争を焼きつけておきたいんです。だってこれが最後の戦争なんでしょ?」
  という粘りの甲斐あってか、ドロシー嬢もどうにか殺されずにはすんだみたいだけど。




第43話:地上を撃つ巨光

#ここにてカトルをリーダーとする、ヒイロ、デュオ、トロワ、五飛の五人が揃い踏み。

(ゼロを見上げつつ)やっかいなものを持ち込みやがったなあ。.
 コイツはまともな人間が乗る代物じゃないぜ」(デュオ)
「…お前に乗れとは言っていない」(ヒイロ)
「お前、これに乗ったんだろ! だったら!」.
「俺には乗りこなせる。同じシステムのエピオンに乗った経験が、役に立つだろうからな」.
「エピオン? あ、あのゼクスの乗ってた奴か? お前、一体、なにやってたんだ!?」.
「……やれやれ、忘れてたぜ。お前はまともな人間じゃなかったよなあ」.
  ヒイロ×デュオの夫婦漫才も、これまた随分とお久しぶり。
  ヒイロに相変わらず翻弄されるデュオのキョドりっぷりに注目。

  


「勝利の為には、どんな犠牲をもいとわない覚悟が必要ですわ」(ドロシー)
「人々の死は、理想の為の尊い犠牲として、コロニーの歴史に長く書き留められることでしょう…」.
「ハあー、美しいわー…!」.
  追い詰められた末、コロニーを人質にとるという愚をおかしたオズ宇宙軍に対し、
  リーブラ主砲を放ってコロニーごと殲滅するという非情極まりない策を指示するミリアルド。
  そしてその側で1人アクメに達するドロシー、…ってか、この女、やっぱしおかしくね? 

  


「そ…そうだったな、カトル… 俺達には、守りたいものが、あったんだな…」(トロワ)
  病み上がりだったトロワもウイングゼロに搭乗したことにより(そのショックで)完全復活。
  これで5人全員が、ゼロシステムの洗礼を受けたことになる。

  


「悪いな、バレないように忍びこむのは得意技なんでね!」(デュオ)
  デュオ、デスサイズヘルを駆り、お得意の隠密作戦を敢行。
  これまでほぼボケ専だった筈が、39話以降、急にちゃんとした見せ場が増えたような気が

  


「急いでくれ。敵はすぐに来る」(ミリアルド)
「て、敵? と言いますと?」(カーンズ)
「この宇宙で最もやっかいで、恐るべき敵… ガンダムだ…!」.
  
復活したトレーズ率いるオズ軍が準備を整えている間、まずは巨大戦艦リーブラを擁する
  ホワイトファングと、ピースミリオンを旗艦とするGチームの前哨戦開始。
  



第44話:出撃Gチーム

#ホワイトファングとGチーム、双方の戦いの火蓋がいよいよきって落とされる。
 この回は、Gチーム最大の弱点である「チームプレイの欠如」を補うべく、禁断のゼロシステムを
 使ってまで奮闘するカトルに注目。

「地球が美しいと思えるのは、こうして宇宙から見ることが出来るからだ」(ミリアルド)
「地上にいる者には、真の美しさは理解できない」.
  歴代ガンダムを語る上での軸である「重力に魂を引かれた人々」論、ここでも健在。
  初代から最新の「種シリーズ」に至るまで、随所に垣間見える辺りに、「ガンダム」というブランドの
  一貫したフィロソフィが伺える。

「私を、甘いと思うか…」(ミリアルド)
「守るべき者を持たぬ男でしたら、宇宙の指導者に迎え入れはしません」(カーンズ)
「…済まない」.
  
「宇宙も地球も武器を捨て去る時代が来たのです」と相変わらずの主張をくり返すリリーナに対し、
  
「その理想にはまだ時代は到達していない」と反論、その為には「宇宙が地球に対し、力を行使することが必要」
  と説くミリアルド。だが若干の精神的脆さが漏れてる辺りに、今一歩、徹しきれていない部分も見受けられる。

「さあ、お人形さん達! 華麗なダンスを踊りなさい!」(ドロシー)
  従来の構想に戦術的プログラムを加えて統合的戦力を増したモビルドール・システム。
  ドロシー指揮下の元、その威力を発揮する筈が、ゼロシステムを活用し始めたカトルの前に惜しくも破れさり、
  彼女を
こんな筈じゃ…こんな筈じゃなかったのに…と嘆かせる羽目となる(右写真)。

  





第45話:決戦の予感

#ホワイトファングとGチームの第2ラウンドに、ヒルデのスパイ活動が絡む回。

「珍しく素直だなー?」(デュオ)
  ゼロスシステムへの注意を促されて、素直に「ああ」と答えるヒイロ。
  憎まれ口のカウンターを想定していたデュオへ、ものの見事に肩透かしをくらわせる。

「そうよ、戦争ですもの」(ドロシー)
  カーンズ指揮するモビルドール部隊に、ヴァイエイトとメリクリウスを加えるよう助言するドロシー。
  「口出しは控えて頂きたい、これは子供の遊びではないのだ」と言われて。
  前回の失策による落ち込みからは、どうやら立ち直った模様。

「………いい手だな」(トロワ)
「攻撃こそが最大の防御だ。守ることばかり考えていると、身動きがとれなくなる」(五飛)
  チェスに興じていたカトルとデュオの間に割り込んできて、一手指す五飛。
  ちなみに「攻撃こそ最大の防御なり」という名言を最初に生み出したのはウォーズマン。

  


「人形ごときに負けてて、ガンダムのパイロットがつとまるか!」(デュオ)
  トロワとヒイロのデータが入力されたヴァイエイトとメリクリウスを辛くも撃破するデュオ。
  紙一重の勝利だったわりに
「今度つくるときは、俺のデータを組み込むんだな」という勝ちセリフが
  実に彼らしい。

  





第46話:ミリアルドの決断

#ホワイトファングとオズ、そしてミリアルドとトレーズ、いよいよ本格的に激突。

よく覚えておきたまえ。礼節を忘れた戦争は殺りくしか生まないのだ(トレーズ)
「だから、地球で起きたかつての戦争は悲しかった…」.
  部下に出撃を止められるも、ホワイトファングの現指導者ミリアルドを引き合いに出し、
  
「今回の出撃は、彼に対する礼儀だと解釈すればいい」の一言でその制止を振り切るトレーズ。

  


「だとしたら、俺はアイツをかいかぶっていたな。この中で一番まともな男だと思っていたのだが」(五飛)
「…違うな。あのヒイロほどの男を動かす力を持った女だということだ」(トロワ)
「五飛、ヒイロがリリーナを連れ帰ったら挨拶ぐらいしてやれ。女はお前以上に傷つきやすい」.
  ヒイロがゼロを置いたままリリーナ救出に向かったと聞いて騒然とするGチームの面々。
  他の4人とはまた違った物事の見方をしているトロワの観察眼が光るワンシーン。
  トロワに自分の本質を言い当てられても黙しているところから察するに、五飛もトロワを認めている模様。

  


「生存者などいない」(ヒイロ)
  被弾した味方機を装ってリーブラ内に侵入しようとするヒイロ。
  デッキの通信兵に「生存者を確認する」と問われてこの返事。変わらぬDQNっぷりをいかんなく見せつける。

「ヒイロ… やっぱり貴男って、不思議な人ね」(リリーナ)
「お前ほどじゃない」(ヒイロ)
「いいえ、貴男はわたくしに生きる力や希望を与えてくれる。きっと他の人にもそうなんでしょ」.
「何度も言わせるな。お前ほどじゃない」.
  いやいや、どっちもすごいと思います。その不思議ちゃんっぷりが。

「間違っています。平和は、戦争から生み出されるものではありません!」(リリーナ)
「………それでいい。お前はそれでいいのだ…」(ミリアルド)
  ミリアルドより、この戦争がサンクキングダムの完全平和主義に至る道、との考えを聞かされて反発するリリーナ。
  リリーナの青さ全開な子娘っぷりが目立つシーンだが、事ここに至ってすっかり悟りきった感じになってしまった
  ミリアルドよりはキモくないと思う。

  


「無論、勧告は出す。だがトレーズが応じない場合は、発射もありえる」(ミリアルド)
私はこの甘さを排除したいと思ってきた男なのだ!.
  トレーズ率いるMS部隊に対して、リーブラ主砲の照準を合わせるミリアルド。
  トレーズには捨てられ、ヒイロにはつれなくされ、リリーナには冷たくされ、唯一の理解者たらんとするノインの
  想いには気づかない… そんな最悪尽くしの駄目男だった彼が、ここにきて遂に覚醒を果たすか?

「こちら世界国家元首、トレーズ・クシュリナーダ」(トレーズ)
「私はホワイトファング指導者ミリアルド・ピースクラフト指令に、決闘を申し入れる…!」.
「答えを聞かせていただこうか。ミリアルド指令」.
「君の答えは、同時にこの戦いに対する解答であることも、忘れないでくれたまえ」.
「決闘は……………… 断る!(ミリアルド)
「私はオズの兵士ではない。騎士道などというものとは無関係の位置にいる。.
 私は、宇宙の革命の意志を背負っているのだ。.
 軽々しく決闘などで、コロニー市民の運命を.決定することなど、断じてできない!」.
「…なるほど。正しい選択だ」.
「トレーズ、我々の進む道を邪魔するものは、全て排除する!」.
「ミリアルド、我々の後ろには地球がある。我々は退かない。私は地球が好きなんだ」.
「………それでこそトレーズだ…!」.
まいる…!.
  ホワイトファング側の最終勧告に対して、1人トールギスを駆り、決闘を申し入れるトレーズ。
  それを「だが、断る」の一言で斬って返すミリアルド。
  遂には単独特攻を決意するトレーズ、かつての甘さを振り払うべく主砲トリガに指をかけるミリアルド、
  そこに割り込むドロシー、更にはよもやの復活を遂げたあの人も絡んできて、事態は本来の主役である
  Gチームを完全おいてきぼりにしたまま、ますます混迷の一途を辿っていく。

  





第47話:激突する宇宙

#ホワイトファングvsオズの乱戦にGチームが絡んで、戦局は消耗戦の様相を呈していく。

「諸君、ここは戦士だけの世界だ。その純粋さ故にこの戦場は美しい。.
 我々の故郷を戦渦に巻き込むことなく、ここを人類最後の戦場とするのだ」(トレーズ)
「歴史に残るだけではありません。.
 この戦いは末永く人々に語り継がれるものでなくてはならないのです。.
 そのために、多くの戦士がその尊い血を流すのです」(レディ・アン)
「この戦いは始まりにすぎない。.
 地球の住人達に、宇宙の民の決意がどれほど重いかを、教えてやらねばならんのだ」(ミリアルド)
  それぞれの陣営のボス、そして復活を遂げたレディ・アン、
  この戦闘に対する三者三様の意見が述べられたところで、いよいよ本格的な消耗戦の火蓋がきって落とされる。

「死なぬ程度には十分だ」(ミリアルド)
  ビルゴ三機とエピオンのみで、Gチームの猛者4機を相手取る腹づもりなミリアルド。
  どんだけ自信家なんだ。

「ノイン、退くんだ…!」(ミリアルド)
「退きません、たとえ貴男を倒すことになろうとも!」(ノイン)
「…………ノイン!」.
「ゼクス…!」.
  リーブラへ特攻をかけるピースミリオンと、それを守ろうとするノイン、
  その身を挺して単機ミリアルドの前に立ちふさがり、もはや鬼と化していた彼の剣先を鈍らせることに成功する。
  それにしてもだ、ミリアルドさん。
「何故だ… 何故にこうも甘いのだ…私は…!」って、
  アンタ同じようなこと、もう何回言った?(たぶん五回目くらい)

  


「第1、第3エンジン大破!」(ピースミリオン・クルーA)
「エンジン・カットの手間が省けたぜ!」.
「そーれ、景気よく行けー!」(ピースミリオン・クルーB)
  ピースミリオン、搭乗クルーのやけくそ混じりな一喝とともに、その船体ごとリーブラを突貫。 
  その無茶極まりない行為に対するトレーズのコメントは
「その勇気に敬意を表する」だそうで。

  


「おいおい、一体なんてもんを見つけちまったんだよ、俺は…!」(デュオ)
  リーブラ内に捕われていた博士ズ達を見つけて、思わず呻くデュオ。
  カトルはドロシーと決着を、五飛はトレーズとの因縁を、ヒイロはミリアルドとの最終決戦へ、
  と、それぞれ最終局面へ向けての見せ場が用意されているというのに、デュオだけこの扱いとは。

「地球よ、思い知るがいい…! 本当の鉄槌は、これから下るのだ!」(ミリアルド)
  博士の分析によると、このミリアルドの行動は 「地球に衝撃を与えたかった」
  「絶大なる力が行使されることで、人々の心に戦争への恐怖と平和への切望を呼び覚まそうとした」
  という目的意識に則しているものらしい。
  ほんの8話前まで完璧にヤサぐれていたくせに、まあ随分と御立派になっちゃって。




第48話:混迷への出撃

#全国99822人のトレーズ・マニアは座して刮目せよ。巨星、遂に墜つ…!

「カトル・ラバーバ・ウィナー、やっぱりだわ…」(ドロシー)
「あなたはガンダムのパイロットの中で、一番間違っている人なのよ!」.
  単なる正論を言っただけなのにこの返しはあんまりといえばあんまり。哀れなり、カトル… 
  が、歴代ガンダムパイロットのその歪みきった性格を鑑みれば、このドロシーの物言いはある意味、
  正論とも言える。

「ボタン一つで全ての戦いに決着がついてしまう時代があった」(トレーズ)
「その忌わしい精神の根源が、このモビルドールというものだ。そして延長にあるものが、あのリーブラだ」.
「戦争から人間性が失われれば、勝利も敗北も悲惨なものとなる。神は、どちらにもその手を差し伸べてはくれない」.
  五飛との最後の戦いに際して、自らの戦争に対する考え方を述べるトレーズ。
  この軍人らしからぬアンチ・プラグマティズムは、結果よりもそこに至る過程こそを大事にする、
  トレーズならではの物言いだろう。 

「俺は今まで何度となく、死ぬ運命を逆らってきた。今度も逆らわせてもらう」(トロワ)
  
今度も生き延びてみせる、あるいは「今回は明確な意思を以って」生き延びてやる、という意味
  という意見をフォームより頂きました。

「彼等は歴史の必然や大儀とは別のベクトルを突き進む」(ミリアルド)
「それが戦闘のプロフェッショナルというものだ。そしてこの私、ゼクス・マーキスもな」.
  この大詰めにきて、ガンダムパイロット5人に対する所感を述べるミリアルド。
  そして彼自身、最後は公の身分「ミリアルド・ピースクラフト」としてより、単なる一戦士「ゼクス・マーキス」
  として戦いに臨みたい模様。故に以降の表記は「ゼクス」に再々度変更。

「ゼクスを倒す、次にトレーズだ。それで戦争は終わる。.そして…お前が生き延びれば、平和は訪れる」.
「これがお前の為にしてやれる、唯一つのことだ」(ヒイロ)
「ヒイロ…」(リリーナ)
「俺はお前を守ると約束した。お前とこの地球圏を守るためには、俺が戦う以外に道はない」.
「そんな…」.
「行かせてくれ」.
「駄目、駄目よ! ヒイロ、あなた死ぬつもりなんでしょ!?」.
「…俺を、信じろ」.
  たぶん全49話を通して唯一、「デレ」の部分を垣間見せるヒイロ。
  「俺を信じろ」とか言っておいて、リリーナをすっかり甘い気分にさせておきながら、
  その舌の根も乾かぬ3秒後には至極あっさり
  
命なんて安いものだ、特に俺のは!とか言い捨てて、もはや死ぬ気満々に
  なっちゃってるその豹変っぷりをも含めて、この回最大の見どころの一つ。

  


「コロニーはガンダムを裏切ったわ。コロニーの市民は貴男の父親を殺したわ。
 そして武装したコロニーは、なにも理解しないままに、地球に独立を宣言したわ。.
 貴男の今までしてきた戦いは、全部無駄だったのよ。.
 他人を思いやりすぎた結果が、この最悪の事態なのよ!」(ドロシー)
「その純粋さが、その甘さが、その優しさが、貴男達の戦いを敗北させているのよ!」.
  かつてのアムロとシャアのごとく、剣閃を違いに散らせ合うカトルとドロシー、
  物理的側面のみならず精神攻撃までをも駆使して、カトルを徐々に追い詰めていくドロシー様の勇姿に注目。
  この後の
「君は優しいんだね…僕以上に…」「戦いを憎むあまり、自分の優しさを許せなくなる…」という
  カトルのセリフに動揺して、今までひた隠しにしていた脆さをついポロリと見せちゃう辺りのギャップと合わせて
  転がりまくること必至。

  


「オラオラ、死神と厄病神のお通りだ!」(デュオ)
  皆がそれぞれのドラマを謳歌している最中、こちらは1人、ひなびた爺さん6人の相手をさせられて
  もう何もかもがどうでもよくなっちゃったデュオ君。

「どうした? 何故、その龍を使わない?」(トレーズ)
「お前とは正々堂々と戦いたい。それだけだ」(五飛)
「君らしくないな。躊躇するのか」.
「貴様こそ、何故あの時、俺を殺さなかった!」.
数少ない私の理解者を、殺すことなど、できない.
「ふざけるな!」「俺は、貴様が憎い!」.
「ならば躊躇するな!」.
「…貴様は、そうして人を見下すことしか出来ない男だ。しょせんエゴでしか戦っていない…!.
 貴様のために、何人の人間が死んだと思っているんだ!」.
「…聞きたいかね?」.
昨日までの時点では、99822人だ.
「レディ、本日の戦死者は?」.
「現在確認されているのは、ホイトファング82名、我が軍105名です」(レディ・アン)
「そうか…あとで名前を教えてくれ…」.
「きっ…貴様ァ!」.
「戦いの為に犠牲となった人々は、全て記憶している….
 ノベンタ、セプテン、ベンティ、ドーリアン、ワーカー、オットー、ブントー、みな、忘れられぬ人々だ」.
「貴様という奴は…」.
「私は死者に対し、哀悼の意を表することしか出来ない。だが、君もこれだけは知っていてほしい。.
 彼等は決して無駄死になどしていない。そして…!.
(飛び込んできたトレーズの機体を、五飛のアルトロンが勢いあまってビーム・ジャベリンで串刺しに)
「…見事だ、五飛…」.
「トレーズ、貴様…!」.
「五飛…我が永遠の友よ… 君たちと戦えたことを誇りに思う…」.
「こ…こんなもの…こんなもの…! 俺は絶対に認めんぞ!」.
「ミリアルド…先に逝っているぞ…(数秒後、機体爆発).
「くっくそおおおおお! こ…今度は勝ち逃げか…!」.
  トレーズ、遂に逝く。
  その思想、その信念をブレさせることのないまま、好き勝手やって自由きままに散った、という点に
  おいては、ガンダム史における歴代ボスの中でも最上級レベルの死に華を咲かしたキャラと言えるだろう。
  特に「数少ない私の…」のくだりは腐女子ならずともドキッとすること間違いなし。 
  むしろ哀れなのは思いきり踏み台に使われてしまった五飛の方か。

  

  


「屈辱は、二度も口にしない」(レディ・アン)
  トレーズの死を看取った後、ホワイトファング側に敗北宣言の通達を下すレディ。
  真意を量りかねたオペレータの聞き返しに対して、この一言。

「哀しいな、泣くことの出来ない女は…」(トロワ)
  トレーズの死、そしてリーブラを地球へと落下させる最終作戦を聞いて、動揺するドロシー。
  そこへトロワのこの一言。女の子が屈辱にまみれてプルプルしてるの眺めて愉悦する鬼畜系
  の皆さんにはマジたまんないシーンの筈。




第49話:最後の勝利者

#確かにネタ要素満載な作品ではあったけれども、それを抜きにしても存分に面白かったと
 思わせてくれるほどの完成度はあったと思う。平成ガンダムが「やっちゃった」今だからこそ
 再評価を望みたい作品だと思う。

「完全平和を作るためには条件がある…」(ゼクス)
「一つは全ての兵器を排除すること、もう一つは人々から… 戦う意志を取り除くことだ!」.
「リーブラを落とす、この行動しか、完全平和への道はない!」
.
「地球を失った人々はお前を憎み、コロニーはお前に頼る!.
 お前がいる限り、同じ過ちが何度も繰り替えされる!」(ヒイロ)
  静かに、だが確実に地球へと引かれていくリーブラ。
  その破滅的光景をバックに、ゼクスとヒイロ、エピオンとゼロ、屈指の完成度と危険度を誇る両機体が最終激突。
  なおノインの見解によると
「ゼクスはここを死に場所と考えている、それは戦いによる潔い結末を求めている
  からではない。人類粛正の罪を1人で被るつもりなのだ」
だそうで。

  


「…俺は戦い続けてきた。その度に俺は心を殺し続けてきた。.
 だから俺の心はとっくの昔に空っぽになっている。人間として生きている価値などないのかもしれない」(トロワ)
「しかし、生きていかなくてはならない」.
「何故?」(ドロシー)
「……俺には帰る場所がある」.
  それはキャサリンのところか。そんでもってこの前の姉妹プレイの続きか、このムッツリ。
  それはそうと、この後
「わたくしには… もう帰るところなんて、どこにもないわ…」とショボくれてしまう
  ドロシー嬢がもうかわゆくてならない。

  


「私はもうオズではありません。命令は聞けません」(ノイン)
命令ではないよ、頼んでいるのだ。平和を望む同志として(レディ・アン)
「……了解した…!」.
  ヒイロとゼクスの戦闘モニターを回してほしいとノインに頼むレディ。
  その光景を地球圏全てに送信することにより、全人類に戦いの悲哀を知らしめようと画策する。

  


「この戦いは、コロニー側にも地球側にも意味はありません」(レディ・アン)
「しかし、戦わなければならない必然があります、この戦争はともにコロニーを守るための戦いだからです」.
「アフターコロニー195年、戦闘の歴史の幕が下ろされようとしています」.
「しかし、この二人が戦わなければ、平和はこないのです」.
「感じますか、この戦いの哀しさが。見えますか、この戦いの向こうにある平和が…!」.
「この戦いは、皆さんに突き付けられた、平和への問題定義です!」.
  全人類の見ている中、果てなき戦闘を続けるヒイロとゼクス。そして、それを中継するレディ。
  が、この時点で、着々と地球に向けて落下し続けているリーブラのことは、彼女の頭からすっかり抜け落ちて
  しまっている模様。むしろそっちの方が大問題なのに。

  


「お前とトレーズは同じだ、弱いものを守るために大儀を振りかざす!」(ヒイロ)
「しかし、それは決して、弱いものを助けることにはならない!」.
「弱者を作りだすのは強者だ。.
 地球という強者の存在が、コロニーという弱者を作り、追い詰めていったのだ!」(ゼクス)
「…俺は弱いやつが嫌いだった。奴らはいつ自分が攻撃されるのかとたえずオドオドしていた。.
 誰も信じることが出来ず、いいたいことは何一つ言えない… そんな奴らを俺は許せない!」.
「強者が、そうさせるのだ!」.
「ゼクス、強者など何処にもいない!人類全てが弱者なんだ!俺もお前も弱者なんだ!」.
  どこまでも平行線を繰り返すどころか、どんどん論点をズラした末、最後にゃ自分をも含む全てもの
  人間を敗者と断じてしまったヒイロ。結果としてゼクスは破れるがその要因はまともすぎたが故、という
  ところにあると考える。せめてヒイロの半分でも狂っていれば…
  そして破れただけならまだしも
「リリーナが悲しむ」という理由で、トドメすら刺してもらえずその場に
  捨て置かれるというこれ以上ない屈辱を野晒す有り様に。遊んだオモチャくらいせめて片付けてやれよヒイロ。

  


「残された手段は… 自爆装置か…!」(ヒイロ)
「さよなら…リリーナ(自爆スイッチに手をかける).
(横合いから飛び込んできて)完全平和のために必要なものが、もう一つあった…!」(ゼクス)
「人を思いやり、理解してやる強い心だ。お前のような…」.
「お前は純粋すぎる、そして優しすぎる。しかし、そうでなければ生きる資格がないということか…」.
「ならば私は! どこまでも生き抜いてみせる!」.
「誰よりも厳しく、戦士としてな! …また会おう、ヒイロ!」.
  博士達の活躍によってリーブラの半分は破壊、残った半分の落下を食い止めようと躍起になるGチームの面々。
  が、すでにリーブラは地球圏内へ。ここにきてすかさず閃くヒイロ、そう自爆!俺には自爆がある!
  それに気付いた途端いよいよ逝けるともうウッキウキ、どこまでいっても死ぬ気全開なヒイロ。
  が、そこにお前なんか死なせてすらやらんもんね、とばかり復讐の屈辱ッカーと化したゼクスが飛び込んできて、
  いきなり自MSの腹をビームサーベルで掻っ斬るというとてつもない狂行に及んだ末、ヒイロより一足先に自爆、
  最後の最後でようやく彼から一本せしめることに成功する。めでたしめでたしっと。

  


「受け取れ、忘れものだ!」(五飛)
……任務、了解…!(ヒイロ)
  バスターライフルを五飛のアルトロンから受け取って、残った最後のリーブラ破片を破壊しに
  大気圏へと突入していくヒイロ。ガンダムW、全49話の中でも最大のクライマックス、一切の
  茶化しどころナシな屈指の名シーン。

  


「俺は…」(ヒイロ)
「俺は…」.
「俺は…!」.
俺は…死なないー!.
  大気圏内から、迫りくるリーブラを狙い撃つという離れ技にチャレンジするヒイロ。
  そしてあんだけ死ぬ気満々だったこの男が、待ったなしの土壇場にて、よもやのこのセリフ。
  まあヒーロものとしては当然の処置だろうが、ここで散ってればありとあらゆる意味で伝説となった
  だけに、多少残念でもある。
  
  


「………………来た!」(デュオ)
「やったな、ヒイロ!」.
「フン、当然だ」(五飛)
「フ…たいした男だ」(トロワ)
今わかりました。宇宙の心は、彼だったんですね(カトル)
……任務、完了…!(ヒイロ)
  そして爆発の閃光から脱出してくるヒイロの機体。それを暖かく迎えるGチームの面々。
  この感動的な光景の中、1人だけ途方もなく電波なことホザいてる件については、見なかった方向で。

  

  


「今度は、ちゃんと、手渡しなさい」(リリーナ)
  こっそりと誕生日プレゼントとカードを置いて立ち去ろうとするヒイロに気づき、この一言。
  なにも最後の最後でそんな空気読めないこと言わなくても。
  ついでに、せっかく貰ったカードをその場で破いちゃったのは、1話におけるヒイロの行動への意趣返し?
  女の子って恐いよー

  



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